簡易課税制度は、前記のとおり、課税期間の課税売上げに係る消費税額に事業区分に応じたみなし仕入率を乗じて計算した金額を課税仕入れに係る消費税額とみなして控除することができることとされている。
そして、財務省は、みなし仕入率に関して、消費税の課税事業者における課税仕入率の実態を把握するための調査を実施し、「平成20年度分課税仕入率の実態調査について」として、政府税制調査会に提出している。調査対象者は簡易課税制度適用者330,067事業者(全国の税務署から抽出した4,969法人及び325,098個人事業者)及び本則課税適用者60万5千事業者(国税庁の課税事績による売上1000万円超から5000万円以下の28万2千法人及び32万2千個人事業者)、調査対象期間は法人が20年4月決算期から21年3月決算期まで、個人事業者が20年分である。
現行のみなし仕入率について、財務省は、5年度分の本則課税適用者及び簡易課税制度適用者の双方を含むサンプル調査により把握した業種別の課税仕入率を基に設定したとしているが、財務省の20年度分の調査結果によれば、全ての業種において、本則課税適用者と簡易課税制度適用者を合わせた全体の課税仕入率より簡易課税制度適用者の課税仕入率が下回っているなどの状況となっていた(表4
参照)。
業種(事業区分) \
区分
|
卸売業 | 小売業 | 農林水産業 | 鉱業 | 建設業 | 製造業 |
(第1種事業) | (第2種事業) | (第3種事業) | ||||
みなし仕入率(%) | 90 | 80 | 70 | |||
簡易課税制度適用者課税仕入率(%) (調査対象者数) |
82.9 (10,578) |
77.4 (36,475) |
64.3 (63,089) |
60.9 (42) |
59.9 (57,867) |
58.8 (28,293) |
本則課税適用者課税仕入率(%) (調査対象者数) |
93.7 (36,113) |
85.1 (135,324) |
87.2 (25,607) |
97.8 (319) |
71.9 (116,272) |
71.8 (50,828) |
本則課税適用者と簡易課税制度適用者を合わせた全体の課税仕入率(%) | 87.9 | 81.4 | 69.2 | 77.1 | 65.0 | 62.9 |
業種(事業区分) \
区分
|
料理飲食業 | 金融保険業 | 運輸・通信業 | サービス業 | 不動産業 |
(第4種事業) | (第5種事業) | ||||
みなし仕入率(%) | 60 | 50 | |||
簡易課税制度適用者課税仕入率(%) (調査対象者数) |
60.0 (45,154) |
33.8 (1,365) |
44.1 (3,730) |
38.9 (77,850) |
32.0 (5,624) |
本則課税適用者課税仕入率(%) (調査対象者数) |
70.0 (60,616) |
90.1 (3,560) |
78.4 (11,090) |
67.6 (139,029) |
76.1 (25,888) |
本則課税適用者と簡易課税制度適用者を合わせた全体の課税仕入率(%) | 64.2 | 47.8 | 59.5 | 49.3 | 42.5 |
注(1) | 簡易課税制度適用者の課税仕入率の試算に当たっては、決算書等の売上原価、販売費及び一般管理費等の必要経費額から、課税仕入れに該当しない額を控除する方法で課税仕入額を把握し、課税仕入れ、非課税仕入れ及び不課税仕入れが混在する可能性のある費目については、一定の基準により案分して試算している。 |
注(2) | 固定資産の取得費は課税仕入れに加算していないが、減価償却費を課税仕入れに加算している。 |
注(3) | 本則課税適用者の課税仕入率は、国税庁の申告事績に基づくものである。 |
会計検査院においては、検査の効率性を勘案して、直近の課税期間(法人については22年2月から23年1月までの間に終了する課税期間、個人事業者については22年分の課税期間。以下同じ。)を対象として、実際に簡易課税制度を適用している事業者ごとに、その課税仕入率の状況を検査した。そして、複数の事業を行っている事業者の兼業による影響を排除するために、全体の課税売上高のうち、一つの事業の課税売上高の割合が90%超となっている事業者を対象として、1,040法人、991個人事業者、計2,031事業者について、決算書等を基に課税仕入率の平均を試算したところ、事業区分ごとにみなし仕入率と課税仕入率の平均を比較すると、みなし仕入率が全ての事業区分において課税仕入率の平均を上回っていた。その中でも第5種事業(運輸・通信業、サービス業及び不動産業)の法人と個人事業者を合わせた課税仕入率の平均は32.4%となっていて、みなし仕入率50%との開差が顕著な状況となっていた(表5 参照)。
