独立行政法人産業技術総合研究所(以下「研究所」という。)は、東京、つくば両本部のほか、国内9か所に地域センターを設置し、さらに、必要に応じて、両本部及び各地域センター管内に支所、サイト等(以下、これらを総称して「研究拠点等」という。)を設置している。しかし、中部センター瀬戸サイト及び関西センター尼崎支所は、利用が著しく低く、両センター本所への集約化が可能な状況となっているにもかかわらず、保有資産の見直しが十分に実施されていないなどの事態が見受けられた。
したがって、研究所において、各研究拠点等の利用状況を的確に把握する体制を整備するとともに、瀬戸サイトについては土地及び建物の国庫納付に向けて速やかに集約化を図り、尼崎支所については現在実施している研究プロジェクトが終了する時点等の適切な時期を見極めた上で、集約化に向けた具体的な計画を早急に定める処置を講ずるよう、独立行政法人産業技術総合研究所理事長に対して平成23年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。
本院は、研究所つくば本部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、研究所は、本院指摘の趣旨に沿い、24年5月までに規程の見直しなどを行い、全国の研究拠点等の利活用状況を適時適切に把握する体制を整備するとともに、次のような処置を講じていた。
ア 瀬戸サイトについては、土地及び建物の国庫納付に向けて24年3月に廃止して、中部センター本所へ集約した。
イ 尼崎支所については、遅くとも29年3月までに廃止して、関西センター本所への集約化を進めるなどとする計画を24年3月に定めた。