郵便事業は、郵便法において、事業会社のみが実施することとされ、その役務をなるべく安い料金であまねく公平に提供することが求められていたことなどから、事業会社は、安定的な経営基盤を確立するとともに効率的な業務運営に努めることが重要であるとされてきた。
一方、事業会社は、前記のとおり、22、23両年度決算において営業損益で赤字を発生させたことなどから収支の改善が喫緊の課題となっていた。
さらに、事業会社は、本年10月に局会社に吸収合併されて、その業務は局会社の商号変更により設立された日本郵便に承継されたことから、新たな組織の下で郵便事業が円滑に運営されるよう、これまでの業務運営において見いだされた改善すべき点について、この機に改めて総括することが肝要である。
そこで、会計検査院は、経済性、効率性、有効性等の観点から、事業会社の経営状況を分析して、収支を悪化させた要因を確認するとともに、上記の収支悪化要因に対する収支改善策に係る計画が合理的で実現可能性があるものとなっていたか、上記の計画が適切に実施されてきたか、局会社が実施してきた郵便窓口業務が新組織においても効率的に運営されるようになっているかなどに着眼して検査を行った。
会計検査院は、事業会社から提出を受けた財務関係書類、業務の実施状況に係る記録等により検査を行うとともに、事業会社の本社、支社及び支店並びに局会社の本社、支社及び郵便局において、事業会社の収支を改善するために実施された施策に関する書類等により会計実地検査を行った。