科目 | 営業原価 | |
部局等 | 郵便事業株式会社 | |
宅配荷物等に係る運送委託契約の概要 | 都道府県外への運送経路を有するなど拠点となる統括支店間及び統括 | |
支店と宅配荷物等の配達及び引受けを行う集配支店との間において、 | ||
自動車等の運送便により宅配荷物等を運送する業務を委託する契約 | ||
自動車による運送委託契約により支払った運送委託費 | 998億0801万余円 | (平成22年7月〜23年3月) |
上記のうち地域内便に係る運送委託費 | 485億6835万余円 | |
上記のうち15統括支店の地域内便に生じていた余積に相当する運送委託費 | 76億8812万円 |
(平成24年6月20日付け 郵便事業株式会社代表取締役社長宛て)
標記について、会計検査院法第36条の規定により、下記のとおり意見を表示する。
記
貴会社は、平成19年10月に、郵便物の配達等を行う郵便事業を日本郵政公社(以下「公社」という。)から承継して設立されたが、郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年法律第102号)により改正された郵便法(昭和22年法律第165号)が同月に施行され、公社が「ゆうパック」の名称で郵便物として取り扱っていた重量30kg以下の荷物(以下「宅配荷物」という。)が郵便物から除外されたことから、これを郵便事業の対象から切り離して、貨物自動車運送事業法(平成元年法律第83号)等に基づき実施する宅配便事業における貨物として、同じ「ゆうパック」の名称で取り扱っている。また、公社が「冊子小包」等の名称で取り扱っていた荷物も同様に郵便物から除外されたことから、貴会社は、これら宅配荷物以外の荷物についても貨物自動車運送事業法等に基づき実施する事業における貨物として取り扱っている(以下、宅配便事業と宅配荷物以外の荷物に係る事業を合わせて「宅配便事業等」という。)。
貴会社は、宅配便事業等で取り扱う貨物と郵便事業で取り扱う郵便物(以下、これらを合わせて「宅配荷物等」という。)を配達先に届けるに当たり、次のような方法で運送を行っている(図
参照)。
図
宅配荷物等の運送
ア 宅配荷物等の引受け、配達等を行っている1,110支店及び2,536集配センター(以下、これらを合わせて「集配支店」という。)は、顧客から引き受けた宅配荷物等を、原則として、都道府県外への運送経路を有するなど運送の拠点となる91支店(以下「統括支店」という。)との間で運行する運送便(以下「地域内便」という。)に積載して最寄りの統括支店に運送する。
イ 集配支店から宅配荷物等の運送を受けた統括支店は、宅配荷物等の配達先に応じて、集配支店別、又は、別の統括支店別に仕分作業を行い、仕分けた宅配荷物等を各集配支店又は別の統括支店との間で運行する運送便に積載して運送する。
ウ イに示した運送便のうち、別の統括支店との間で運行する運送便(以下「地域間便」という。)により宅配荷物等の運送を受けた統括支店は、当該宅配荷物等をその配達先を担当する集配支店別に仕分ける作業を実施して、仕分けた宅配荷物等は地域内便に積載して配達を担当する集配支店へ運送する。
そして、運送に当たっては、大きさが規格化され、そのまま運送便に積載することができる台車(以下「パレット」という。)を用い、一般的に一つのパレットには例えば郵便物だけというように同じ種類の宅配荷物等を積載する。また、宅配荷物等は、様々な種類のものを一つの運送便に混載して運送するのが一般的である。
貴会社は、宅配荷物等を上記のア、イ及びウの経路により運送する業務を、鉄道、自動車、船舶及び航空機の運送手段ごとに、郵便物運送委託法(昭和24年法律第284号)等に基づき、運送業者との間でそれぞれ運送委託契約を締結して実施している。22年度の運送委託費は1416億0908万余円であり、このうち、自動車による運送に係る運送委託費は1178億6885万余円となっている。
そして、自動車による運送委託契約においては、車両の運行や料金の設定について、次のような内容が定められている。
ア 車両の運行
自動車による運送便には、あらかじめ路線及び運行時間が定められている既定便と、宅配荷物等が一時的に多量に発生し、既定便だけでは運送ができない場合にのみ運行する臨時便とがある。