事業区分 \
区分
|
第1種事業 | 第2種事業 | 第3種事業 | 第4種事業 | 第5種事業 | |
みなし仕入率(%) | 90 | 80 | 70 | 60 | 50 | |
法人 (1,040事業者) |
課税仕入率(%) (事業者数) |
80.4 (141) |
70.9 (133) |
60.5 (141) |
45.4 (137) |
34.6 (488) |
個人事業者 (991事業者) |
課税仕入率(%) (事業者数) |
85.2 (129) |
76.4 (131) |
64.0 (129) |
52.5 (140) |
29.3 (462) |
計 (2,031事業者) |
課税仕入率(%) (事業者数) |
82.3 (270) |
73.5 (264) |
62.1 (270) |
48.7 (277) |
32.4 (950) |
そして、事業者ごとの課税仕入率について、事業区分ごとにみなし仕入率との開差を分析したところ、同じみなし仕入率を適用している事業区分においても、課税仕入率がみなし仕入率を上回っている事業者もいるが、課税仕入率がみなし仕入率を下回っている事業者の方が67.0%から84.9%と多数となっており、第5種事業においては課税仕入率がみなし仕入率を20ポイント超下回っている事業者が全体の49.4%となっていた(表6 参照)。
事業区分 \
区分
|
第1種事業 | 第2種事業 | |||||||
みなし仕入率(%) | 90 | 80 | |||||||
課税仕入率の範囲(%) | 70未満 | 70以上80未満 | 80以上90未満 | 90以上 | 60未満 | 60以上70未満 | 70以上80未満 | 80以上 | |
法人数 | 〔1〕 | 25 | 35 | 59 | 22 | 18 | 35 | 45 | 35 |
個人事業者数 | 〔2〕 | 8 | 24 | 57 | 40 | 8 | 22 | 49 | 52 |
計(〔1〕+〔2〕 ) | 〔3〕 | 33 | 59 | 116 | 62 | 26 | 57 | 94 | 87 |
割合(%) (〔3〕/〔4〕 ) | 12.2 | 21.8 | 42.9 | 22.9 | 9.8 | 21.5 | 35.6 | 32.9 | |
みなし仕入率未満の事業者の割合(%) | 77.0 | - | 67.0 | - | |||||
事業区分ごとの事業者数 | 〔4〕 | 270 | 264 |
事業区分 \
区分
|
第3種事業 | 第4種事業 | 第5種事業 | ||||||||||
みなし仕入率(%) | 70 | 60 | 50 | ||||||||||
課税仕入率の範囲(%) | 50未満 | 50以上60未満 | 60以上70未満 | 70以上 | 40未満 | 40以上50未満 | 50以上60未満 | 60以上 | 30未満 | 30以上40未満 | 40以上50未満 | 50以上 | |
法人数 | 〔1〕 | 37 | 43 | 28 | 33 | 50 | 29 | 36 | 22 | 211 | 112 | 76 | 89 |
個人事業者数 | 〔2〕 | 34 | 19 | 28 | 48 | 23 | 25 | 39 | 53 | 259 | 94 | 55 | 54 |
計(〔1〕+〔2〕 ) | 〔3〕 | 71 | 62 | 56 | 81 | 73 | 54 | 75 | 75 | 470 | 206 | 131 | 143 |
割合(%) (〔3〕/〔4〕 ) | 26.2 | 22.9 | 20.7 | 30.0 | 26.3 | 19.4 | 27.0 | 27.0 | 49.4 | 21.6 | 13.7 | 15.0 | |
みなし仕入率未満の事業者の割合(%) | 70.0 | - | 72.9 | - | 84.9 | - | |||||||
事業区分ごとの事業者数 | 〔4〕 | 270 | 277 | 950 |
これらの1,040法人、991個人事業者、計2,031事業者について、簡易課税制度を適用して計算した納付消費税額が、本則課税を適用したとして試算した推計納付消費税額(注6) に対して、低額となっている事業者数及び金額は1,583事業者で5億0352万余円、高額となっている事業者数及び金額は448事業者で6753万余円となっていた(表7 参照)。
区分 | 法人 | 個人事業者 | 計 | |||||
事業者数 | 金額(千円) | 事業者数 | 金額(千円) | 事業者数 | 金額(千円) | |||
簡易課税制度を適用して計算した納付消費税額の方が推計納付消費税額より低額となっている事業者数及び金額 | 推計納付消費税額 | 〔1〕 | 840 | 841,203 | 743 | 631,952 | 1,583 | 1,473,155 |
