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  • 平成24年10月

グリーン家電普及促進対策費補助金等の効果等について


      グリーン家電普及促進対策費補助金等の効果等について

検査対象

環境省、経済産業省、総務省、一般社団法人環境パートナーシップ会議

検査の対象とした補助事業の概要 3省が、基金設置法人に対し補助金を交付して、グリーン家電普及促進基金を造成させ、グリーン家電の購入に対しエコポイントを付与するなどの事業を行うことにより、グリーン家電の普及促進を通じた地球温暖化対策の推進、経済の活性化及び地上デジタル放送対応テレビの普及を図るもの
検査の対象とした基金の造成額 6929億6837万円(平成21、22両年度)

1 検査の背景

(1) エコポイント事業の背景

 政府は、「経済危機対策」(平成21年4月10日。「経済危機対策」に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議決定)において、太陽光、低燃費車、省エネ機器等世界トップ水準にある環境・エネルギー技術の開発・導入促進等により、世界に先駆けて「低炭素・循環型社会」を構築するとし、その中で、エコポイントの活用等による省エネ機器の普及促進等を実施することとした。
 そして、政府は、エコポイントの活用等による省エネ機器の普及促進等を実施するために必要な経費として、環境省1098億円、経済産業省1098億円、総務省750億円、計2946億円の予算を平成21年度補正予算(第1号)に計上した。
 その後、政府は、「明日の安心と成長のための緊急経済対策」(平成21年12月8日閣議決定)において、現下の厳しい経済・雇用状況、直面する円高・デフレ状況を踏まえ、景気回復を確かなものとするための経済対策をスピード感をもって示すこととし、この経済対策を実施するために必要な経費を追加するなどした平成21年度補正予算(第2号)に、エコポイントに関する予算として環境省793億円、経済産業省793億円、総務省733億円、計2321億円を計上した。
 また、「新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策」(平成22年9月10日閣議決定)において、円高等の景気下振れリスクへの対応、デフレ脱却の基盤づくりのための緊急的対応のために、エコポイントに関する予算として環境省275億円、経済産業省275億円、総務省333億円、計884億円を経済危機対応・地域活性化予備費から使用することとした。
 さらに、同年10月に、円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策を実施するために必要な経費を追加するなどとした平成22年度補正予算に、エコポイントに関する予算として環境省258億円、経済産業省258億円、総務省259億円、計777億円を計上した。
 このように、エコポイントに関する予算は、補正予算に計上又は予備費から使用されており、表1 のとおり、その額は、環境省、経済産業省及び総務省(以下、これらを総称して「3省」という。)の合計で6929億円に上っている。

表1  エコポイントに関する予算額
  (単位:億円)
年度
省名
平成21年度補正予算(第1号) 21年度補正予算(第2号) 22年度予備費 22年度補正予算
環境省 1,098 793 275 258 2,426
経済産業省 1,098 793 275 258 2,426
総務省 750 733 333 259 2,076
3省計 2,946 2,321 884 777 6,929
(注)
 億円未満を切り捨てて表示しているため、計は一致しない。

