ページトップ
  • 平成23年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第34 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構|
  • 不当事項|
  • 工事

委託工事に係る消費税相当額の算定が適切でなかったもの


 (332) 委託工事に係る消費税相当額の算定が適切でなかったもの

科目 (建設勘定) (項)業務経費
部局等 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構鉄道建設本部北陸新幹線第二建設局
委託工事名 (1) 北陸新幹線富山駅付近の建設に伴う光ケーブル等の移設工事等5工事(平成18年度〜23年度)
(2) 北陸新幹線建設工事に伴うナフサ管移設工事(平成20年度)
委託工事の概要 (1) 北陸新幹線の建設工事の実施に当たり、支障となる光ケーブル等の移設等に係る工事を当該所有者に委託して実施するもの
(2) 北陸新幹線の建設工事の実施に当たり、支障となる鋼管の移設等に係る工事を当該所有者に委託して実施するもの
委託工事費 (1) 81,987,215円  
(2) 77,055,906円  
159,043,121円  
受託者 (1) ソフトバンクテレコム株式会社
(2) 日産化学工業株式会社
契約 (1) 平成18年12月 ほか 契約5件 随意契約
(2) 平成20年6月 随意契約
支払 (1) 平成19年3月 ほか
(2) 平成20年9月  
過大となっていた支払額 (1) 3,904,151円 (平成18年度〜23年度)
(2) 3,669,328円 (平成20年度)
7,573,479円  

1 委託工事の概要

 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構鉄道建設本部北陸新幹線第二建設局(以下「建設局」という。)は、北陸新幹線の建設に当たって、他の事業者が所有する既存の各種施設が建設工事の支障となることから、当該施設の移設等に係る工事(以下「移設等工事」という。)をその所有者に委託して実施している。
 そして、建設局は、ソフトバンクテレコム株式会社が所有する光ケーブル等の移設等に当たっては、平成18年度から23年度までの間に、日産化学工業株式会社が所有するナフサ(注) を輸送する鋼管の移設等に当たっては、20年度に、工事期間、委託工事費、委託工事費の負担額等を定めた委託工事に係る協定等(以下「協定等」という。)を両会社との間でそれぞれ計6件締結して実施していた。
 協定等によると、ソフトバンクテレコム株式会社及び日産化学工業株式会社(以下、これらを合わせて「受託者」という。)は、工事しゅん功後、速やかに工事費の精算額を記載した書類(以下「精算書」という。)を作成し、当該工事費を明らかにする関係書類を添付して建設局に提出し、これにより建設局は工事費を確定することなどとされていた。
 また、受託者は、消費税法(昭和63年法律第108号)上の事業者に当たり、対価を得て行った工事については、資産の譲渡等に該当するため消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)の課税対象となる。ただし、工事の対象が受託者の所有する既存の施設の移設であり、資産の帰属が受託者になる場合は、当該工事費については資産の譲渡等の対価に該当せず、消費税の課税対象外として処理されることとなる。
 そして、建設局は、前記6件の協定等に係る委託工事費の確定に当たり、受託者から提出された精算書等に基づき、移設等工事に要する費用(以下「移設等工事費」という。)計151,469,642円に、この額を課税対象として算定した消費税相当額計7,573,479円を加算した計159,043,121円を受託者に委託工事費として支払っていた。

 ナフサ  石油の精製過程でガソリンと灯油の中間にできる粗製ガソリン

2 検査の結果

 本院は、建設局において、合規性等の観点から、委託工事費の算定が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、前記6件の協定等に係る委託工事について、精算書等の書類を検査するなどしたところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
 すなわち、本件委託工事の対象は、受託者が所有する既存の施設の移設であり、工事完成後の資産は受託者に帰属するものであることから、移設等工事費は資産の譲渡等の対価に該当せず、消費税の課税対象外として処理しなければならないものである。
 したがって、前記6件の移設等工事費計151,469,642円は消費税の課税対象外であり、これに係る消費税相当額計7,573,479円が過大となっていて不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、建設局において、委託工事費の確定に当たり、移設等工事費に係る消費税の取扱いについての理解が十分でなかったこと、精算書等の審査が十分でなかったことなどによると認められる。