納付消費税額 | 〔2〕 | 549,312 | 420,317 | 969,629 | ||||
差引(〔1〕 -〔2〕 ) | 〔3〕 | 291,891 | 211,634 | 503,526 | ||||
簡易課税制度を適用して計算した納付消費税額の方が推計納付消費税額より高額となっている事業者数及び金額 | 推計納付消費税額 | 〔4〕 | 200 | 99,855 | 248 | 84,115 | 448 | 183,970 |
納付消費税額 | 〔5〕 | 138,859 | 112,647 | 251,507 | ||||
差引(〔4〕-〔5〕 ) | 〔6〕 | △39,004 | △28,532 | △67,537 | ||||
計(〔3〕+〔6〕 ) | 1,040 | 252,886 | 991 | 183,102 | 2,031 | 435,989 |
このように、多くの簡易課税制度適用者において、みなし仕入率が課税仕入率を上回っており、簡易課税制度の適用により事務負担に配慮され事務の簡素化が図られた上に、簡易課税制度を適用して計算した納付消費税額が本則課税を適用したとして試算した推計納付消費税額に対して低額となっていて、いわゆる益税が生じている状況となっていた。
なお、財務省は、消費税法改正法に定められたみなし仕入率の水準についての必要な見直しの検討のために、みなし仕入率に関して、消費税の課税事業者における課税仕入率の更なる実態調査を行っている。
(2) 過去に本則課税を適用してその後簡易課税制度を適用している事業者の状況
(1)のとおり、多くの簡易課税制度適用者において、みなし仕入率が課税仕入率を上回っている状況となっていた。そこで、同一の事業者について、簡易課税制度を適用した課税期間の納付消費税額の課税標準額(注7) に対する割合(以下「消費税納付率」という。)と本則課税を適用した課税期間の消費税納付率とを比較するために、直近の課税期間において簡易課税制度を適用していて、法人の場合は過去4年以内に、個人事業者の場合は過去2年以内にそれぞれ本則課税を適用したことがある2,023法人、633個人事業者、計2,656事業者の各課税期間における消費税納付率を分析したところ、法人及び個人事業者とも簡易課税制度を適用した課税期間の消費税納付率の方が、本則課税を適用した課税期間の消費税納付率より低くなっていた(表8 及び表9 参照)。
課税期間 | 直近-4の課税期間 |
直近-3の課税期間 |
直近-2の課税期間 |
直近-1の課税期間 |
直近の課税期間 |
法人数 |
\ | ||||||
区分 | ||||||
計算方法 課税標準額の平均〔1〕 納付消費税額の平均〔2〕 |
本則
40,523
868 |
簡易 40,876
618 |
簡易 41,489
632 |
簡易 42,716
654 |
簡易 43,749
673 |
266 |
消費税納付率 (〔2〕 /〔1〕 ) |
2.14% | 1.51% |
1.52% |
1.53% |
1.53% |
|
計算方法 課税標準額の平均〔1〕 納付消費税額の平均〔2〕 |
本則
40,661
811 |
簡易 41,157
594 |
簡易 42,169
603 |
簡易 43,575
630 |
389 | |
消費税納付率 (〔2〕 /〔1〕 ) |
1.99% |
1.44% |
1.43% |
1.44% |
||
計算方法 課税標準額の平均〔1〕 納付消費税額の平均〔2〕 |
本則
42,291
826 |
簡易 43,591
623 |
簡易 44,840
634 |
529 | ||
消費税納付率 (〔2〕 /〔1〕 ) |
1.95% |
1.43% |
1.41% |
|||
計算方法 課税標準額の平均〔1〕 納付消費税額の平均〔2〕 |
本則
46,027
882 |
簡易 46,694
685 |
839 | |||
消費税納付率 (〔2〕 /〔1〕 ) |
1.91% |
1.46% |
課税期間 | 直近-2の課税期間 |
直近-1の課税期間 |
直近の課税期間 |
個人事業者数 |
\ | ||||
区分 | ||||
計算方法 課税標準額の平均〔1〕 納付消費税額の平均〔2〕 |
本則
38,496
756 |
簡易 36,237
548 |
簡易 39,807
599 |
260 |
消費税納付率 (〔2〕 /〔1〕 ) |
1.96% |
1.51% |
1.50% |
|
計算方法 課税標準額の平均〔1〕 納付消費税額の平均〔2〕 |
本則
41,466
847 |
簡易 42,855
662 |
373 | |
