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  • 平成23年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • 第24 独立行政法人農畜産業振興機構|
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  • 補助金

畜産自給力強化緊急支援事業の実施に当たり、補助の対象とならない機械の購入費について補助金が交付されていたもの


(325) 畜産自給力強化緊急支援事業の実施に当たり、補助の対象とならない機械の購入費について補助金が交付されていたもの

科目 (畜産勘定) (項)畜産振興事業費
部局等 独立行政法人農畜産業振興機構本部
補助の根拠 独立行政法人農畜産業振興機構法(平成14年法律第126号)
補助事業者 全国農業協同組合連合会
間接補助事業者
(事業主体)
有限会社アグリーン鹿屋
補助事業 畜産自給力強化緊急支援事業
補助事業の概要 農家から委託を受けて収穫作業等を行う飼料生産受託組織等の経営の高度化を図るために、リース方式による機械の導入等に要する経費について補助するもの
事業費 21,506,000円 (平成21年度)
上記に対する機構の補助金相当額 10,749,000円  
不当と認める事業費 4,338,000円 (平成21年度)
不当と認める機構の補助金相当額 2,167,000円 (平成21年度)

1 補助事業の概要

 独立行政法人農畜産業振興機構(以下「機構」という。)は、国から交付される交付金等を財源として、独立行政法人農畜産業振興機構法(平成14年法律第126号)に基づき、畜産物の生産又は流通の合理化を図るための事業その他の畜産業の振興に資するための事業で農林水産省令で定めるものについてその経費を補助している。
 畜産自給力強化緊急支援事業は、畜産自給力強化緊急支援事業実施要綱(平成21年21農畜機第1063号。以下「実施要綱」という。)等に基づき、全国農業協同組合連合会(以下「全農」という。)が農家から委託を受けて飼料の作付け、収穫作業等を行う飼料生産受託組織(以下「受託組織」という。)等の経営の高度化を図るために、リース方式により農業用機械(以下「機械」という。)の導入等を支援する事業に対して、これに必要な費用の一部を機構が補助するものである。そして、全農は、導入される機械の取得価額の2分の1に相当する金額をリース会社に交付することにより借受者である受託組織を支援している。
 実施要綱等によれば、全農はこの事業の事務の一部を都府県の農業協同組合連合会等(以下「県連等」という。)に、県連等は事業の事務の一部を更に農業協同組合(以下「農協」という。)にそれぞれ委託することができることとされている。そして、それぞれが事務を委託した場合には、農協は受託組織等から提出された補助金交付申請書等の内容を審査して県連等に提出し、県連等は提出された書類の内容を審査して全農に提出することとなっている。また、補助の対象となる機械は、飼料播(は)種機械、収穫機械、調整用機械(注) 等とされており、それぞれの機械の種類や機械の作業幅等について求められる仕様が定められている。
 受託組織である有限会社アグリーン鹿屋(以下「会社」という。)は、平成21年度に、鹿児島きもつき農業協同組合(以下「きもつき農協」という。)にロータリー、ジャイロレーキ、モアコンディショナー(自走式)等13台の機械を事業費計21,506,000円でリース方式により導入するとした補助金交付申請書等を提出していた。きもつき農協は同申請書等を審査して鹿児島県経済農業協同組合連合会(以下「県経済連」という。)に提出した後、県経済連は同申請書等を審査して全農に提出していた。そして、会社は、補助金の交付が決定された後に、リース会社とリース契約を締結して、上記13台の機械を導入し、その旨の実績報告書をリース会社を通じて全農に提出して、全農は導入された機械の取得価額の2分の1に相当する金額10,749,000円をリース会社に支払っていた。

 飼料播(は)種機械、収穫機械、調整用機械  飼料の種子を播(ま)く機械、作物を刈る機械、刈った牧草を集めて列にするなどの機械

2 検査の結果

 本院は、合規性等の観点から、導入された機械が実施要綱等で求められる仕様を満たしているかなどに着眼して、機構本部において、実績報告書等の書類により会計実地検査を行った。
 検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
 すなわち、会社が導入した13台の機械のうち、ロータリー等3台は補助の対象とされている飼料播種機械、収穫機械、調整用機械等のいずれにも該当しておらず、また、調整用機械であるジャイロレーキ1台及び収穫機械であるモアコンディショナー(自走式)1台は作業幅について求められる仕様を満たしていなかった。
 したがって、前記13台の機械の購入費計21,506,000円のうち、上記5台の機械の購入費計4,338,000円は補助の対象とは認められず、これに係る機構の補助金相当額計10,749,000円のうち計2,167,000円が不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、会社において補助の対象となる機械の範囲についての理解が十分でなかったこと、きもつき農協及び県経済連において本件補助事業の審査及び確認が十分でなかったこと、全農において本件補助事業の審査及び確認並びに会社及び県経済連に対する指導が十分でなかったこと、機構において全農に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。