既定便は、宅配荷物、速達扱いの郵便物等の宅配荷物等の種類に応じて定められた送達日数等を維持するために運行する必要がある便であり、地域内便については同一路線において1日当たり2便又は3便、地域間便については同じく1便を運行することを原則としている。そして、宅配荷物等を常時多量に運送する必要があるため上記の原則とされた便数だけでは運送ができない路線については必要な便数を追加して運送を行っている(以下、この追加した既定便を「補助便」という。)。
また、補助便を含む既定便については、統括支店を所管する貴会社支社が路線ごとに、発着時間、運行車両の最大積載重量等を定めた郵便線路発着時刻表(以下「運送ダイヤ」という。)を作成し、これに従って運送業者に運送を行わせている。
イ 料金の設定
自動車による運送便の運送委託費は、運行車両の最大積載重量、運送距離等に応じて、市場価格を考慮して貴会社が地域内便又は地域間便ごとに作成した料金表に基づき1便ごとの料金を計算して算定することとなっている。この料金のうち、地域内便の料金については、固定費相当額で金額の大半を占める基礎額と、時間、距離等に応じた割増料金とで構成されており、臨時便に係る料金は既定便よりも割高に設定されている。なお、既定便については、仮に災害等のためやむを得ず運行を取り止めることがあったとしても、貴会社は、運送委託契約に基づき、基礎額については支払うこととされている。
そして、22年度に支払われた運送委託費は、地域内便に係る分が587億6258万余円、地域間便に係る分が591億0627万余円、計1178億6885万余円となっている。
自動車による運送便に宅配荷物等を積載する統括支店及び集配支店の担当者は、その都度、各運送便に積載したパレットの数量等を一枚の様式に宅配荷物等の種類ごとに手書きで記入して、運送便の運転手に託すこととなっている。そして、運転手に託された上記の様式は、終点となる統括支店で保存することとなっており(以下、統括支店で保存する記入済みの様式を「運送記録」という。)、運送委託費の精算に当たっての実績確認等に用いている。
ただし、地域間便については、統括支店間の運送便の到着、出発状況等を確認するために整備したコンピュータシステム(以下「発着システム」という。)を改修したことにより、23年4月以降は、各運送便に積載したパレットの数量を、様式に手書きで記入することに代えて発着システムに宅配荷物等の種類ごとに入力することで運送記録の電子データを作成することができるようになっている。
貴会社は、20年6月に、貴会社と日本通運株式会社双方の宅配便事業をそれぞれ自社の事業から分割して承継させる目的で、同社との共同出資によりJPエクスプレス株式会社(以下「JPEX」という。)を設立し、JPEXは、21年4月に日本通運株式会社から宅配便事業を承継して同事業に係る業務を開始した。しかし、貴会社の宅配便事業を承継させることについては、郵便事業の収支に与える影響が明確でなかったことなどにより総務大臣の認可が得られなかったことから、貴会社は上記の目的を断念し、JPEXの宅配便事業を22年7月に貴会社の宅配便事業に統合し、JPEXは22年8月に解散した。そして、統合の際には、JPEXが行っていた宅配便事業の送達日数等を維持するために一部の地域で運送便の増便が必要になるなどしたことから、22年度は宅配便事業の実施に必要な費用が増大することになった。
貴会社は、上記のとおり、22年7月にJPEXの宅配便事業を統合したが、統合後の同事業の実施に必要な費用が増大し、22年度決算において宅配便事業等で1185億余円の営業損失を生じたことから、これら事業の収支を改善するため、様々な施策を実施しており、宅配荷物等の運送便の運用についても、発着システムを改修したり、統合時の対応として一旦増便するなどした運送ダイヤについて再度見直したりするなど、改善のための取組を進めているとしている。
そこで、本院は、経済性、効率性等の観点から、運送便が経済的、効率的に運用されているかなどに着眼して、22年度に締結された自動車による運送に係る運送委託契約のうち、宅配便事業の統合後となる22年7月から23年3月までに係る分(地域内便に係る運送委託費485億6835万余円、地域間便に係る運送委託費512億3966万余円、計998億0801万余円)を対象として、貴会社本社、11支社(注1)
及びこれら11支社管内の15統括支店(注2)
において、契約関係書類、運送記録等の書類によるなどして会計実地検査を行った。
(注1) | 11支社 東京、関東、南関東、信越、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、北海道各支社
