会計名及び科目 | 社会資本整備事業特別会計(道路整備勘定) | (項)道路交通安全対策事業費 | |||
(項)北海道道路交通安全対策事業費 | |||||
平成19年度以前は、道路整備特別会計 | (項)道路環境整備事業費 | ||||
(項)北海道道路環境整備事業費 | |||||
部局等 | 8地方整備局等 | ||||
事業の根拠 | 道路法(昭和27年法律第180号)、交通安全施設等整備事業の推進に関する法律(昭和41年法律第45号)等 | ||||
道の駅のうち道路管理者が整備する休憩施設等の概要 | 道路における交通環境の改善を行い、交通の円滑化に資することを目的として、国等の道路管理者が交通安全施設等整備事業により、駐車場、トイレ等を整備するもの |
整備及び維持管理が適切に行われていなかった道の駅の数 | 26か所 | |||
(1) 国が負担していた施設の整備費等 | ||||
設置者が負担すべき地域振興施設等の用地取得費 | 2か所 | 2007万円 | (平成23年度末現在) | |
地域振興施設等と休憩施設等の範囲が明確でない用地取得費 | 1か所 | 1569万円 | (背景金額)(平成23年度末現在) | |
設置者が施行すべき範囲の整備費 | 1か所 | 1150万円 | (平成22年度) | |
節減できたと推計される整備費 | 5か所 | 2009万円 | (平成21年度〜23年度) | |
浄化槽に係る維持管理費全体額 | 5か所 | 1689万円 | (背景金額)(平成19年度〜23年度) | |
(2) 国が負担していた施設の維持管理費等 | ||||
国が負担していた維持管理費全体額 | 9か所 | 2億4940万円 | (背景金額)(平成19年度〜23年度) | |
境界が明確でない用地の取得費 | 12か所 | 6億2100万円 | (背景金額)(平成23年度末現在) |
(平成24年10月26日付け 国土交通大臣宛て)
標記について、会計検査院法第34条の規定により、下記のとおり是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求める。
記
貴省は、一般国道等において、国が行う直轄事業又は地方公共団体が行う交付金等事業により、道の駅を整備している。道の駅は平成5年から道路利用者の利便性の向上と施設の利用促進を図り、安全で快適な道路交通環境の形成及び地域の振興に寄与することを目的として創設され、道路管理者である国又は都道府県等は駐車場、休憩所、トイレ及び道路情報提供装置から構成される施設等(以下「休憩施設等」という。)を、市町村又は市町村に代わり得る公的な団体(以下、これらを合わせて「設置者」という。)は地域の振興に寄与する物産館、これに付随する駐車場、トイレ等から構成される施設等(以下「地域振興施設等」という。)を、それぞれ整備している。
国道事務所等及び設置者は、道の駅を整備するに当たり、道の駅に関する施設計画等の調整の協定又は覚書(以下「調整協定」という。)を締結した上で整備計画を策定し、休憩施設等及び地域振興施設等について、用地をそれぞれが取得した後に、整備を実施するなどしている。
国道事務所等は、休憩施設等の駐車場等の規模について、旧日本道路公団の休憩施設の設計要領(以下「旧公団設計要領」という。)等を参考にするなどして、次の方法によるなどして算定している。
ア 全国道路・街路交通情勢調査を踏まえて、将来の地域の状況等を想定した上で算定する予測交通量のうち、道の駅に近接する区間の交通量(以下「計画交通量」という。)を設定する。
イ 計画交通量に基づき休憩施設等の駐車場の駐車ます数等を算定する。
ウ 算定された駐車ます数等から日本工業規格の「建築物の用途別によるし尿浄化槽の処理対象人員算定基準(JISA3302-2000)」(以下「JIS算定基準」という。)に基づくなどして浄化槽の処理対象人員を算定する。
道の駅の維持管理については、設置者が国道事務所等を経由して貴省道路局長に道の駅として登録の申請を行い、道路局長から設置者に対して登録証が交付された後に、国道事務所等は、設置者との間で、道の駅に関する各施設等の維持管理の協定又は覚書(以下「維持管理協定」という。)を締結し、その維持管理を行っている。
