科目 | (都市再生勘定) (項)賃貸住宅業務費 | |
部局等 | 独立行政法人都市再生機構東日本賃貸住宅本部、神奈川地域支社等2支社(平成23年6月30日以前は、同機構東日本支社等3支社) | |
蛍光管の一斉取替作業の概要 | 賃貸住宅団地内の廊下灯、階段灯等の照明器具の清掃に併せて蛍光管を年末又は年度末に一斉に取り替える作業 | |
一斉取替作業に係る経費 | 3億7817万余円 | (平成22、23両年度) |
上記のうち蛍光管を不点灯時に取り替える方法により節減できた蛍光管購入費等 | 1億5215万円 |
独立行政法人都市再生機構(以下「機構」という。)は、平成23年度末現在、1,740団地、約76万戸の賃貸住宅団地を管理している。そして、機構の東日本賃貸住宅本部及び神奈川地域支社等6支社(注)
(以下「支社等」という。)は、清掃業務として、賃貸住宅団地内の建物の共用部分等の清掃作業と廊下灯、階段灯等の蛍光管及び外灯の水銀灯(以下、これらを合わせて蛍光管」という。)の取替作業を、規模や業務量等に応じて、管内の住宅管理センター等に行わせており、住宅管理センター等はこれを民間業者に請け負わせて実施している。この清掃業務には、仕様書に示されている作業項目を日常的に行う一般清掃業務と、支社等が特に必要と認める場合に行う特別清掃業務とがある。
上記支社等のうち、東日本賃貸住宅本部、神奈川地域支社及び埼玉地域支社(以下「3支社等」という。)が管内の10住宅管理センターに行わせている特別清掃業務についてみると、10住宅管理センターは賃貸住宅団地内の照明器具の清掃に併せて蛍光管を年末又は年度末に一斉に取り替える作業(以下「一斉取替作業」という。)を、一般清掃業務で日常的に行っている蛍光管の不点灯時の取替えとは別に実施している。そして、10住宅管理センターにおける22、23両年度の蛍光管の一斉取替作業に係る経費の総額は3億7817万余円(取替作業費2億1269万余円、廃棄処分費1192万余円、蛍光管購入費1億5355万余円)となっている。
前記のとおり、蛍光管の一斉取替作業は3支社等管内の10住宅管理センターで行われているものの、機構における他の4支社の管内では行われていない。また、機構は、賃貸住宅団地内の廊下灯、階段灯等について、照明器具の更新に併せて長寿命のLED照明に切り替える計画を進めているが、全ての団地で切替えが完了するまでに相当の期間を要することから、蛍光管の取替作業は今後も引き続き実施していくこととしている。
そこで、本院は、経済性等の観点から、蛍光管の一斉取替作業がその必要性等の検討を十分に行った上で実施されているかなどに着眼して、上記3支社等管内の住宅管理センターの契約を対象として、機構本社及び3支社等において、契約書、請求書等の関係書類により会計実地検査を行った。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
3支社等は、蛍光管の一斉取替作業を実施している理由として、〔1〕 10W型の蛍光管の定格寿命を基に、蛍光管の寿命を1年程度と想定していること、〔2〕 住宅管理センター等が業務を行っていない休日等に蛍光管が不点灯になると早急な対応ができないため、予防的に一斉取替作業を行うことにより不点灯の状態を少なくすることが防犯面及び安全面も含めた居住者サービス向上に資するものと考えていることなどによるとしていた。
しかし、3支社等は、〔1〕 賃貸住宅団地では10W型の蛍光管より長い定格寿命の20W型等の蛍光管が多く使用されているため、少なくとも想定の1年程度より寿命が長く見込まれること、また、蛍光管の不点灯時には一般清掃業務の中でその都度取替えを行っており、一斉取替作業は、一般清掃業務で取り替えた後の使用可能な蛍光管を取り替えて廃棄処分することにもなること、〔2〕 住宅管理センター等が業務を行っていない休日等は、共用施設の保守等の業務を民間業者に委託しているため、蛍光管の不点灯の状態が防犯面及び安全面に影響するような緊急性のある場合には早急な対応が可能な体制となっていることから、蛍光管の一斉取替作業の必要性を十分に検討する必要があるのに、従来の方法を踏襲してこれを実施していた。
蛍光管の一斉取替作業について、3支社等は、蛍光管の購入金額は把握していたものの、各団地の蛍光管の使用実績を把握していなかった。
そこで、東日本賃貸住宅本部管内の6住宅管理センターのうち、一斉取替作業を実施している4住宅管理センターと実施していない2住宅管理センターにおける住宅1戸当たりの蛍光管の年間購入金額を比較すると、4住宅管理センターの年間購入金額は2住宅管理センターの年間購入金額の2倍程度となっていた。これは、4住宅管理センターにおいて、一般清掃業務で取り替えた後の使用可能な蛍光管を一斉取替作業により取り替えるなどして、これに係る蛍光管の購入が必要になったことによるものと認められた。また、一斉取替作業を実施している住宅管理センターでは、上記のような蛍光管の購入に加えて、取替作業及び廃棄処分に係る経費が必要となる。
しかし、3支社等は、その経済性についての検討を十分に行わないまま一斉取替作業を実施していた。
以上のとおり、3支社等において、蛍光管の一斉取替作業の必要性及び経済性を十分検討することなく、これを実施している事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。
上記のことから、3支社等において、蛍光管の一斉取替作業を実施しないこととして、一般清掃業務等において不点灯時に蛍光管を取り替える方法によることとすれば、蛍光管購入費等は、取替作業費のうちの照明器具の清掃に係る費用を考慮しても、22年度1億3185万余円、23年度2029万余円、計1億5215万余円が節減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、3支社等において、蛍光管の一斉取替作業について必要性及び経済性の検討が十分でないこと、本社において、蛍光管の一斉取替作業について具体的な指導が十分でなかったことなどによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、機構は、24年8月に支社等に対し通知を発し、蛍光管の取替作業が適切かつ経済的に行われるよう、蛍光管の一斉取替作業を原則として実施しないこととして、不点灯時に蛍光管を取り替える方法によることを周知徹底する処置を講じた。