(2) エコポイント事業の概要

 エコポイントに関しては、環境省は「グリーン家電普及促進対策費補助金交付要綱」、経済産業省は「グリーン家電普及促進対策費補助金交付要綱」、総務省は「省エネルギー型地上デジタル放送対応テレビジョン普及加速対策費補助金交付要綱」をそれぞれ定めて、これらにより実施することとしていた。3省は、これらの交付要綱に基づき、連携して、公募で基金設置法人に決定した一般社団法人環境パートナーシップ会議(以下、単に「基金設置法人」という。)に対して、前記の補正予算及び予備費により補助金を交付し、交付を受けた基金設置法人はグリーン家電普及促進基金を造成した。
 3省は、省エネ性能の高い家電製品(以下「グリーン家電」という。)の購入に対してエコポイントを付与するなどの事業(以下「エコポイント事業」という。)を行うことにより、グリーン家電の普及促進を通じた地球温暖化対策の推進、経済の活性化及び地上デジタル放送対応テレビ(以下「地デジ対応テレビ」という。)の普及を図ることとした。そして、基金設置法人は、付与したエコポイント数に応じるなどして、その基金を取り崩すこととした。
 エコポイント事業においては、エアコン、冷蔵庫及び地デジ対応テレビ(以下、これらを合わせたものを「家電3品目」という。)のうち、家電製品の省エネルギー性能に関する表示である統一省エネラベルの4つ星相当以上であって21年5月15日から22年12月31日までの間に購入した製品及び統一省エネラベルの5つ星相当であって23年1月1日から23年3月31日までの間に購入した製品が、エコポイントの付与の対象となるグリーン家電(以下「エコポイント対象製品」という。)とされていた。
 購入に伴い付与されるエコポイントは、エアコン及び冷蔵庫についてはそれぞれ購入価格の5%相当程度、地デジ対応テレビについては購入価格の10%相当程度とされ、様々な商品と原則として1ポイント1円換算で交換できることとされていた。なお、22年12月1日以降の購入分からは、付与されるエコポイントを減ずる変更が行われた。
 エコポイント対象製品の購入の態様としては、買換えをしてリサイクルを行う場合と従前から使用していた機器に加えて新たに買い足したり、従前は所持していなかった機器を新規に購入したりする場合(以下、新たに買い足す場合と新規に購入する場合を合わせて、単に「新規購入」という。)とがある。そして、22年12月31日までは、双方の態様にエコポイントが付与されていた。このうち、買換えをしてリサイクル券(注1) を添付した場合には、エアコンは3,000点、冷蔵庫は5,000点、地デジ対応テレビは3,000点のリサイクル分のエコポイントが更に追加して付与されることになっていた。しかし、23年1月からは、エコポイントが付与されるのは買換えをしてリサイクル券を添付した場合に限られることになり、その場合であってもリサイクル分のエコポイントは付与されないこととなった。
 エコポイント事業において付与されたエコポイントの概要は、表2 のとおりであった。

表2  エコポイント事業において付与されたエコポイントの概要
エアコン 冷蔵庫 地デジ対応テレビ
冷房能力 エコポイント 定格内容積 エコポイント

サイズ

エコポイント
平成21年5月15日から22年11月30日までに購入分のエコポイント
区分 3.6kW以上 9,000点 501L以上 10,000点 46V以上 36,000点
2.8kW、2.5kW 7,000点 401〜500L 9,000点 42V、40V 23,000点
2.2kW以下 6,000点 251〜400L 6,000点 37V 17,000点
250L以下 3,000点 32V、26V 12,000点
26V未満 7,000点
  平成22年12月1日以降から23年3月31日までにの購入分のエコポイント
区分 3.6kW以上 5,000点 501L以上 5,000点 46V以上 17,000点

2.8kW、2.5kW

4,000点 401〜500L 5,000点 42V、40V 11,000点
2.2kW以下 3,000点 251〜400L 3,000点 37V 8,000点
250L以下 2,000点 32V、26V 6,000点
26V未満 4,000点
  リサイクル分のエコポイント(平成21年5月15日から22年12月31日までに対象製品を購入しリサイクル券を添付して申請した場合)
更に3,000点 更に5,000点 更に3,000点

 エコポイント事業は、23年3月31日までに購入した製品を対象に、23年5月31日まで申請を受け付け、24年3月31日までエコポイントの交換を行っていた。

 リサイクル券  「エアコン」、「テレビ」、「冷蔵庫」等の家電機器は、特定家庭用機器再商品化法(平成10年法律第97号)により、製造メーカーに引き渡してリサイクルしなければならないとされている。
 そして、これらを処分する際に発行されるリサイクル券は、リサイクル料金収受の証書としての役割と特定家庭用機器廃棄物管理票としての役割を持っている。

(3) エコポイント事業の事務の流れ

 エコポイント事業を実施するに当たり、基金設置法人は、エコポイントの申請に対応する業務等を民間企業のコンソーシアム(注2) であるエコポイント事務局に委託していた。また、基金設置法人は、造成した基金に係る信託契約を信託銀行と締結している。
 エコポイント事業の事務の流れは、図1 のとおりである。

 図1  エコポイント事業の事務の流れ

図1エコポイント事業の事務の流れ

 なお、造成した基金からは、上記のエコポイント交換商品代金等の支払のほか、基金設置法人及びエコポイント事務局の事務的経費が支払われている。

 コンソーシアム  特定の目的のために、複数の個人、企業、団体等から成る共同体、共同事業体等の組織