貴省は、道の駅の整備及び維持管理を実施してきており、その数は平成23年度末現在で987駅と近年漸増している。このことから、道の駅に係る整備費及び維持管理費は、毎年度多額に上っている。
そこで、本院は、合規性、経済性、有効性等の観点から、休憩施設等の用地及び施設に関する整備及び維持管理が適切に行われているかなどに着眼して検査した。
検査に当たっては、24国道事務所等(注1)
が19年度から23年度までの間に整備又は維持管理している72か所の道の駅の休憩施設等の用地及び施設を対象として、国道事務所等において、調整協定、維持管理協定等を確認するなどの方法により会計実地検査を行った。
72か所の道の駅の調整協定等の図面等によると、国道事務所等及び設置者が整備した施設は、表 のとおりとなっていた。
国道事務所等が整備した施設(休憩施設等) | 設置者が整備した施設(地域振興施設等) |
駐車場、休憩所、トイレ、道路情報提供装置 | 駐車場、休憩所、トイレ、公園、宿泊施設等、電話、FAX等、各種情報施設案内所、地域情報提供施設、レストラン、物産館、郷土資料館、記念館、イベント広場、交流ホール、会議室等 |
これによると、国道事務所等及び設置者が、駐車場、休憩所、トイレをそれぞれ設置していることから、この状況を踏まえて検査したところ、次のような事態が見受けられた。
ア 施設の整備に関する国道事務所等と設置者との間の費用負担
4国道事務所等は、4か所(注2)
の道の駅について、用地の取得に当たり、設置者との間で調整協定を締結しておらず、設置者が整備すべき地域振興施設等の用地の取得に係る費用計約2007万円を国道事務所等が負担したり、調整協定が締結されているものの、地域振興施設等の用地と休憩施設等の用地の範囲が明確でないまま、それらの用地の取得に係る費用計1569万円を国道事務所等が負担したり、駐車場舗装工事等の実施に当たり、調整協定を締結せずに設置者が整備すべき範囲を含めて発注し、駐車場舗装工事費約1150万円を国道事務所等が負担することとしたりしていた。
なお、上記の駐車場舗装工事費については、本院の指摘を踏まえて、国道事務所等が24年1月に整備に係る費用について設置者と協議して調整協定を締結し、同年3月に約1150万円を設置者に負担させる処置を執っている。
三重河川国道事務所は、平成12年に開駅した「道の駅関宿」の拡張整備に伴って、14年に用地計899m2
を計約3784万円(1m2
当たり単価42,100円)で取得していた。
この用地のうち、地域振興施設等として整備されている475m2
分(取得費計約1999万円)については、16年12月に同事務所と設置者である旧関町との間で土地交換の協議が行われていたものの、17年1月の市町村合併に伴い道の駅の設置者が変更となったことから、同事務所は23年12月の会計実地検査時点においても変更後の設置者との間で土地交換の協議を行っておらず、取得費を負担したままとなっていた。
イ 休憩施設等の浄化槽等の規模の算定
休憩施設等の駐車ます数の算定については、旧公団設計要領等によると、より多くの需要が見込まれるサービスエリア(駐車場、トイレ等のほかに、営業施設のサービス機能を備えた休憩施設)として設計した方が、パーキングエリア(駐車場、トイレ等を備えた休憩施設)として設計するよりも駐車ます数が多く算定されることになっている。
そして、浄化槽の処理対象人員の算定については、JIS算定基準によると、建築用途が駐車場のトイレの場合、一般的なサービスエリアについては係数3.60を、売店なしのパーキングエリアについては係数2.55をそれぞれ駐車ます数に乗じて浄化槽の処理対象人員を算定することとされている。
しかし、5国道事務所等は、5か所(注3)
の道の駅について、パーキングエリアに相当する駐車ます数を算定すれば足りると認められるのに、営業施設としての機能を含めたサービスエリアとして駐車ます数を算定したり、JIS算定基準に定められた建築用途の係数のうち、営業施設としての機能を含めたサービスエリアの係数を適用したり、休憩施設等の駐車場としての建築用途に属さない施設である公衆トイレの係数を適用したりしていたため、パーキングエリアとして算定した場合と比較すると浄化槽の処理対象人員が多くなり、浄化槽の規模が大きなものとなっていた。
したがって、5か所の道の駅の休憩施設等について、道路管理者として整備すべき休憩施設等に見合った浄化槽の規模を算定していれば、浄化槽の整備費が計約2009万円節減でき、維持管理費(19年度から23年度までの支払額計約1689万円)も節減できることになると推計される。