|
(注2) | 15統括支店 東京多摩、新東京、埼玉ターミナル、川崎港、松本南、長野東、静岡南、浜松ターミナル、新金沢、京都、洛南ターミナル、福山東、松山西、久留米東、札幌各支店
|
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
前記のとおり、運送便により運送された宅配荷物等の種類ごとのパレット数は運送記録として保存されていることから、これを整理・分析すれば、運送便の積載状況について把握することができる。
しかし、地域内便については、1便ごとに手書きで作成された大量の運送記録の整理・分析に膨大な作業を必要とするため、実際にはその実施が困難であることから、貴会社支社等において、運送便の積載状況を常時把握することができない状況となっていた。
一方、地域間便については、前記のとおり、23年4月以降、運送記録の電子データを作成することができるようになり、発着システムに蓄積された電子データを利用して、統括支店の業務量を増加させることなく宅配荷物等を積載したパレットの運送状況を本社、支社等においても常時把握できるようになっていた。そして、運送便の各車両について、実際に積載したパレットの数が積載可能数を下回っている場合にパレットを更に積載することができる荷台の余裕(以下「余積」という。)の発生状況を把握し、余積に応じて、最大積載数がより少ない規格の車両に変更したり、積載率が低い補助便を運送ダイヤから削除したり、臨時便を極力減らしたりするなど、随時運用の見直しを行っていた。
ア 地域内便の積載率
(1)のとおり、地域内便については、運送便の積載状況を常時把握できるようになっていないことから、地域内便の積載状況の実態を把握するため、22年7月から23年3月までの間の全宅配荷物の30.5%を取り扱っている11支社管内の15統括支店における地域内便の積載率について検査した。
検査に当たっては、前記のとおり、地域内便の運送記録の整理・分析には膨大な作業を必要とすることから、宅配荷物等の取扱状況に偏りがなく年間の平均的な取扱状況を示す時期として貴会社においても認識されている2月又は4月における7日間の地域内便を対象とすることとし、12統括支店(注3)
については23年4月に係る23,030便、3統括支店(注4)
については同年2月に係る1,688便、計24,718便について、保存されている運送記録により各運送便のパレットの積載状況を確認した。
(注3) | 12統括支店 東京多摩、新東京、埼玉ターミナル、川崎港、静岡南、浜松ターミナル、京都、洛南ターミナル、福山東、松山西、久留米東、札幌各支店
|
(注4) | 3統括支店 松本南、長野東、新金沢各支店
|
その結果、表1 のとおり、積載したパレット数を各運送便の最大積載パレット数で除した積載率は、集配支店から統括支店に向かう運送便(以下「上り便」という。)では48.0%、統括支店から集配支店に向かう運送便(以下「下り便」という。)では48.3%、地域内便全体では48.1%で、いずれも50%を下回る状況となっていた。そして、パレットを全く積載していない状態で運行している運送便(以下「無積載便」という。)が、上り便13,194便のうち1,401便、下り便11,524便のうち1,562便、計2,963便となっていて、無積載便数の全運送便数に占める割合は11.9%となっていた。
統括支店名 | 上り便 | 下り便 | 計 | |||||||||
便数(便) | 積載率 | 無積載便数(便) | 無積載便比率 | 便数(便) | 積載率 | 無積載便数(便) | 無積載便比率 | 便数(便) | 積載率 | 無積載便数(便) | 無積載便比率 | |
東京多摩支店 | 1,941 | 52.9% | 276 | 14.2% | 1,941 | 54.0% | 379 | 19.5% | 3,882 | 53.4% | 655 | 16.8% |
新東京支店 | 6,043 | 48.4% | 688 | 11.3% | 6,043 | 46.1% | 769 | 12.7% | 12,086 | 47.3% | 1,457 | 12.0% |
埼玉ターミナル支店 | 575 | 40.1% | 77 | 13.3% | 579 | 50.9% | 156 | 26.9% | 1,154 | 45.5% | 233 | 20.1% |
