会社名 | (1) 東日本高速道路株式会社 | |||
(2) 中日本高速道路株式会社 | ||||
(3) 西日本高速道路株式会社 | ||||
科目 | (1)〜(3) 仕掛道路資産、管理費用 | |||
部局等 | (1)〜(3) 本社 | |||
契約名 | 技術情報に関する協力・支援業務等9契約 | |||
契約の概要 | 技術情報の収集・管理・提供、システムの運用等に関する技術協力業務を委託するもの | |||
契約の相手方 | 株式会社高速道路総合技術研究所 | |||
契約 | 平成22年4月、23年4月 業務委託基本協定に基づく契約 | |||
上記の契約に係る運用管理費及び補助費の支払額 | (1) | 3億6254万余円 | (平成22、23両年度) | |
(2) | 3億6254万余円 | (平成22、23両年度) | ||
(3) | 3億6254万余円 | (平成22、23両年度) | ||
計 | 10億8762万余円 | |||
節減できた運用管理費及び補助費の支払額 | (1) | 2049万円 | (平成22、23両年度) | |
(2) | 2049万円 | (平成22、23両年度) | ||
(3) | 2049万円 | (平成22、23両年度) | ||
計 | 6149万円 |
東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社及び西日本高速道路株式会社(以下、これらの会社を総称して「3会社」という。)は、高速道路事業の質の向上と効率化に資することを目的として、平成22、23両年度に、技術情報の収集・管理・提供、システムの運用等に関する技術協力について、28件の業務委託契約(以下「28契約」という。)を共同又は単独で株式会社高速道路総合技術研究所(3会社がそれぞれ3分の1ずつを出資。以下「高速総研」という。)と締結して実施させている。
3会社が高速総研と締結した28契約における委託費は、委託業務を履行する高速総研の社員に係る人件費等の経費、再委託費、運用管理費及び補助費から構成されていて、このうち、運用管理費及び補助費については、業務委託契約書等において、次のように定められている。
ア 運用管理費
この費用は、会社が共通して使用するシステムの運用等に関する技術協力を年間を通じて実施するためのもので、運用管理費ごとに一式当たりの契約単価(年間)が定められている。高速総研は、契約単価に基づく毎月の請求額を記載した内訳書を作成することとされていて、内訳書に記載した請求額により毎月の運用管理費を3会社に請求することとされている。
イ 補助費
この費用は、業務委託契約において実施する研修や交通量推計等に係る補助業務を実施するためのもので、補助費ごとにそれぞれの契約単位(人日、一式、回)当たりの契約単価が定められている。高速総研は、契約単価に基づき補助費を3会社に請求することとされている。
高速総研は、3会社から共同で委託された業務委託契約については、委託費を3会社に均等に案分した上で請求することとされていて、3会社は毎月、高速総研に対して委託費を支払っている。
28契約のうち、3会社が共同で業務委託契約を締結している計9件の契約(以下「9契約」という。)においては、委託費に運用管理費及び補助費が含まれており、その契約別の内訳は表1 のとおりとなっている。
年度 | 契約件名 | 運用管理費 | 補助費 |
平成22 | 技術情報に関する協力・支援業務 | システムの運用管理費 | データウェアハウス研修補助費 |
技術情報の運用管理費 | — | ||
認証局の運用管理費 | — | ||
交通環境及び施設に関する協力・支援業務 | 道路施設管理システムの運用管理費 | 簡易型車両感知装置説明会補助費 | |
施設工事積算システムの運用管理費 | 騒音源探査技術説明会補助費 | ||
道路に関する協力・支援業務 | — | 橋梁マネジメント研修補助費 | |
— | 橋梁マネジメント研修資料作成補助費 | ||
高速道路の交通需要検討に関する協力・支援業務 | — | 協力支援補助業務費 | |
23 | 技術情報に関する協力・支援業務 | システムの運用管理費 | — |
技術情報の運用管理費 | — | ||
認証局の運用管理費 | — | ||
施設に関する協力・支援業務 | 道路施設管理システムの運用管理費 | — | |
施設工事積算システムの運用管理費 | — | ||
