科目 | 工具器具備品 | |
部局等 | 独立行政法人農林水産消費安全技術センター本部 | |
契約名 | 超遠心粉砕機売買契約 | |
契約の概要 | 分析前に試料を粉砕するための超遠心粉砕機3台を調達するもの | |
契約の相手方 | 有限会社小松屋(平成22年9月1日以降は株式会社小松屋) | |
契約 | 平成20年2月 | 一般競争契約 |
検査 | 平成20年3月 | |
支払 | 平成20年3月 | |
支払額 | 3,171,000円 | (平成19年度) |
不当と認める支払額 | 3,171,000円 | (平成19年度) |
独立行政法人農林水産消費安全技術センター(以下「消費安全技術センター」という。)本部(以下、消費安全技術センター本部を「本部」という。)は、平成20年2月に、下水処理の際等に発生した汚泥を有効利用した汚泥肥料等を分析する際に使用する超遠心粉砕機(以下「粉砕機」という。)3台の売買契約を、一般競争契約により有限会社小松屋(22年9月1日以降は株式会社小松屋。以下「会社」という。)と契約金額3,171,000円で締結している。そして、本部は、本件契約により調達した粉砕機を仙台センター、名古屋センター及び神戸センター大阪事務所(注)
(以下、これらを合わせて「3センター」という。)にそれぞれ1台ずつ設置している。
粉砕機は、分析する試料の均一性を高めて分析結果のばらつきが少なくなるように、分析前に試料を粉砕するための装置であり、本件契約は、3センターにおける汚泥肥料等に係る分析の効率化を図ることを目的として、専ら汚泥肥料等を粉砕するための粉砕機を調達したものである。
消費安全技術センターは、「独立行政法人農林水産消費安全技術センター会計規程」(平成13年13本消技第100号。以下「会計規程」という。)等に基づき、物件の買入れなどに係る契約についての給付の完了の確認をするための必要な検査を、理事長から契約事務について委任を受けた職員(以下「契約責任者」という。)が、自ら又は補助者に命じて、契約書、仕様書等の関係書類により行うこととしている。また、検査の実施に当たっては、その検査を行う職員(以下「検査職員」という。)が、物品の規格、品質、性能等の仕様を確認することとしている。
本件契約においては、本部は、粉砕機の納入後、契約責任者が命じた補助者である3センターの検査職員にそれぞれ給付の完了の確認をするための検査を行わせ、20年3月に、その確認を終えた旨の報告を受けたことから、会社に対して契約金額全額を支払っている。
本院は、合規性等の観点から、契約事務が会計規程等に基づき適正に行われているかなどに着眼して、本部及び3センターにおいて契約関係書類を確認するなどして会計実地検査を行った。
検査したところ、次のとおり適切でない事態が見受けられた。
本部は、本件契約に当たり、一度に500mL以上の試料を粉砕することができる粉砕機を調達することとしていた。
しかし、本部は、入札参加者に交付した入札説明書中の仕様書には、粉砕機の仕様について、「試料の処理量は500mL以上であること」などと記載し、一度に500mL以上の試料を粉砕することができる性能が必要なことを入札参加者に正確に伝わるように記載していなかった。このため、一度に粉砕できる試料の最大量が200mLである粉砕機を納入することとしていた会社が入札し、落札する結果となった。
また、本部は、本件契約の仕様書においても、粉砕機の仕様について、入札説明書中の仕様書と同様の記載を行っていた。
さらに、3センターの検査職員は、納入された粉砕機について、給付の完了の確認をするための検査を実施した際に、現品の確認及び動作の確認を行っただけで、取扱説明書に一度に粉砕できる試料の最大量が200mLである旨の記載があることを見落としていた。
そして、3センターにおいて、設置された粉砕機が一度に500mL以上の試料を粉砕することができると誤認して試料を処理するなどしたことから、いずれの粉砕機も、許容範囲を超える粉砕時の摩擦熱により粉砕できなくなるなどの不具合が生じ、使用が一時中止されていたり、汚泥肥料等の粉砕に使用されていなかったりなどしていて、当初の目的どおりに使用されていない状況となっていた。
したがって、本件契約で調達した粉砕機が必要とする仕様を満たしていないのに、契約が履行されたとして契約金額を支払っていた事態は適切でなく、支払額3,171,000円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、本部において仕様書の記載が適切でなかったこと、3センターにおいて会計規程等に基づく給付の完了の確認をするための検査を適切に行うことについての認識が十分でなかったことなどによると認められる。