川崎港支店 | 37 | 62.0% | 1 | 2.7% | 37 | 69.8% | 2 | 5.4% | 74 | 66.0% | 3 | 4.0% |
松本南支店 | 391 | 39.0% | 0 | 0.0% | — | — | — | — | 391 | 39.0% | 0 | 0.0% |
長野東支店 | 365 | 53.9% | 1 | 0.2% | 75 | 31.0% | 0 | 0.0% | 440 | 51.6% | 1 | 0.2% |
静岡南支店 | 407 | 37.0% | 89 | 21.8% | 388 | 44.1% | 71 | 18.2% | 795 | 40.6% | 160 | 20.1% |
浜松ターミナル支店 | 221 | 49.3% | 7 | 3.1% | 174 | 54.1% | 12 | 6.8% | 395 | 51.3% | 19 | 4.8% |
新金沢支店 | 428 | 37.0% | 49 | 11.4% | 429 | 44.3% | 34 | 7.9% | 857 | 40.6% | 83 | 9.6% |
京都支店 | 460 | 57.0% | 18 | 3.9% | 364 | 62.7% | 0 | 0.0% | 824 | 59.6% | 18 | 2.1% |
洛南ターミナル支店 | 381 | 48.7% | 20 | 5.2% | 296 | 43.1% | 51 | 17.2% | 677 | 46.2% | 71 | 10.4% |
福山東支店 | 483 | 48.4% | 72 | 14.9% | 407 | 55.0% | 30 | 7.3% | 890 | 51.6% | 102 | 11.4% |
松山西支店 | 514 | 37.9% | 46 | 8.9% | 418 | 32.4% | 24 | 5.7% | 932 | 35.4% | 70 | 7.5% |
久留米東支店 | 511 | 44.9% | 12 | 2.3% | 24 | 47.2% | 2 | 8.3% | 535 | 45.0% | 14 | 2.6% |
札幌支店(丘珠分室分含む) | 437 | 60.0% | 45 | 10.2% | 349 | 65.2% | 32 | 9.1% | 786 | 62.6% | 77 | 9.7% |
計 | 13,194 | 48.0% | 1,401 | 10.6% | 11,524 | 48.3% | 1,562 | 13.5% | 24,718 | 48.1% | 2,963 | 11.9% |
イ 運行時間帯別にみた地域内便の積載率
地域内便の積載率を運行時間帯別にみると、表2 のとおり、上り便の12時から24時までの間及び下り便の0時から12時までの間にそれぞれ出発する運送便の積載率が比較的高くなっていたのに対して、上り便の0時から12時までの間及び下り便の12時から24時までの間にそれぞれ出発する運送便の積載率は比較的低くなっていた。これは、定期的に宅配荷物の発送を大量に行っている大口顧客のほとんどが、差出日翌日の午前中に配達されるように宅配荷物を差し出しているためである。
上下別 | 0:00〜12:00 | 12:00〜24:00 | ||||||
全便数(便) | 積載率10%未満便数(便) | うち無積載便数(便) | 積載率(%) | 全便数(便) | 積載率10%未満便数(便) | うち無積載便数(便) | 積載率(%) | |
上り便 | 5,230 | 1,696 | 1,040 | 28.4 | 7,570 | 613 | 291 | 62.3 |
下り便 | 5,537 | 386 | 229 | 64.6 | 5,916 | 1,853 | 1,311 | 32.9 |
そして、4時から9時の間の上り便又は16時から21時の間の下り便において積載率が10%未満と著しく低くなっている運送便が集中して発生しているが、貴会社は、1日2便又は3便の既定便については、積載率が低くても、送達日数等を維持するためには運行を取り止めることができないとしている。そこで、このような場合には、地域間便で行っているように、常時積載率が少ない運送便について最大積載数が少ない車両に切り替えるなどの検討が必要であると認められる。
ウ 地域内便における補助便の積載状況
