科目 | 一般勘定 (項)作業請負費 | |
部局等 | 独立行政法人情報通信研究機構本部 | |
契約名 | 比吸収率計測及びプローブ較正システム改良作業 | |
契約の概要 | 携帯電話機等の電波の比吸収率を測定するシステムの改良等の際に関連データの取得等の作業を実施したり、測定等に関連する発表支援及び動向調査の作業を実施したりなどするもの | |
契約の相手方 | エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社 | |
契約 | 平成21年5月 一般競争契約 | |
契約額 | 58,999,500円 | (平成21年度) |
過大となっていた契約額 | 4,556,045円 | (平成21年度) |
独立行政法人情報通信研究機構(以下「機構」という。)は、平成21年度に、人体が電波にさらされたときの安全性に関する研究の一環として、携帯電話機等から発せられる電波が人体頭部に吸収される度合いを表す値である比吸収率(Specific Absorption Rate。以下「SAR」という。)の測定支援作業等を、一般競争契約により、エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社(以下「業者」という。)に契約額58,999,500円で請け負わせて実施している。
本件契約の仕様書によると、機構は、業者に、SARを測定するシステムの改良等の際に関連データの取得等の作業を実施させるほか、SARの測定等に関連する学会等に参加して、機構の職員による発表を補佐するとともに、関連する研究発表の動向を調査する作業(以下、この発表を補佐するなどの作業を「発表支援作業」という。)等を実施させることとしていた。そして、機構は、発表支援作業については、仕様書において、実施予定の支援件数(国内における支援8件、海外における支援4件)、人日数(60人日程度)及び旅費(150万円程度)を記載して、業者にその履行を求めていた。
機構は、本件契約に係る予定価格の算定に当たり、発表支援作業については、仕様書で予定していた上記の人日数等を基に人件費及び旅費を算出していた。
また、機構は、本件契約の契約書において、必要がある場合には、発表支援作業等の内容を変更できることとしており、これに伴い契約額を変更する必要があるときは、業者と協議してこれを定めることとしていた。
本院は、合規性、経済性等の観点から、発表支援作業が仕様書に沿って適切に実施されているかなどに着眼して、機構本部において、契約書、仕様書、作業報告書等の書類により会計実地検査を行った。
検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
すなわち、発表支援作業は、実際には国内における支援が2件実施されたのみで、海外における支援は1件も実施されていなかった。このため、人日数及び旅費の実績は、10人日及び212,920円となっていた。
しかし、機構は、仕様書で予定していた作業の内容を変更していたのに、契約額の変更を行わないままその全額を業者に支払っていた。
したがって、発表支援作業に係る人件費及び旅費について、契約額の変更を適切に行ったとして適正な契約額を算定すると、54,443,455円となり、前記の契約額58,999,500円との差額4,556,045円が過大となっていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、機構において、仕様書で予定していた作業の内容を変更したことに伴い契約額の変更を行うことに対する認識が十分でなかったことなどによると認められる。