部局等 | 補助事業者 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 (国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | ||||
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||||
(271) | 熊本県 | 球磨郡湯前町 | 地域住宅支援総合交付金 (地域優良賃貸住宅整備) |
22、23 | 29,706 (29,270 |
) |
13,171 | 25,239 (24,857 |
) |
11,185 |
この交付金事業は、湯前町が、同町上里地内において、地域優良賃貸住宅(子育て世帯等居住の安定に特に配慮が必要な世帯の居住の用に供する居住環境が良好な賃貸住宅をいう。)として、森重団地A棟及びB棟(両棟とも間取りと構造が同じ木造平屋建て)の建築、外構工事等を実施したものである。
同町は、これらの住宅について、柱、土台、筋交いなどの部材で骨組みを構成する木造軸組工法により建設することとし、建築基準法(昭和25年法律第201号)等に基づき、地震や風により生ずる水平力に抵抗するため、柱と柱との間に筋交いを設置した耐力壁を両棟とも張り間方向(注1)
に8か所及び桁行方向(注1)
に7か所それぞれ配置することとしていた。また、耐力壁を構成する柱については、水平力により生ずる引抜き力に抵抗するため、同法等に基づく告示「木造の継手及び仕口の構造方法を定める件」(平成12年建設省告示第1460号)に基づき、筋交いの種類や柱の位置に応じて定められている金物等から適合するものを用いて土台や梁(はり)と接合することとしていた。そして、同町は、耐力壁を構成する柱のうち、たすき掛け筋交いを取り付けることとした出隅の柱(注2)
4か所については、羽子板ボルト等を用いて土台等と接合することとしていた(参考図
参照)。
同町は、このように耐力壁を配置すれば、張り間方向及び桁行方向について、設計計算上の耐力壁の長さが水平力に対して必要な長さをそれぞれ上回ることなどから安全であるとして設計し、両棟ともこれにより施工していた。
しかし、前記の告示によれば、出隅の柱にたすき掛け筋交いを取り付ける場合には、15kN用引寄金物、アンカーボルト等を用いて柱と基礎コンクリート等とを接合する必要があるのに、同町は、誤って引抜き力に対する耐力が15kN用引寄金物よりも劣る羽子板ボルトを用いて柱と土台等とを接合しただけで、柱と基礎コンクリートとを接合していなかった(参考図
参照)。
このように、接合方法が適切でない柱で構成された張り間方向及び桁行方向のそれぞれ4か所の壁は耐力壁とは認められないことから、張り間方向及び桁行方向について、改めて有効な設計計算上の耐力壁の長さを算出すると13.5m及び8.5mとなり、水平力に対して必要な長さ24.0m及び11.1mをそれぞれ大幅に下回っていた。
したがって、本件住宅2棟(工事費相当額計25,239,653円、交付対象工事費計24,857,000円)は、設計が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る交付金相当額計11,185,650円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同町において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことなどによると認められる。
(注1) | 張り間方向・桁行方向 一般的に建物の短辺方向を張り間方向といい、長辺方向を桁行方向という。
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(注2) | 出隅の柱 建物の外側の隅の柱
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耐力壁概念図
接合金物概念図
引抜き力の概念図