部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 (国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | ||||
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||||
(284) | 静岡県 | 浜松市 | まちづくり交付金 (土地区画整理) |
21 | 127,062 (127,062 |
) |
50,824 | 29,807 (29,807 |
) |
11,922 |
この交付金事業は、浜松市が、都市再生整備計画による土地区画整理事業(南浅田地区)の一環として、土地区画整理で支障となる鉄骨造りの倉庫、車庫等の建物(以下「建物」という。)6棟の移転に要する建物移転料、工作物移転料等の費用(以下「移転補償費」という。)を所有者に対して補償したものである。
移転補償費について、同市は、平成21年度に補償コンサルタントに物件調査算定業務を委託し、成果品として受領した調査報告書に基づき、建物移転料等の費用121,041,510円に、これに係る消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)額6,020,648円を加算して、計127,062,158円と算出していた。
同市は、公共事業の施行に伴う損失補償を、「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」(昭和37年閣議決定)等に準じて制定された「損失補償算定標準書」(平成21年度版。中部地区用地対策連絡協議会監修。以下「標準書」という。)等に基づき行うこととしている。
上記の標準書等によれば、移転補償費のうち建物移転料は、残地に従前の建物と同種同等の建物等を建築することが合理的と認められる場合には、従前の建物の推定再建築費に建物の耐用年数等から定まる再築補償率を乗ずるなどして算出することとされている。このうち、鉄骨造り建物の推定再建築費は、建物の延床面積に統計数量値(注)
を乗ずるなどして求めた建物のく体の鉄骨重量に、鋼材の単価を乗ずるなどしてく体の工事費を算出するなどして算定することとされている。
そして、く体の鉄骨重量及び耐用年数は、柱、梁(はり)等の建物の主要な構造部分に使用されている鉄骨の肉厚区分に応じて算出することとされ、その区分には、「肉厚9mm以上のもの」、「肉厚4mmを超え9mm未満のもの」及び「肉厚4mm以下のもの」がある。
同市は、移転補償費のうち建物移転料の算定に当たり、別の類似の建物と同種同等であると判断し、前記の建物6棟のうち、倉庫2棟については「肉厚9mm以上のもの」、車庫については「肉厚4mmを超え9mm未満のもの」とし、これに応じてく体の鉄骨重量及び耐用年数を決定するなどして、建物移転料を92,526,838円と算出していた。
しかし、実際の鉄骨の肉厚は、上記2棟の倉庫のうち、倉庫1棟は6mm、別の倉庫1棟及び車庫は2.3mmであったことから、適正な鉄骨の肉厚区分は、倉庫1棟については「肉厚4mmを超え9mm未満のもの」、別の倉庫1棟及び車庫については「肉厚4mm以下のもの」とすべきであった。
また、本件の建物所有者は、「建設省の直轄の公共事業の施行に伴う損失の補償等に関する消費税及び地方消費税の取扱いについて」(平成9年建設省経整発第67号の3)によると、消費税法(昭和63年法律第108号)上の事業者に該当し、仕入税額控除の対象となることから、移転補償費の額から消費税相当額を控除すべきであった。
したがって、適正な鉄骨の肉厚区分に基づき建物移転料を算定し、消費税額を控除するなどして、適正な移転補償費を算出すると97,254,865円となることから、前記の移転補償費127,062,158円との差額29,807,293円が過大となっており、これに係る交付金相当額11,922,917円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同市において、移転補償費の算定に当たり、委託した物件調査算定業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったこと、消費税の取扱いについての理解が十分でなかったことなどによると認められる。