地域内便のうち、補助便5,871便についてみると、表3 のとおり、積載率が10%に満たない便が補助便全体の32.0%である1,880便あり、補助便全体の積載率も34.4%と地域内便全体の積載率48.1%を下回っていた。さらに、この1,880便のうち1,306便が無積載便となっていて、補助便全体の22.2%を占めていることから、補助便の中には、常時積載率を把握して余積が発生する傾向を認識していれば、送達日数等に影響を与えることなく運行の必要がないと判断できるものがあると認められた。
上下別 | 全便数(便) | 積載率10%未満便数(便) | うち無積載便数(便) | 積載率(%) |
上り便 | 3,209 | 727 | 363 | 41.4 |
下り便 | 2,662 | 1,153 | 943 | 26.1 |
計 | 5,871 | 1,880 | 1,306 | 34.4 |
統括支店である新東京支店は、集配支店である荏原支店、大崎支店及び品川支店との間でそれぞれ宅配荷物等の運送を行うため、補助便各1便を追加した運送ダイヤで各支店との間の運送便を運行していた。しかし、運送便の積載状況を確認した平成23年4月24日から30日までの7日間のうち休日を除いた5日間では、下表 のとおり、補助便計3便で、下り便として荏原支店等3支店に運送したパレットはいずれの日においても皆無であり、同3支店からの上り便として新東京支店に運送した合計パレット数も最大で1日51個にすぎないことから、現に一部の運送便で行っているように、1便で複数の集配支店を経由して統括支店である新東京支店に運送することにしていれば、5日間で計15往復している補助便に積載しているパレットは9往復で運送ができることから、6往復分については運行を取り止めることが可能な状況となっていた。
日付 | 行先集配支店 | 上下別 | 積載パレット数(個) | 上下別 | 積載パレット数(個) | 合計パレット数(個)(a) | 1台当たり最大積載パレット数(個)(b) | 実運送便数(便)(c) | 必要便数(便)(a)÷(b)=(d) | 不要となる運送便数(便)(c)—(d) |
25日(月) | 荏原支店 | 下り | 0 | 上り | 15 | 32 | 30 | 3 | 2 | 1 |
大崎支店 | 下り | 0 | 上り | 11 | ||||||
品川支店 | 下り | 0 | 上り | 6 | ||||||
26日(火) | 荏原支店 | 下り | 0 | 上り | 5 | 36 | 30 | 3 | 2 | 1 |
大崎支店 | 下り | 0 | 上り | 16 | ||||||
品川支店 | 下り | 0 | 上り | 15 | ||||||
27日(水) | 荏原支店 | 下り | 0 | 上り | 11 | 38 | 30 | 3 | 2 | 1 |
大崎支店 | 下り | 0 | 上り | 16 | ||||||
品川支店 | 下り | 0 | 上り | 11 | ||||||
28日(木) | 荏原支店 | 下り | 0 | 上り | 8 | 28 | 30 | 3 | 1 | 2 |
大崎支店 | 下り | 0 | 上り | 11 | ||||||
品川支店 | 下り | 0 | 上り | 9 | ||||||
30日(土) | 荏原支店 | 下り | 0 | 上り | 16 | 51 | 30 | 3 | 2 | 1 |
大崎支店 | 下り | 0 | 上り | 8 | ||||||
品川支店 | 下り | 0 | 上り | 27 | ||||||
計 | 0 | 185 | 185 | 150 | 15 | 9 | 6 |
エ 地域内便における臨時便の積載状況
地域内便のうち、臨時便507便についてみると、その積載率は、表4 のとおり、既定便と同程度の48.3%となっていたが、臨時便の中には、常時積載率を把握して余積が発生する傾向を認識していれば、送達日数等に影響を与えることなく運行の必要がないと判断できるものなどが見受けられた。
上下別 | 全便数(便) | 積載率10%未満便数(便) | うち無積載便数(便) | 積載率(%) |
上り便 | 425 | 50 | 15 | 48.5 |
下り便 | 82 | 15 | 8 | 47.3 |
計 | 507 | 65 | 23 | 48.3 |