消費税納付率 (〔2〕 /〔1〕 ) |
2.04% |
1.54% |
また、前記の2,023法人及び633個人事業者について簡易課税制度を適用した各課税期間と本則課税を適用した課税期間の消費税納付率を事業者ごとに比較すると、簡易課税制度を適用した課税期間の消費税納付率の方が低くなっているのは1,669法人及び475個人事業者であり、高くなっているのは368法人及び161個人事業者(注8)
であった。
これらの2,023法人、633個人事業者、計2,656事業者について、簡易課税制度を適用して計算した納付消費税額が、本則課税を適用したとして試算した推計納付消費税額(注9)
に対して、低額となっている事業者数及び金額は2,148事業者で13億1798万余円、高額となっている事業者数及び金額は508事業者で1億5005万余円となっていた(表10
参照)。
区分 | 法人 | 個人事業者 | 計 | ||||
事業者数 | 金額(千円) | 事業者数 | 金額(千円) | 事業者数 | 金額(千円) | ||
簡易課税制度を適用して計算した納付消費税額の方が推計納付消費税額より低額となっている事業者数及び金額 | 推計納付消費税額
〔1〕
|
1,675 | 3,310,178 | 473 | 634,705 | 2,148 | 3,944,883 |
納付消費税額
〔2〕
|
2,199,163 | 427,731 | 2,626,894 | ||||
差引(〔1〕-〔2〕)
〔3〕
|
1,111,014 | 206,974 | 1,317,988 | ||||
簡易課税制度を適用して計算した納付消費税額の方が推計納付消費税額より高額となっている事業者数及び金額 | 推計納付消費税額
〔4〕
|
348 | 320,953 | 160 | 85,823 | 508 | 406,776 |
納付消費税額
〔5〕
|
439,007 | 117,828 | 556,835 | ||||
差引(〔4〕-〔5〕)
〔6〕
|
△118,054 | △32,004 | △150,058 | ||||
計(〔3〕+〔6〕 ) | 2,023 | 992,960 | 633 | 174,969 | 2,656 | 1,167,930 |
このように、同一の事業者について比較しても、多くの簡易課税制度適用者において、消費税納付率が本則課税を適用した課税期間より低くなっており、簡易課税制度の適用により事務負担に配慮され事務の簡素化が図られた上に、簡易課税制度を適用して計算した納付消費税額が本則課税を適用したとして試算した推計納付消費税額に対して低額となっていて、いわゆる益税が生じている状況となっていた。
第1期課税期間又は第2期課税期間(注10) において多額の課税売上高(5億円超)を有し、簡易課税制度を適用して申告している法人で、消費税等差額を計上している11法人、消費税等差額の推計が可能な1法人、計12法人について、両課税期間の課税売上高の状況をみたところ、表11 のとおりとなっており、これらの12法人では、後述のとおりいわゆる益税が生じている状況となっていた。
課税売上高 | 5億円超10億円以下 | 10億円超20億円以下 | 20億円超30億円以下 | 30億円超40億円以下 | 40億円超50億円以下 | 50億円超60億円以下 | 計 |
法人数 | 6 | 1 | 3 | 0 | 1 | 1 | 12 |
このように各法人の課税売上高が多額であるのに、簡易課税制度を適用していることから、法人の設立の経緯等について検査したところ、次のとおりとなっていた。
前記のとおり、吸収合併又は吸収分割があった場合の事業者免税点制度の適用に当たり、当該吸収合併に係る合併法人又は当該吸収分割に係る分割承継法人の基準期間における課税売上高が1000万円を超えるかどうかについては、当該合併法人又は当該分割承継法人の基準期間における課税売上高のみならず、当該吸収合併に係る被合併法人又は当該吸収分割に係る分割法人の課税売上高も考慮して判定することとされている。一方、簡易課税制度の適用に当たり、当該吸収合併に係る合併法人又は当該吸収分割に係る分割承継法人の基準期間における課税売上高が5000万円を超えるかどうかについては、当該合併法人又は当該分割承継法人の基準期間における課税売上高のみによって判定することとされている。
吸収合併又は吸収分割により事業を承継し、多額の課税売上高を有する課税期間において簡易課税制度を適用して申告している合併法人及び分割承継法人が計7法人あった。これらの吸収合併に係る合併法人と被合併法人及び吸収分割に係る分割承継法人と分割法人は親子会社関係等の密接な関係にあり、簡易課税制度を適用できる規模の小さな合併法人又は分割承継法人が、簡易課税制度を適用できない規模の大きな被合併法人又は分割法人から多額の売上げを有する事業を承継して簡易課税制度を適用していた。
