会計名及び科目 | 一般会計 (組織)防衛本省 | (項)防衛本省共通費 |
(項)武器車両等整備費 | ||
(項)艦船整備費 | ||
(項)人材確保育成費 | ||
部局等 | 東京業務隊、2地方総監部、2航空基地、航空補給処 | |
電子複写機の保守の概要 | 電子複写機について点検、調整、修理、トナーカートリッジの提供等を実施させるもの | |
検査対象とした電子複写機台数 | 1,033台 | |
上記の電子複写機の保守費用 | 8億8632万余円 | (平成22、23両年度) |
経済的な保守方式となっていなかった電子複写機台数 | 80台 | |
上記の電子複写機の保守費用 | 1億8855万余円 | (平成22、23両年度) |
節減できた保守費用 | 4289万円 | (平成22、23両年度) |
海上自衛隊は、多数の電子複写機(プリンタ機能等も有する電子複合機を含む。以下同じ。)を購入し、各種業務の実施に際して、書類の複写等のために使用している。そして、電子複写機について、保守業者と保守契約を締結するなどの方法により、点検、調整、修理、トナーカートリッジの提供等を実施させている。
電子複写機の保守には、主として次の二つの方式があり、これらは料金体系は異なるものの、故障時の修理等保守の内容は一般的に同一とされている。
ア カウンター方式
カウンター方式は、保守業者と保守契約を締結し、その契約期間内に電子複写機の保守を実施させるものであり、その間の保守費用は、電子複写機内部に記録される複写等の枚数に、1枚当たりの保守料金(以下「保守単価」という。)を乗ずるなどして算出する額となる。そして、保守単価は、保守業者により、通常複写等の枚数が多くなるに従って安くなるように設定されている。
イ コピーキット方式
コピーキット方式は、電子複写機の保守費用を含むトナーカートリッジ(以下「コピーキット」という。)を購入することにより、当該コピーキットを使用している間、保守を実施させるものであり、その間の保守費用は、コピーキットの購入額となる。このため、コピーキットの購入額をコピーキットの利用可能相当複写等枚数(注1)
で除して算出される保守単価は、複写等の枚数の多寡にかかわらず一定となる。
以上のことから、複写等が一定の枚数以上に及ぶ場合には、一般的に、電子複写機の保守費用はカウンター方式の方がコピーキット方式より経済的になるとされている。
なお、カウンター方式の方がコピーキット方式より経済的になる複写等の枚数は、電子複写機の機種等により異なるものとなっている。
海上自衛隊は、平成24年度から27年度までの間に、保有する多数の電子複写機について、購入年次の古いものなどから順次、電子複写機本体の借上げとその保守とを組み合わせた調達方法により更新することを計画しているが、更新するまでの間は、現在使用している電子複写機について、引き続きカウンター方式又はコピーキット方式による保守を実施させることにしている。
そこで、本院は、経済性等の観点から、電子複写機の保守費用が経済的となるよう保守方式を十分に比較検討した上で採用しているかなどの点に着眼して、海上幕僚監部、東京業務隊、4地方総監部、3航空基地(注2)
、函館基地隊、補給本部及び航空補給処(以下、海上幕僚監部を除き「各部隊」という。)において会計実地検査を行った。
検査に当たっては、23年度末時点で各部隊が使用していた電子複写機計1,033台(カウンター方式計32台、コピーキット方式計1,001台)に係る22、23両年度の保守費用計8億8632万余円(カウンター方式による保守費用計4555万余円及びコピーキット方式による保守費用計8億4077万余円の合計額)を対象として、これらに係る契約書等の関係資料の提出を受け、その内容を確認するなどの方法により検査した。
検査したところ、東京業務隊、横須賀、舞鶴両地方総監部、鹿屋、厚木両航空基地及び航空補給処(以下、これらを合わせて「東京業務隊等」という。)において、次のような事態が見受けられた。
すなわち、各部隊の電子複写機について、複写等の枚数をそれぞれの保守業者に提示し、現行と異なる保守方式とした場合の保守費用の見積りを徴するなどして、現行の保守費用と比較したところ、東京業務隊等がコピーキット方式による保守を実施させていた電子複写機計666台のうち、計80台(保守費用計1億8855万余円)については、複写等の枚数が多量に上っていたことから、カウンター方式による保守を実施させていた方が経済的であったと認められた。
このように、電子複写機の保守の実施に当たり、経済的な方式についての検討が十分でなく、保守費用が多額に支払われている事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。
東京業務隊等がコピーキット方式による保守を実施させていた上記の電子複写機計80台について、カウンター方式による保守を実施させていたとすれば、22、23両年度の保守費用計1億8855万余円は、計1億4565万余円となり、保守費用を計4289万余円節減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、東京業務隊等において、電子複写機の保守の実施に当たり、経済的な方式を採用することにより保守費用の節減を図ることの重要性に対する認識が十分でなかったこと、海上幕僚監部において、電子複写機の保守方式を比較検討し、より経済的な方式を採用することについての指導が十分でなかったことなどによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、海上幕僚監部は、24年3月に各部隊等に対して通知を発し、電子複写機の保守の実施に当たり、保守方式を比較検討するなどして、より経済的な保守方式を採用することとし、もって電子複写機の保守費用の節減を図るよう周知徹底する処置を講じた。