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  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)|
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書|
  • 平成24年7月

地方債の元利償還金に係る普通交付税の算定に当たり、公的資金の補償金免除繰上償還実施後の実態を反映した利子支払額により公債費等の経費に係る財政需要の額を算定することにより基準財政需要額の合理的な算定を行うよう総務大臣に対して改善の処置を要求したもの


 地方債の元利償還金に係る普通交付税の算定に当たり、公的資金の補償金免除繰上償還実施後の実態を反映した利子支払額により公債費等の経費に係る財政需要の額を算定することにより基準財政需要額の合理的な算定を行うよう総務大臣に対して改善の処置を要求したもの

会計名及び科目 交付税及び譲与税配付金特別会計(交付税及び譲与税配付金勘定) (項)地方交付税交付金
部局等 総務本省
交付の根拠 地方交付税法(昭和25年法律第211号)
地方交付税の概要 地方団体の財源の均衡化を図り、交付基準の設定を通じて地方行政の計画的な運営を保障することにより、地方団体の独立性を強化することを目的として交付するもの
補償金免除繰上償還を実施した133地方団体における公債費等の経費に係る財政需要の額 1兆3389億2447万余円(平成20年度〜22年度)
上記について実態を反映した利子支払額により算定した場合の財政需要の額の開差額 82億0868万余円(平成20年度〜22年度)
上記のうち133地方団体において普通交付税が交付されていた年度に係る開差額 65億3150万円 

 【改善の処置を要求したものの全文】

   地方債の元利償還金に係る普通交付税の算定について

(平成24年7月5日付け    総務大臣 宛て)


 標記について、会計検査院法第36条の規定により、下記のとおり改善の処置を要求する。

1 制度の概要

(1) 普通交付税の交付額

 貴省は、地方交付税法(昭和25年法律第211号。以下「交付税法」という。)に基づき、地方団体(注1)の財源の均衡化を図り、交付基準の設定を 通じて地方行政の計画的な運営を保障することにより、地方団体の独立性を強化することを目的として、地方交付税(以下「交付税」という。)を交付している。
 交付税は、補助金等と異なり、その使途に制限がなく、地方団体が自主的な判断で使用することのできる一般財源として交付されるものであり、その種類は、 普通交付税及び特別交付税とされている。そして、毎年度の交付税の総額は、交付税法第6条等の規定に基づき、当該年度の租税収入の見込額を基にするなどし て算定された額とされており、このうち普通交付税の総額については、交付税の総額の100分の94に相当する額とされている。
 普通交付税は、一般財源が不足する地方団体に交付されるものであり、その交付額は、交付税法第10条第2項の規定に基づき、地方団体ごとに〔1〕 の式により算定された財源不足額とされている。ただし、全地方団体の財源不足額の合算額が上記により算定された当該年度の普通交付税の総額を超える場合に は、〔2〕 及び〔3〕 の式による調整を行って地方団体ごとの交付額を決定することとされている(参照)。

〔1〕 財源不足額
基準財政需要額 - 基準財政収入額
   (注) 計算の結果が負になるときは財源不足額を0とする。
 
〔2〕 調整率

財源不足額の全地方団体の合算額 - 普通交付税の総額
 
基準財政需要額が基準財政収入額を超える地方団体の基準財政需要額の合算額
   (注) 平成21年度の調整率はこの式により0.000899302となる。
 
〔3〕 普通交付税の交付額
財源不足額 - 基準財政需要額 × 調整率

図 普通交付税の交付額の決定方法

(注1)
 地方団体  交付税法上の概念で、都道府県及び市町村をいう。

(2) 基準財政需要額の算定における地方債の元利償還金の算入方法

 基準財政需要額は、普通交付税を算定する基礎となる財政需要の額であり、土木費、教育費、公債費等の経費の種類ごとに算定され合算されたものであ る。そして、交付税法、普通交付税に関する省令(昭和37年自治省令第17号。以下「省令」という。)等に基づき、地方債の実際の元利償還金の一定割合を 財政需要の額に算入する方法(以下、この方法を「実額償還方式」という。)により算定するなどしており、経費の種類ごとの財政需要の額に算入された地方債 の元利償還金の額(注2)は毎年度多額に上っている。

(注2)  例えば、公害防止事業債は、元利償還金の50%が基準財政需要額に算入される。

(3) 公的資金の補償金免除繰上償還制度の概要

 地方団体等が地方債を発行して借り入れた旧資金運用部資金、旧簡易生命保険資金及び旧公営企業金融公庫資金(以下、これらを合わせて「公的資金」 という。)の償還に当たっては、原則として、償還期限まで定期的に元金の償還及び利子の支払を行うこととなっているが、借換えを行うなどして繰上償還を行 う場合は、借入契約の特約条項に基づき補償金を支払うこととされている。
 しかし、地方の厳しい財政状況を踏まえ、平成19年3月に地方財政法(昭和23年法律第109号)が改正され、地方団体が、年利5%以上の公的資金につ いて、19年度から21年度までの間に補償金が免除された繰上償還(以下「補償金免除繰上償還」という。)を行う旨の申出をした場合において、一定の要件 を満たすと認められるときには、補償金免除繰上償還を行うことができることとなった。
 そして、19年度から21年度までの地方団体の補償金免除繰上償還の実施額は、全体で約5兆円に上っている。さらに、22年度から24年度までの間につ いては、補償金免除繰上償還が認められる要件が拡大され、約1兆1400億円を上限とした補償金免除繰上償還を実施することとされている。

(4) 繰上償還を実施した場合の基準財政需要額の算定

 地方団体が補償金を支払って公的資金を繰上償還した場合は、借換え後の実際に支払われる元利償還金を基に財政需要の額に算入して基準財政需要額を算定するなどの取扱いとなっている。
 一方、補償金免除繰上償還の場合は、複数の地方債をまとめて借換えを行うことから、借換え後の実際に支払われる元利償還金を基に財政需要の額に算入して 算定するためには、借換え後の元利償還金を借換え前の地方債ごとに分別して、その元利償還金を基に財政需要の額に算入する事務負担が生じるので、その負担 を軽減するなどのため、省令等において補償金免除繰上償還が行われないものとして算定した元利償還金を基に財政需要の額に算入して基準財政需要額を算定す ることとしている。