滋賀国道事務所は、平成21年度に「道の駅塩津海道あぢかまの里」の浄化槽を整備しており、道路管理者が設置した駐車ます数である45ますを基に算定したトイレの便器数14器にJIS算定基準の公衆便所の係数である16を乗じた224人槽を処理対象人員としていた。
しかし、JIS算定基準の駐車場の売店なしパーキングエリアの係数2.55を駐車ます数45ますに乗じて浄化槽の処理対象人員を算定すると115人槽となり、実際に整備した浄化槽の処理対象人員224人槽は109人槽多くなっていたことから、休憩施設等としての駐車場に見合う算定を行っていれば、浄化槽の整備費約653万円を節減できたと推計される。
ア 維持管理に関する国道事務所等と設置者との間の共同利用部分の費用負担
6国道事務所等は、9か所(注4) の道の駅について、休憩施設等の利用者及び地域振興施設等の利用者が共同でトイレ等を利用しているのに、設置者との間で相応の負担に関する協議を行っておらず、費用負担に関する適切な維持管理協定を締結していないことから、設置者の負担分を含めた維持管理費(19年度から23年度までの支払額計約2億4940万円)全額を負担していた。
金沢河川国道事務所が「道の駅しらやまさん」に整備したトイレ等は、道路管理者が管理する駐車場等の利用者と設置者が管理する地域振興施設等の利用者に共同で利用されている。
しかし、同事務所は、道の駅を一体的に維持管理するとして、設置者と維持管理協定を締結して、平成19年度から23年度までの間に、トイレ等の清掃費を除く管理委託業務費及び光熱水料に係る維持管理費の全額である計約1896万円を支払っていた。
イ 用地の管理
2国道事務所等は、12か所(注5) の道の駅について、5年から21年までの間に面積計約78,724m2 の用地を計約6億2100万円で取得していたが、設置者との用地境界を明確にするための境界杭が確認できない状況が見受けられた。そして、上記12か所のうち、5か所(注6) については、24年5月の会計実地検査時以降、国道事務所等が用地図に基づいて測量を実施して確認したところ、国道事務所等は、管理すべき道の駅の敷地内においてバス停留所標識、案内看板、店舗等の工作物が設置されていて、第三者に無許可占用されていたことを把握していなかった。
国道事務所等において、道路管理者として必要な休憩施設等の用地取得、整備及び維持管理に当たり、設置者との間で各々が整備する施設について適切な費用負担をしていなかったり、道路管理者として整備すべき施設の規模が大きなものとなっていたり、設置者と共同で利用している施設に係る相応の負担を定めた維持管理協定を締結していないため、維持管理費を全額負担するなどしていたり、用地の境界を明確にしていなかったりしている事態は適切ではなく、是正及び是正改善の要があると認められる。
このような事態が生じているのは、次のことなどによると認められる。
ア 国道事務所等において、道路管理者として整備すべき休憩施設等の範囲に見合った費用を負担することについて、設置者との間で十分協議を行っていないこと
イ 貴省において、道路管理者として整備すべき休憩施設等の規模の算定方法等を明確にしていないこと
ウ 国道事務所等において、道路管理者として負担すべき休憩施設等の維持管理費の範囲について設置者との間で十分協議しておらず明確に定めていないこと、また、用地等の維持管理を適切に行っていないこと
貴省は、今後も道の駅の整備及び維持管理を行うこととしている。
ついては、貴省において、道路管理者が整備及び維持管理すべき休憩施設等の範囲に見合う費用負担について、協定及び覚書を適切に締結するなどの措置を講ずるよう是正の処置を要求するとともに、道の駅の整備及び維持管理が適切に行われるよう、次のとおり是正改善の処置を求める。
ア 道路管理者が整備すべき休憩施設等の範囲に見合う費用負担を調整協定で定めるよう、国道事務所等に周知徹底すること
イ 休憩施設等の規模を適切に算定できるよう、その算定方法等を明確にし、国道事務所等に周知徹底すること
ウ 道路管理者として休憩施設等を適切に維持管理できるよう、維持管理協定で実態に応じた費用負担の方法を定めるとともに、道路管理者として用地等を適切に維持管理するよう国道事務所等に周知徹底すること