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  • 平成23年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第11 国土交通省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

独身寮の清掃等業務の委託に当たり、廊下、階段等の共用部分を委託の範囲に含めない取扱いとしていることを地方事務所等に周知することなどにより、独身寮の清掃等業務に係る費用の積算を適切なものとするよう改善させたもの


(3) 独身寮の清掃等業務の委託に当たり、廊下、階段等の共用部分を委託の範囲に含めない取扱いとしていることを地方事務所等に周知することなどにより、独身寮の清掃等業務に係る費用の積算を適切なものとするよう改善させたもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)地方整備局 (項)地方整備局共通費
  (組織)北海道開発局 (項)北海道治水海岸工事諸費 等
社会資本整備事業特別会計(業務勘定) (項)業務取扱費
部局等 34地方事務所等
独身寮の清掃等業務の委託の概要 地方事務所等が独身寮を良好な状態で維持管理するため、清掃等に係る業務を委託するもの
委託した独身寮の清掃等業務に係る費用に廊下、階段等の共用部分を含めて積算していた件数及び金額
74件 7943万余円 (平成22、23両年度)
 
低減できた積算額
  4310万円 (平成22、23両年度)

1 独身寮等の概要

(1) 独身寮の概要

 国土交通省は、国土交通省設置法(平成11年法律第100号)に基づき、地方整備局、北海道開発局及びこれらの事務所等(出張所を含む。以下、これらを総称して「地方事務所等」という。)を設置している。そして、同省は、国家公務員宿舎法(昭和24年法律第117号。以下「宿舎法」という。)等に基づき、所属する職員のみに貸与する目的で宿舎を設置している。宿舎は、世帯用宿舎と独身者用宿舎(以下「独身寮」という。)に区分され、このうち独身寮は、浴室、トイレ等について、共同利用する集合タイプと各戸に備え付けられているワンルームタイプがある。
 同省は、宿舎法等に基づき、独身寮の維持管理事務を行うこととしているが、その事務の一部については、地方事務所等に行わせている。そして、地方事務所等は、独身寮の維持管理事務のうち、独身寮の貸与を受けた職員(以下「被貸与者」という。)の入居及び退去、建物の補修、清掃等を行っている。

(2) 独身寮の清掃等業務の委託

 地方事務所等は、独身寮を良好な状態で維持管理するため、多数の独身寮の清掃等に係る業務(以下「独身寮の清掃等業務」という。)を委託している。
 独身寮の清掃等業務の委託に当たっては、地方事務所等が、清掃対象箇所、清掃対象面積等の仕様を決定し、これを地方事務所等の庁舎の清掃等業務(以下「庁舎等清掃業務」という。)の委託に係る仕様書に含めるなどして予定価格の積算を行っている。

2 検査の結果

 (検査の観点、着眼点、対象及び方法)

 本院は、経済性等の観点から、独身寮の清掃等業務の委託に係る仕様は適切かなどに着眼して検査を行った。検査に当たっては、平成22、23両年度に、35地方事務所等が実施した独身寮の清掃等業務の委託計76件に係る積算額計8068万余円を対象として、国土交通本省及び13地方事務所等において、独身寮の清掃等業務が含まれている庁舎等清掃業務等の委託に関する契約関係書類等を確認するなどして会計実地検査を行った。また、残りの22地方事務所等については、関係書類の提出を受けるなどして検査した。

 (検査の結果)

 検査したところ、次のような事態が見受けられた。
 独身寮の清掃等の委託に係る共用部分の取扱いは、「国家公務員宿舎に係る原状回復等の取扱いについて」(平成15年6月財理第2212号)によると、ワンルームタイプを除く独身寮の共同浴室、衛生設備等の特殊な共用部分については施設の適正な維持管理のため必要に応じて国が費用を負担することができるものの、廊下、階段等の共用部分については、国が費用を負担しない維持管理の範囲に該当し、全て被貸与者の共同負担とすることとされていた。
 地方事務所等における独身寮の清掃等業務の実態をみると、従来、被貸与者に食事等を供する賄い業務の一環として行われていた。しかし、21年度以降、独身寮の賄い業務の廃止に伴い、34地方事務所等(注) は、賄い業務の一環として行われていた独身寮の廊下、階段等の共用部分の清掃等業務を庁舎等清掃業務に含めるなどとする仕様を定め、これに基づき計74件の清掃等業務に係る費用の積算額を計7943万余円(22年度4037万余円、23年度3905万余円)としていた。
 このように、地方事務所等において、独身寮の清掃等業務の委託に当たり、国が費用を負担しない共用部分を委託の範囲に含めて仕様を決定している事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。

 34地方事務所等  中国、四国両地方整備局、宇都宮国道、利根川水系砂防、鬼怒川ダム統合管理、京浜港湾、信濃川下流河川、木曽川上流河川、静岡国道、豊橋河川、清水港湾、名古屋港湾、福井河川国道、琵琶湖河川、福知山河川国道、姫路河川国道、豊岡河川国道、神戸港湾、倉吉河川国道、徳島河川国道、四国山地砂防、松山河川国道、中村河川国道、小松島港湾・空港整備、高松港湾・空港整備、遠賀川河川、延岡河川国道各事務所、大町ダム管理所、札幌、函館、小樽、室蘭、釧路、帯広各開発建設部

 (低減できた積算額)

 前記のことから委託した22、23両年度の独身寮の清掃等業務に係る費用の積算額について、独身寮の廊下、階段等の共用部分を除き、修正計算すると計3630万余円(22年度1793万余円、23年度1836万余円)となり、前記の積算額に比べて約4310万円(22年度約2240万円、23年度約2060万円)低減できたと認められた。

 (発生原因)

 このような事態が生じていたのは、国土交通省において、独身寮の清掃等業務の委託の実態を把握していなかったことにもよるが、独身寮の清掃等業務の委託に係る廊下、階段等の共用部分の取扱いについての認識が十分でなく、また、地方事務所等に対してその取扱いを周知していなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、国土交通省は24年7月に地方事務所等に対して通知を発し、独身寮の清掃等業務の委託に当たり、独身寮の廊下、階段等の共用部分を委託の範囲に含めない取扱いとしていることを周知し、これに基づき地方事務所等に独身寮の清掃等業務に係る仕様を定めさせることにより、独身寮の清掃等業務に係る費用の積算を適切なものとする処置を講じた。