1件 不当と認める国庫補助金 48,239,000円
(1件 不当と認める国庫補助金 48,239,000円)
部局等 | 補助事業者 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 (国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(301) | 環境本省 | 室蘭新エネ開発株式会社 | 二酸化炭素排出抑制対策 | 17〜19 | 1,436,847 (1,436,847) |
718,423 | 86,847 (86,847) |
48,239 |
この補助事業は、室蘭新エネ開発株式会社が、エネルギー起源二酸化炭素の排出量を削減するために、風力発電設備2基及び太陽光発電設備1基を整備したものである。
二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(民間団体)交付要綱(平成15年10月環境大臣通知。以下「交付要綱」という。)によれば、補助の対象となる経費は事業を行うために必要な工事費、事務費等とされており、このうち事務費は、事業実施のために直接必要な事務に要する費用であって、共済費、旅費、需用費等とされている。そして、〔1〕補助対象経費の実支出額と環境大臣が必要と認めた額である基準額とのいずれかを比較して少ない方の額に2分の1を乗じて得た額、〔2〕総事業費から寄付金その他の収入額を控除した額に2分の1を乗じて得た額及び〔3〕補助対象経費の実支出額から投資回収見込み及び事業者の投資選好を考慮して算定される額を控除した額をそれぞれ算出して比較し、最も少ない額を国庫補助金交付額とすることとされている。
また、消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)は、事業者が課税対象となる取引を行った場合に納税義務を生ずるが、生産及び流通の各段階で重ねて課税されないように、確定申告において、課税売上高に対する消費税額から課税仕入れに係る消費税額を控除(以下、この控除を「仕入税額控除」という。)する仕組みが採られている。
そして、補助事業の事業主体が補助対象の施設等を取得することなども課税仕入れに該当して、上記の仕組みにより確定申告の際に補助事業で取得した施設等に係る消費税額を仕入税額控除した場合には、補助事業者は当該施設等に係る消費税額を実質的に負担していないことになる。このため、補助事業の事業主体は、交付要綱により、補助事業完了後に消費税の確定申告により仕入税額控除した消費税額に係る補助金の額が確定したときには、その金額を速やかに報告するとともに、当該金額を返還しなければならないこととされている。
そして、同会社は、平成17年度事業(18年度繰越分を含む。)及び18年度事業(19年度繰越分を含む。)において、本件補助事業を事業費両年度計1,436,847,825円(国庫補助対象事業費同額)で実施したとして、環境本省に実績報告書を提出し、これにより国庫補助金計718,423,000円の交付を受けていた。
しかし、同会社は、消費税の確定申告の際に、本件補助事業の工事費等に係る消費税額17年度事業37,450,000円、18年度事業30,050,000円、計67,500,000円を仕入税額控除していたのに、これに係る報告及び返還を行っていなかった。
また、同会社は、事業実施のために直接必要な事務に要した費用とは認められないしゅん工式に係る経費や業務内容が確認できない委託作業に係る経費等計19,347,825円を17年度事業の事務費として助対象経費の実支出額に含めていた。
したがって、補助対象経費の実支出額から本件補助事業における仕入税額控除に係る消費税相当額、事業実施のために直接必要のない経費等を除くなどして、適正な国庫補助金交付額を算定すると計670,184,000円となり、本件国庫補助金交付額計718,423,000円はこれに比べて48,239,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同会社において国庫補助金交付額の算定に対する認識が十分でなかったこと、また、環境本省において本件補助事業の実績報告書の審査及び同会社に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。