部局等 | 補助事業者等 | 間接補助事業者等 | 補助事業等 | 年度 | 事業費 | 左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(223) | 北陸農政局 | 石川県 | 羽咋郡志賀町 (事業主体) |
村づくり交付金 | 20、21 | 113,593 | 53,074 | 69,422 | 34,711 |
この交付金事業は、志賀町が、二所宮地内において、汚水処理施設を新設するため、し尿と生活雑排水とを併せて処理する浄化槽(以下「合併浄化槽」という。)の設置等を実施したものである。合併浄化槽は、地中に配置した2列の基礎杭の上に鉄筋コンクリート構造の底版(長辺方向42.8m、短辺方向4.1m、厚さ35cm。以下「基礎底版」という。)を築造し、その上にガラス繊維強化プラスチック製の原水ポンプ槽1基、流量調整槽2基、沈殿槽3基等を設置した後、土砂で埋め戻すなどしたものである(参考図
参照)。
そして、同町は、基礎底版に作用する荷重について、埋戻土及び基礎底版の重量は基礎底版が地盤に直接接しているため地盤反力(注1)
と相殺されるとして、合併浄化槽と汚水の重量のみを考慮して、基礎底版の設計を行っていた。その結果、基礎底版に配置する主鉄筋については、長辺方向及び短辺方向に径13mmの鉄筋をそれぞれ20cm間隔で基礎底版の上面側と下面側に配置することとし、これにより施工していた。
しかし、農業集落排水施設設計指針(農業集落排水事業諸基準等作成全国検討委員会編集)等によれば、杭基礎の場合、地盤の沈下により基礎底版と地盤の間に空隙が生ずるおそれがあるとされていることから、地盤に直接接しているため地盤反力と相殺されるとしていた埋戻土及び基礎底版の重量についても、基礎底版に作用する荷重として考慮して設計すべきであった。
そこで、本件基礎底版について、埋戻土及び基礎底版の重量を荷重として考慮するなどして応力計算を行ったところ、基礎底版の下面側の主鉄筋に生ずる引張応力度(注2)
は、原水ポンプ槽部、流量調整槽部及び沈殿槽部の短辺方向の中央で、それぞれ336.0N/mm2
、273.9N/mm2
及び349.1N/mm2
となり、許容引張応力度(注2)
157N/mm2
を大幅に上回っていて、応力計算上安全とされる範囲に収まっていなかった。
したがって、本件基礎底版は設計が適切でなかったため、基礎底版及びこれに設置された合併浄化槽等(これらの工事費相当額計69,422,928円)は所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る交付金相当額34,711,464円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同町において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったこと、石川県において、同町に対する指導及び監督が十分でなかったことなどによると認められる。
(参考図 )