部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 (国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(288) | 中部地方整備局 | 名古屋港管理組合 | 港湾環境整備 | 昭和63、平成元 | 62,234 (62,234) |
31,117 | 6,316 (6,316) |
3,158 |
この補助事業は、名古屋港管理組合(以下「組合」という。)が、港湾環境整備事業として、昭和63年度及び平成元年度に名古屋港金城ふ頭地区の金城中央緑地において、多数の樹木を植栽するなどの緑地整備工事を実施したものである。
その後、組合は、22年度に同緑地に新しい設計の緑地を整備するため、本件補助事業により植栽したクスノキ、ヒラドツツジ等の樹木計3,424本を伐採し、チップにするなどして処分していた。なお、この処分については、国土交通大臣に財産処分報告書を提出してその承認を受けていた。
一方、組合は、19年3月に名古屋港の長期構想を策定しており、名古屋港における港湾事業を展開するに当たり、自然環境の保全や再生に努めるとともに、廃棄物の減量化や資源の再利用を図るなど、様々な面で環境を守り、環境に優しい港を目指すこととしている。
しかし、上記樹木の伐採当時、金城ふ頭地区を含む近隣の名古屋港臨港地区には植栽が必要な未整備地が多数あり、24年4月現在においても未整備地が78.3haに上っていた。また、臨港道路の植栽帯や緑地についても樹木が枯れるなどしていて植栽が必要な場所が多数見受けられた。このため、上記の樹木については、これらの場所に移植すれば利活用が可能であったのに、組合は、具体的な比較を行わないまま移植の費用が購入の費用より割高になるなどとして、環境保全や省資源等にも配慮せずに、移植による利活用の検討を行っていなかった。
なお、植栽が必要な場所を調査した上で、既存の樹木を移植することとした場合の費用と新規に購入して植栽することとした場合の費用とを比較すると、本院の試算では、移植することとした場合の費用の方が経済的になると認められた。
したがって、組合が補助事業で取得した樹木(本院が積算参考資料を基に計算した伐採時の資産価値6,316,935円)は、利活用が可能であったのに、環境保全や省資源等に十分配慮せずに、利活用の検討を十分行わないまま不用な財産として伐採し処分しており、これに係る国庫補助金相当額3,158,467円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、組合において、補助事業で取得した財産を適切に利活用することに対する認識が欠けていたこと、環境保全や省資源等に対する認識が十分でなかったことなどによると認められる。