ページトップ
  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書|
  • 平成24年1月

大規模な治水事業(ダム、放水路・導水路等)に関する会計検査の結果について


31 川辺川ダム

ダムの概要
事業主体 九州地方整備局 水系河川名 球磨川水系川辺川
事業名 川辺川ダム 所在地 熊本県球磨郡相良村
目的・必要性 洪水調節 流水の正常な機能の維持 かんがい用水 水道用水 工業用水 発電
   
規模等 ダム型式 アーチ式コンクリートダム 経過年数
堤高(m) 107.5 44年
堤頂長(m) 約300 実施計画調査着手年度
湛水面積(km2 3.91 昭和42年度
集水面積(km2 470 建設事業着手年度
総貯水容量(m3 133,000,000 昭和44年度
事業の根拠 特定多目的ダム法(昭和32年法律第35号)
検証対象となるダム建設事業に区分されたもの  
平成22年4月1日時点の段階等 調査・地元説明 生活再建工事 転流工工事 本体工事 既存施設の機能増強
       
平成22年度末までの執行済事業費(千円) 214,206,328

計画の経緯等
名称 当初計画 第1回計画変更
策定年月 昭和51年3月 平成10年6月
計画事業費(億円) 約350 約2,650
事業期間 昭和42年度から
56年度まで
昭和42年度から
平成20年度まで






河川管理者 94.8% 94.8%
利水者 5.2% 5.2%
  水道用水
工業用水
発電 1.3% 1.3%
かんがい用水 3.9% 3.9%
変更内容 計画事業費の増額、事業期間の延長

事業評価の実施状況
名称 第1回再評価 第2回再評価 第3回再評価
評価実施年度 平成13年度 平成18年度 平成23年度
総便益(B) (百万円) 403,600
総費用(C) (百万円) 260,200
費用便益比(B)/(C) 1.6
対応方針 継続 継続 継続

不特定容量の便益の算定及び計上方法
不特定容量の便益を算定しているもの
身替り建設費を推定して便益を算定 CVM等により便益を算定
ダム整備期間中の各年度に割り振って計上して現在価値化 ダム完成後の評価期間等の各年度に割り振って計上して現在価値化 そのまま計上
       

検査結果の概要

(1) 事業の目的、必要性等についての検討の状況

・「川辺川ダムの建設に関する基本計画」が作成されている。
・本ダムについては、平成20年9月の熊本県知事によるダム計画白紙撤回表明以降、中止の方向性を前提に、「ダムによらない治水を検討する場」において、球磨川の治水計画の検討が行われているところであり、また、代替地への移転後の生活に支障を来さないようにするための生活再建対策に限定して継続することとされている。

(2) 事業の実施状況

・計画事業費2650億円に対し、22年度末までに2142億円を執行しており、計画事業費に対する執行済事業費の割合は80.8%となっている。
・事業期間を既に過ぎている(経過率104.8%)。

(3) 事業費の推移及び事業計画の変更等に伴う見直し等の状況

・当初計画事業費350億円に対し、計画事業費の変更を1回行っていて、変更後の計画事業費は2650億円となっており、当初と比較して7.5倍(2300億円の増)となっている。
・ダム本体の容量変更を伴わない計画事業費の増額変更を1回行っていて、当初計画事業費に対する変更による増額分の割合を当初計画事業費の算定時期からの経過年数で除した1年当たりの増加率は29.9%となっている。
・当初事業期間15年間に対し、事業期間の変更を1回行っていて、変更後の事業期間は42年間となっており、当初と比較して2.8倍(27年間の延長)となっている。
・事業期間を過ぎてから事業期間の延長変更を1回行っている。

(4) 事業再評価時における投資効果等の検討の状況

・費用便益比については、「ダム本体工事の中止の方向性を前提に川辺川ダム以外の治水計画を検討している状況において、今後は公共補償としての生活再建対策のみであり、ダム本体を含む事業全体を対象に費用対効果分析を行うことはできない。」としており、算出していない。