統括支店である松山西支店は、運送便の積載状況を確認した平成23年4月24日から30日までの7日間のうち、25日を除いた6日間に、集配支店である吉田集配センターとの間で臨時便を毎日1便運行している。しかし、これらの臨時便は4トン車両でパレットの最大積載数が30個であるのに対して、実際に積載したパレットは各日それぞれ5個にすぎないことから、パレットの最大積載数が10個である1トン車両で足りる状況であった。さらに、この6日間のうち27日及び29日の2日間は、臨時便を運行した30分後に同じ経路で運行される既定便があり、当該既定便はパレットの最大積載数30個に対して多い日でも11個のパレットしか積載しておらず、臨時便で運送したパレットを支障なく積載できたことから、当該臨時便2便は運行の必要がない状況となっていた。
(2)イ
のとおり、顧客側の都合により限られた時間帯に宅配荷物が集中して差し出されるため、特定の時間帯において上り便又は下り便の積載率が比較的低くなっているが、貴会社はこの傾向をおおむね認識していたことから、貴会社本社では、余積を貴会社以外の事業者に利用させることにより収益を得る取組を行っており、21年10月から23年4月までの間に、運送便の余積を利用する5件の運送委託契約を締結し、これにより23年10月までに4億6655万余円の収益を得ていた。そして、23年5月以降、支社及び支店に上記と同様の余積を利用した運送委託契約を締結するための営業活動を行うよう指示を行っている。
そして、当該契約を締結するに当たっては、対象となる事業者の所在地を通過する地域内便及び地域間便の路線について、余積が発生する時間帯、上り便又は下り便の区分、余積の量を常時把握して余積の発生する傾向を認識することが、営業活動を効率的かつ効果的に行う前提となる。しかし、地域内便については、前記のとおり、積載率を常時把握できるようになっていなかったことから、事業者に対してより効率的かつ効果的な営業活動ができておらず、余積が十分に活用されていない状況であった。
22年7月から23年3月までの間の地域内便に係る運送委託費485億6835万余円に、全宅配荷物のうち15統括支店が取り扱っている宅配荷物の割合(30.5%)を乗ずることにより、15統括支店における地域内便に係る運送委託費に相当する額を求めると148億1334万余円となる。そして、(2) のとおり、年間の平均的な取扱状況を示す時期として認識されている2月又は4月の一定期間における15統括支店に係る地域内便全体の積載率は48.1%であり、この値に基づく余積の比率は51.9%となることから、上記の148億1334万余円にこの余積の比率を乗ずると地域内便の余積に相当する運送委託費は76億8812万余円となる。
地域内便について、積載率を常時把握できるようにしていなかったことにより、無積載便や積載率の低い運送便の運行の見直しが適時に行われていなかったり、運送便の余積を他の事業者に使用させる取組等が十分でなかったりしていて、運送便を経済的、効率的に運用していない事態は適切とは認められず、改善を図る要があると認められる。
貴会社において、地域内便の運送記録の作成に、地域間便と同様、発着システムを使用することについての検討が十分でなかったため、地域内便の積載率を常時把握できる体制が整備されていなかったことなどによると認められる。
貴会社は、地域間便については、前記のとおり、JPEXの宅配便事業を統合した後に実施した施策において発着システムにより積載率を常時把握できるようにしたことなどにより、余積の発生状況に応じて随時その運用を見直して費用を節減するとともに、運送便を効率的に運用するよう取組を進めており、24年2月の積載率をみると、23年4月に比べて約10ポイント向上している。
一方、地域内便については、前記のとおり積載率を常時把握できるようになっていないことから、経済的、効率的に運用していない状況となっていた。
ついては、地域内便についても運送委託費の節減を図るとともに、運送便を効率的に運用するよう、次のとおり意見を表示する。
ア 運送記録のデータを電子化して発着システムで管理することなどにより、本社及び支社が常時運送便の積載状況を把握できる体制を整備するとともに、積載率を更に向上させるためのシステムの機能改善についても検討すること
イ 発着システムを利用するなどして、支社等が把握した運送便の積載状況に応じて、随時、積載率の低い補助便及び臨時便の運行を減じたり、車両の規格を小さいものにしたりすることができるような体制を整備すること
ウ 他事業者に余積を利用させる契約を締結する際や余積を利用した新サービスの開発を行う際に、アにより把握した運送便の積載状況を利用できるようにして、余積の活用を十分に図る方策を検討すること