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  • 平成23年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第11 国土交通省|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • 補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの|
  • (2) 工事の設計が適切でなかったもの

公営住宅の設計が適切でなかったもの


 公営住宅の設計が適切でなかったもの

(1件 不当と認める国庫補助金 38,479,700円)

  部局等 補助事業者等
(事業主体)
補助事業等 年度 事業費
(国庫補助対象事業費)
  左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費)
  不当と認める国庫補助金等相当額
千円  千円  千円  千円 
(269) 沖縄県 島尻郡北大東村 地域住宅交付金
(公営住宅等整備)
20、21 67,095
(64,318

45,022 57,348
(54,971

38,479

 この交付金事業は、北大東村が、同村港地内において、公営住宅として村営港第4団地C棟及びD棟(両棟とも間取りと構造が同じ補強コンクリートブロック構造で、各階1戸の2階建て)の建築、外構工事等を実施したものである。
 公営住宅の整備に当たっては、公営住宅法(昭和26年法律第193号)に基づき、公営住宅等整備基準(平成10年建設省令第8号)により行うこととされており、遮音性能の確保、給排水管等の維持管理、高齢者等への配慮等については、「公営住宅等整備基準第8条第2項から第5項まで、第9条第4項、第10条及び第11条の規定に基づく国土交通大臣が定める措置」(平成14年国土交通省告示第352号。以下「告示」という。)等に基づき行うこととされている。
 そして、本件公営住宅の構造の場合、告示等によれば、〔1〕 床の構造については、遮音性能を確保するために相当スラブ厚(注) を11cm以上とすること、〔2〕 給排水管等については、維持管理を容易にするために地中に埋設された配管の上にコンクリートを打設しないこと、また、他の住宅の専用部分に設置しないこと、〔3〕 高齢者等への配慮については、日常生活を支障なく営むことができるように、玄関の出入口の建具の厚みを控除した有効幅員は75cm以上、バルコニーの出入口の段差は18cm以下とすることなどとされている。
 同村は、本件公営住宅について、〔1〕 2階の居室の床の構造を厚さ13cmのコンクリートスラブの上に束(つか)等を設置して、その上にフローリング材等の床仕上げ材を施工した二重床構造とし、〔2〕 1階の洗面、トイレ等の給排水管等を布設した後埋め戻して、その上部にコンクリートを打設し、また、2階の給排水管等を床のコンクリートスラブ等に貫通させて、1階の住宅の天井裏に配置し、〔3〕 玄関の出入口の幅員を80cm、2階の室内とバルコニーとの段差を30cmとすることなどとして設計し、両棟ともこれにより施工していた。
 しかし、本件公営住宅は、上記のとおり設計し施工されていたため、〔1〕 床の構造について、上記のコンクリートスラブの厚さ13cmを基に相当スラブ厚を算定すると、遮音効果が低い床仕上げ材等により施工していたことから相当スラブ厚は9.74cmとなり、床の遮音性能が確保されていなかったり、〔2〕 1階の給排水管等の上にコンクリートが打設され、また、2階の給配水管等が他の住宅の専用部分に配置されていて、維持管理が容易に行えなくなっていたり、〔3〕 玄関の有効幅員が72.2cmとなっているなど、高齢者等への配慮の基準が満たされていなかったりしていた。
 したがって、本件公営住宅2棟(工事費相当額計57,348,032円、交付対象工事費計54,971,000円)は、設計が適切でなかったため、公営住宅等整備基準等を満たしていない状態になっており、工事の目的を達しておらず、これに係る交付金相当額計38,479,700円が不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、同村において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことなどによると認められる。

 相当スラブ厚  床に衝撃を与えた時に階下室内に発生する衝撃音に対し、床仕上げ材等による遮音効果を見込んだ補正を行った床の遮音性能を、コンクリート版の厚さに換算して表したもの