科目 | (一般勘定) 現金及び預金 | |
部局等 | 独立行政法人中小企業基盤整備機構本部 | |
不要財産の概要 | 独立行政法人が保有する財産のうち、将来にわたり業務を確実に実施 する上で必要がなくなったと認められる財産 |
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第2期中期目標期間に繰り越された繊維関連業務に係る前中期目標期間繰越積立金の額 | 13億8098万余円 | |
平成23年度末における繊維関連業務に係る前中期目標期間繰越積立金の額 | 8億7260万余円 | |
上記のうち不要財産として国庫納付すべき額 | 8億5700万円 |
独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下「機構」という。)は、繊維産業構造改善事業協会(以下「旧協会」という。)等をその前身とする中小企業総合事業団(一部の業務を除く。以下「旧事業団」という。)等の権利及び義務を承継して、平成16年7月に設立された法人である。
そして、機構は、独立行政法人中小企業基盤整備機構法(平成14年法律第147号。以下「機構法」という。)に基づき、旧協会が締結した債務保証契約に係る業務及びその附帯業務(以下、これらを合わせて「債務保証業務」という。)を行い、機構法の施行の日(16年6月1日)から起算して6年を超えない範囲内において政令で定める日までの間、繊維産業に係る情報調査業務、助成金の交付業務及びこれらに附帯する業務(以下、これらを合わせて「情報調査等業務」という。また、これらと債務保証業務とを合わせて「繊維関連業務」という。)を一般勘定において行うこととされている。
機構は、繊維関連業務に要する費用の財源に充てるために旧事業団から承継した政府からの支出に係る資金を第1期中期目標期間(16事業年度から20事業年度まで。以下、事業年度を「年度」という。)中に取り崩して支出し、その残額のうち13億8098万余円を、機構法第19条の規定に基づき、経済産業大臣の承認を受けて繰り越して、第2期中期目標期間(21年度から25年度まで)の期首に繊維関連業務に係る前中期目標期間繰越積立金として計上していた。
独立行政法人は、独立行政法人会計基準(平成12年2月独立行政法人会計基準研究会策定)により、中期目標期間の最終年度末において、前中期目標期間繰越積立金が残っている場合は、積立金に振り替えなければならないこととされている。
積立金の処分については、独立行政法人通則法(平成11年法律第103号。以下「通則法」という。)第44条の規定により、各年度の損益計算において利益を生じたときは、前年度から繰り越した損失を埋め、なお残余があるときはその残余の額を積立金として整理することとされている。また、損失を生じたときは、積立金を減額して整理することとされている。
そして、機構は、機構法第19条の規定に基づき、中期目標期間の最終年度末に上記の積立金の整理を行った後、当該積立金の額から次の中期目標期間の業務の財源に充てるために経済産業大臣の承認を受けて繰り越す額を控除してなお残余があるときは、その残余の額を国庫に納付しなければならないこととされている。
独立行政法人は、22年の通則法の改正により、中期目標期間の途中であっても、同法第8条第3項の規定により、その保有する重要な財産であって主務省令で定めるものが将来にわたり業務を確実に実施する上で必要がなくなったと認められる場合には、当該財産(以下「不要財産」という。)を処分しなければならないこととされ、同法第46条の2の規定により、不要財産であって政府からの出資又は支出(金銭の出資に該当するものを除く。)に係るもの(以下「政府出資等に係る不要財産」という。)については、遅滞なく、主務大臣の認可を受けて、これを国庫に納付するものとされている。ただし、主務大臣の認可を受けた中期計画に従って政府出資等に係る不要財産を国庫に納付するときは、国庫納付に係る主務大臣の認可は要しないこととされている。
そして、政府は、「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」(平成22年12月閣議決定。以下「基本方針」という。)において、各独立行政法人が、幅広い資産を対象に、自主的な見直しを不断に行い、保有する必要性があるかなどについて厳しく検証して、不要と認められるものについては速やかに国庫納付を行うことなどを掲げている。
本院は、有効性等の観点から、前中期目標期間繰越積立金の額に相当する資金が、今後必要となる額に見合った妥当な額となっているか、政府出資等に係る不要財産について速やかに国庫に納付する手続を行っているかなどに着眼して、機構本部において、繊維関連業務に係る経理書類等の関係書類により会計実地検査を行った。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
繊維関連業務のうち情報調査等業務については、前記のとおり、機構法の施行の日(16年6月1日)から起算して6年を超えない範囲内において行うことになっていることから、機構において、同業務を22年5月末に終了していた。また、債務保証業務については、旧協会が締結した債務保証契約に係る保証残高が23年1月に0円となり、それ以降は、当該債務保証から生じた求償権の管理業務のみを行っていた。
そして、機構は、第2期中期目標期間において、繰り越された繊維関連業務に係る前中期目標期間繰越積立金13億8098万余円から、繊維関連業務に要した経費として、21年度4億6094万余円、22年度4156万余円、23年度587万余円、計5億0838万余円を取り崩して支出しており、23年度末における上記の前中期目標期間繰越積立金の額は8億7260万余円となっていて、当初の見込額ほどには経費を要さずに情報調査等業務を終了したことなどから、執行残額が生ずる状況となっていた。
しかし、機構は、主要な事業が終了した繊維関連業務に係る前中期目標期間繰越積立金について、通則法の改正の趣旨及び基本方針等にのっとって速やかに国庫納付することを十分に検討していなかった。その結果、上記の資金の大部分が、第2期中期目標期間の終了する25年度末まで機構内部に留保されることが見込まれる状況となっていた。
したがって、23年度末における前記の前中期目標期間繰越積立金の額に相当する資金8億7260万余円について、今後、求償権の管理業務に要する費用の見込額及び求償権の行使による回収見込額を精査した上で、保有すべき額を検討し、その額を超える資金は、速やかに通則法に基づき国庫納付する必要があると認められた。
このような事態が生じていたのは、機構において、前中期目標期間繰越積立金については、機構法により中期目標期間の最終年度末に整理して、残余の額を国庫納付することとされていることもあり、通則法の改正の趣旨及び基本方針等にのっとって資産の見直しを行い、将来にわたり機構の業務を確実に実施する上で必要がないと認められる資金を不要財産と認定することについての認識が十分でなかったことなどによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、機構は、経済産業省と協議するなどして、23年度末における前記の前中期目標期間繰越積立金について、債務保証業務の実施に今後必要となる額を除くなどした額を不要財産として認定して、国庫納付することとした。そして、機構は、24年9月に、第2期中期計画を変更し、変更後の中期計画に従って、23年度末における前記の前中期目標期間繰越積立金の額8億7260万余円から第2期中期目標期間中に支出が見込まれる求償権の管理業務に要する費用の額1560万円を控除した額に相当する資金8億5700万余円を国庫納付する処置を講じた。