道路に関する協力・支援業務 | — | 舗装マネジメントシステム講習会補助費 | |
— | 舗装マネジメントシステム講習会資料作成補助費 | ||
— | 橋梁マネジメント研修補助費 | ||
— | 橋梁マネジメント研修資料作成補助費 | ||
高速道路の交通需要検討に関する協力・支援業務 | — | 協力支援補助業務費 | |
管理基盤推進に関する協力・支援業務 | — | 鋼橋塗膜劣化度診断システム類運用支援補助業務費 |
本院は、経済性等の観点から、3会社が高速総研と締結した業務委託契約の委託費の支払額は高速総研が業務の実施に要した費用に基づく適切なものとなっているかなどに着眼して、28契約(支払額計44億7040万余円)を対象として検査を行った。検査に当たっては、3会社において、業務委託契約書、実施計画書等の書類を確認するとともに、高速総研において、業務の実施状況や委託費の請求根拠を関係資料に基づき確認するなどして会計実地検査を行った。
検査したところ、28契約のうち9契約の運用管理費及び補助費について、次のような事態が見受けられた。
3会社は、高速総研との業務委託契約の締結に当たり、高速総研に業務量を想定させるなどし、外注業者から見積額を徴するなどして、運用管理費及び補助費の所要額を算定させ、これに基づき契約単価を決定していた。
そして、高速総研は、業務委託契約に基づき、運用管理費によるシステムの運用等の業務又は補助費による各種研修や交通量推計等に係る補助業務を全て外注により行っていた。
しかし、高速総研は、3会社と契約を締結した後に外注業者と随意契約等(22、23両年度で計109件)を締結して外注業者に外注費を支払っていたことから、所要額算定時に徴した外注費の見積額と見積協議等による外注費の額との間に開差が生じていたり、所要額算定時に想定した業務量が実際の業務量とかい離していたりなどしていた。この結果、22、23両年度に、3会社が高速総研に支払った9契約に係る運用管理費及び補助費と、高速総研が外注業者に支払った上記109件の契約に係る外注費等とを比較すると、表2
のとおり、3会社が契約単価に基づき高速総研に支払った運用管理費及び補助費は、高速総研が外注業者に支払った外注費等を上回っていた。
表2 3会社が支払った運用管理費及び補助費と高速総研が支払った外注費等
(単位:円)
年度 | 費用の種類 | 3会社が契約単価に基づき高速総研に支払った運用管理費及び補助費 | 高速総研が外注業者に支払った外注費等 |
平成22 | 運用管理費 | 406,665,000 | 366,249,241 |
補助費 | 130,436,775 | 123,874,440 | |
23 | 運用管理費 | 419,517,000 | 409,393,965 |
補助費 | 131,004,300 | 126,607,361 | |
22、23両年度計 | 1,087,623,075 | 1,026,125,007 |
このように、3会社が契約単価に基づき支払った運用管理費及び補助費と高速総研が実際に支払った外注費等との間に開差が生じていたのに、3会社において、運用管理費及び補助費を契約単価により支払っていた事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。
3会社が22、23両年度に高速総研に支払った9契約の運用管理費及び補助費計10億8762万余円を高速総研が支払った外注費等に基づいて修正計算すると計10億2612万余円となり、計6149万余円(東日本高速道路株式会社2049万余円、中日本高速道路株式会社2049万余円、西日本高速道路株式会社2049万余円)節減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、会社において、高速総研が実際に支払った外注費等の額を把握し、運用管理費及び補助費の支払額を当該外注費等に基づいた額とすることについての認識が十分でなかったことなどによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、3会社は、24年8月に、高速総研との間で確認書を取り交わし、同年9月以降締結する業務委託契約における運用管理費及び補助費について、高速総研が実際に要した外注費等に基づく額とすることとするとともに、確認書に基づき、運用管理費及び補助費が含まれている24年度の契約について、高速総研との間で変更契約を締結する処置を講じた。