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  • 平成23年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • 第27 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構|
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  • 物件

共同研究事業で取得した資産の一部を共有取得財産として管理していなかったため、事業者に共有取得財産に係る持分を有償譲渡した際の資産売却収入が不足していたもの


 (326) 共同研究事業で取得した資産の一部を共有取得財産として管理していなかったため、事業者に共有取得財産に係る持分を有償譲渡した際の資産売却収入が不足していたもの

科目 (エネルギー需給勘定)その他収入
部局等 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構本部
財産の概要 低燃費LPGエンジンシステムの研究開発に係る共同研究事業で取得した共有取得財産
有償譲渡の相手方 株式会社ニッキ
管理していなかった共有取得財産の数量及び取得価額 8件  32,364,500円 (平成18年度〜20年度)
上記のうち有償譲渡すべき共有取得財産の数量及び取得価額 3件  12,141,500円 (平成18年度〜20年度)
不足していた資産売却収入 4,322,978円 (平成21年度)

1 共有取得財産の概要

 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「機構」という。)は、平成18年度に株式会社ニッキ(以下「事業者」という。)と「エネルギー使用合理化技術戦略的開発/エネルギー使用合理化技術実用化開発/低燃費LPGエンジンシステムの研究開発」に係る共同研究契約を締結している。この共同研究事業は、LPG燃料噴射システムの開発等を行うものであり、共同研究契約約款(以下「約款」という。)に基づき、共同研究に要する経費(以下「共同研究費」という。)の3分の2を機構が負担することとなっている。事業者は、21年3月に共同研究を終了して、共同研究費を960,809,090円とする実績報告書を機構に提出し、機構は、これを検査した上でその額を確定して機構の負担額640,539,393円を事業者に支払っている。
 上記の約款等において、共同研究事業を実施するために事業者が購入又は製造した取得財産のうち、取得価額が50万円以上かつ使用可能年数が1年以上の取得財産については、機構と事業者とが相互の負担割合を持分として共有する取得財産(以下「共有取得財産」という。)とすることとされている。また、この共有取得財産については、事業者が購入又は製造したものであることから、機構は、事業者からの報告を受けて、その内容を確認した上で、機構の資産管理簿に記載して適正かつ円滑に管理することとしている。
 そして、共同研究事業終了後、機構は、使用目的が完了した共有取得財産について、機構が所有する必要がなくなった場合に、原則として事業者に有償譲渡することとしている。また、今後の研究では使用できないなど、有償譲渡することが不適当であると認められる場合は、廃棄処理を行うことができることとしている
 機構は、本件共同研究事業の実施期間中に、取得財産43件(取得価額306,305,416円)を共有取得財産として管理していた。そして、共同研究事業終了後の22年3月に共有取得財産37件(取得価額294,906,916円)については機構持分の残存価額である87,714,876円で事業者に有償譲渡し、それ以外の共有取得財産6件(取得価額11,398,500円)については廃棄処理を行っていた。

2 検査の結果

 本院は、機構本部等において、合規性等の観点から、共同研究事業の経理及び同事業で取得した共有取得財産の管理等が約款等に基づき適正に実施されているかに着眼して、実績報告書等の書類により会計実地検査を行った。
 検査したところ、事業者は、共同研究事業で設置した実験棟施設のLPGエンジンバルブ耐久試験場に電力を供給する高圧受電設備等の実験設備8件(取得価額32,364,500円)について、約款等で定める共有取得財産としての報告を機構に対して行っていなかった。この結果、機構においても、実験設備8件を共有取得財産として把握しておらず、共同研究事業の終了後に共同研究費を確定する際にも、有償譲渡等の対象となる共有取得財産としての把握及び管理を適正に行っていなかった。
 しかし、実験設備8件は、いずれも取得価額が50万円以上かつ使用可能年数が1年以上の取得財産であることから、共有取得財産として機構が資産管理簿により管理すべきであった。そして、実験設備8件のうち、今後の研究で使用することができないことから有償譲渡が不適当なため廃棄処理を行うこととなる共有取得財産5件(取得価額20,223,000円)を除く共有取得財産3件(取得価額12,141,500円)については、有償譲渡により事業者が引き取る必要があると認められた。
 したがって、上記の共有取得財産3件について機構の持分を有償譲渡する際の価額を算定すると、計4,322,978円となり、同額の資産売却収入が不足していて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、事業者において、共同研究事業の適正な執行に対する理解が十分でなかったこと、機構において、事業者に対する指導、審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。