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  • 平成23年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第11 国土交通省|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • 補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの|
  • (2) 工事の設計が適切でなかったもの

遊歩道の設計が適切でなかったもの


 遊歩道の設計が適切でなかったもの

(1件 不当と認める国庫補助金 1,955,500円)

  部局等 補助事業者等
(事業主体)
補助事業等 年度 事業費
(国庫補助対象事業費)
  左に対する国庫補助金等交付額   不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費)
  不当と認める国庫補助金等相当額
千円   千円   千円   千円
(272) 四国地方整備局 徳島県 港湾環境整備 20 23,444
(23,205

11,602   3,911
(3,911

1,955

 この補助事業は、徳島県が、徳島小松島港沖洲(おきのす)地区において、親水施設である緑地を整備するため、広場、遊歩道等を築造したものである。
 このうち遊歩道の築造は、平成18、19両年度に別途施工した護岸天端のコンクリート版の上にアスファルト舗装工(延長約333m、幅3.0m、厚さ3cm、面積999.7m )を施工するなどのもの(参考図 参照)で、コンクリート版には、乾燥収縮、温度変化等によるひび割れ対策のために、10m程度の間隔で幅1cmの目地が34本設けられていた。
 この遊歩道の設計については、アスファルト舗装要綱(社団法人日本道路協会編。以下「要綱」という。)等に基づいており、遊歩道の快適性や安全性を向上させるため、コンクリート版の上をアスファルト舗装とし、その種類は、周囲の景観に配慮して脱色アスファルト系自然色舗装としていた。
 そして、要綱等によると、本件工事のようにコンクリート版の上にアスファルト舗装を施工する場合、下層のコンクリート版が温度変化により伸縮するためにコンクリート版の目地等の縁の切れたところでアスファルト舗装と異なる動きをすることなどが原因で上層のアスファルト舗装にひび割れが生じやすいとされている。このため、アスファルト舗装に目地を設置したり、コンクリート版とアスファルト舗装の間にシートを設置したりするなどの対応策を検討することとされている。
 しかし、同県は、アスファルト舗装に目地を設置するなどの対応策を検討することなく施工していた。
 そこで、現地の状況を確認したところ、遊歩道の全幅にわたってコンクリート版の目地と同じ位置の34か所に幅2mmから10mmまでのひび割れが発生しており、それらの深さはコンクリート版まで達していた。
 したがって、本件アスファルト舗装工(工事費相当額3,911,000円)は、設計が適切でなかったため、ひび割れが多数発生していて、遊歩道の快適性や安全性を向上させ、景観に配慮した効果が十分に発揮されていないものとなっていて、工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額1,955,500円が不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、同県において、要綱等でアスファルト舗装に目地等を設置するなどの対応策を検討することとされているのに、その検討が十分でなく、適切な対応を執っていなかったことなどによると認められる。

(参考図)

遊歩道の状況図

遊歩道の状況図