ページトップ
  • 平成23年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第11 国土交通省|
  • 不当事項|
  • 工事

橋りょうの耐震設計等の業務委託契約について、既に耐震設計等が実施されている橋りょうを対象に含めて実施したため、設計業務費が過大となっていたもの


(257) 橋りょうの耐震設計等の業務委託契約について、既に耐震設計等が実施されている橋りょうを対象に含めて実施したため、設計業務費が過大となっていたもの

会計名及び科目 社会資本整備事業特別会計(道路整備勘定) (項)道路交通安全対策事業費
部局等 関東地方整備局東京国道事務所
契約名 (1) H20管内橋梁補強設計(その3)業務
(2) H22金杉橋管内橋梁点検他業務
契約の概要 (1) 橋りょうの耐震補強の設計等を実施するもの
(2) 橋りょうの点検、落橋防止システムの設計等を実施するもの
契約の相手方 (1) 株式会社オリエンタルコンサルタンツ
(2) 八千代エンジニヤリング株式会社
契約 (1) 平成20年9月 公募実施後の随意契約
(2) 平成22年7月 公募型指名競争契約
支払 (1) 平成21年4月
(2) 平成23年4月
支払額 (1) 54,180,000円 (平成20年度)
(2) 61,740,000円 (平成22年度)
115,920,000円
過大となっていた支払額 (1) 5,389,798円 (平成20年度)
(2) 955,338円 (平成22年度)
6,345,136円

1 設計業務の概要

 関東地方整備局は、大地震の発生時において、橋りょうの落橋や重大な損傷を防止し、緊急輸送道路である一般国道357号の通行を確保するための既設橋りょうの耐震対策や、新木場交差点の渋滞緩和を図るための東京湾岸道路新木場立体事業を実施するなどしている。一般国道357号に係る所掌事務については、地方整備局組織規則(平成13年国土交通省令第21号)等に基づき、同局管内の各国道事務所が修繕工事、維持その他の管理や新設工事を行うこととなっている。そして、新木場交差点に接続する荒川河口橋右岸高架橋(海側)(平成7年度築造、橋長193.9m、幅員7.5m〜9.5m。以下「海側右岸高架橋」という。)については、関東地方整備局東京国道事務所(以下「東京国道事務所」という。)が修繕工事、維持その他の管理の業務を、関東地方整備局首都国道事務所(以下「首都国道事務所」という。)が新設工事の業務をそれぞれ行っている。
 東京国道事務所は、一般国道357号の既設橋りょうの耐震対策の一環として、20、22両年度に、7橋の耐震補強及び4橋の落橋防止システムの設計等の契約を契約額計115,920,000円で締結して実施している。
 そして、東京国道事務所は、20年9月に、上記7橋の耐震補強の設計等の業務を株式会社オリエンタルコンサルタンツに契約額54,180,000円で委託して実施しており、このうち海側右岸高架橋については、橋脚5基の耐震性能の照査及び5基のうち補強が必要な2基の詳細設計等の業務を実施している。
 また、東京国道事務所は、22年7月に、前記4橋の落橋防止システムの設計等の業務を八千代エンジニヤリング株式会社に契約額61,740,000円で委託して実施しており、このうち海側右岸高架橋については、落橋防止システムの概略設計の業務を実施している。

2 検査の結果

 本院は、経済性等の観点から、橋りょうの耐震設計等の業務の必要性について十分な検討が行われているかなどに着眼して、東京国道事務所において、前記2件の契約を対象に、契約書、仕様書、成果品等の書類により会計実地検査を行った。
 検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
 すなわち、東京国道事務所が実施した本件設計等の業務のうち、海側右岸高架橋の耐震補強及び落橋防止システムの設計(以下「海側右岸高架橋耐震補強等設計」という。)については、首都国道事務所が前記東京湾岸道路新木場立体事業の一環として、18、19両年度に実施した海側右岸高架橋の拡幅等工事に係る設計業務により既に実施されていた。
 そして、上記海側右岸高架橋の拡幅等工事の実施に当たり、首都国道事務所は、その設計図面等の資料を添付した協議書を20年2月に東京国道事務所に提出し、東京国道事務所は同年5月に協議内容を了解する旨の回答を行っていた。
 なお、東京国道事務所が前記7橋の耐震補強の設計等の業務を契約した20年9月には、首都国道事務所が海側右岸高架橋の拡幅等工事に着手していた。
 したがって、東京国道事務所が実施した本件設計等の業務のうち、海側右岸高架橋耐震補強等設計は、首都国道事務所が実施した設計等業務により既に実施されていたことから、実施する必要がなく、本件契約額計115,920,000円のうち、これらに係る設計業務費計6,345,136円が過大となっていて不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、東京国道事務所において、海側右岸高架橋耐震補強等設計の必要性についての検討が十分でなかったことなどによると認められる。