上場企業である法人等が設立した法人で簡易課税制度を適用して申告している法人が5法人あった。これらの5法人は、新設法人であり、設立当初の両課税期間は基準期間がないことから、簡易課税制度を適用することが可能となったものである。
これらの12法人が、簡易課税制度を適用して申告している各課税期間の課税標準額、納付消費税額及び消費税差額の状況についてみると、簡易課税制度を適用して申告している上記12法人の課税期間の課税標準額は計342億7698万余円、消費税差額は計3億4542万余円となっていて、特に、吸収分割に係る分割承継法人の場合が多額となっていた(表12
参照)。
そして、これらのうち11法人は、簡易課税制度の適用により事務負担に配慮され事務の簡素化が図られている上に、消費税差額3億5495万余円を法人税の申告において益金に算入し納付消費税額が本則課税を適用した場合と比較して低額となっていて、いわゆる益税が生じている状況となっていた。また、1法人は、消費税差額として第1期課税期間は830万余円を益金に、第2期課税期間は1783万余円を損金に算入していて、両課税期間でみると納付消費税額952万余円が本則課税を適用した場合と比較して高額となっていた。
区分 | 法人数 | 第1期課税期間 | 第2期課税期間 | 計 | |
吸収分割に係る分割承継法人 | 5 注(1) |
課税標準額
|
9,125,143 | 15,743,968 | 24,869,111 |
(同平均)
|
1,825,028 | 3,148,793 | 4,973,822 | ||
納付消費税額
|
159,085 | 272,268 | 431,354 | ||
(同平均)
|
31,817 | 54,453 | 86,270 | ||
消費税差額
|
104,887 | 171,727 | 注(3) 276,615 | ||
(同平均)
|
20,977 | 34,345 | 55,323 | ||
吸収合併に係る合併法人 | 2 注(2) |
課税標準額
|
2,623,847 | 886,139 | 3,509,986 |
(同平均)
|
1,311,923 | 886,139 | 1,754,993 | ||
納付消費税額
|
42,645 | 3,076 | 45,722 | ||
(同平均)
|
21,322 | 3,076 | 22,861 | ||
消費税差額
|
7,898 | 0 | 7,898 | ||
(同平均)
|
3,949 | 0 | 3,949 | ||
上場企業等が設立した新設法人 | 5 | 課税標準額
|
2,440,339 | 3,457,548 | 5,897,887 |
(同平均)
|
488,067 | 691,509 | 1,179,577 | ||
納付消費税額
|
32,848 | 49,981 | 82,830 | ||
(同平均)
|
6,569 | 9,996 | 16,566 | ||
消費税差額
|
21,860 | 39,055 | 60,916 | ||
(同平均)
|
4,372 | 7,811 | 12,183 | ||
計 | 12 | 課税標準額
|
14,189,329 | 20,087,655 | 34,276,984 |
(同平均)
|
1,182,444 | 1,826,150 | 2,856,415 | ||
納付消費税額
|
234,579 | 325,327 | 559,906 | ||
(同平均)
|
19,548 | 29,575 | 46,658 | ||
消費税差額
|
134,645 | 210,783 | 345,429 | ||
(同平均)
|
11,220 | 19,162 | 28,785 |
注(1) | 消費税等差額の計上金額が不明な1法人については、損益計算書等の必要経費額から推計している。 |
注(2) | 第2期課税期間については、1法人である。 |
注(3) | 1法人は、第1期課税期間は益金に、第2期課税期間は損金に算入していて、合計するとマイナスとなり、他の法人の消費税差額と通算している。 |
吸収分割に係る分割承継法人について、事例を示すと次のとおりである。
<事例>
A法人は、平成22年3月に、B法人の100%子会社として設立され、同年7月にB法人の事業の一部を吸収分割により承継した分割承継法人である。
A法人の第1期課税期間(22年3月から22年12月まで)及び第2期課税期間(23年1月から23年12月まで)の両課税期間の課税標準額は、それぞれ10億余円、24億余円となっている。そして、A法人の第1期課税期間及び第2期課税期間の基準期間に対応するB法人の20年1月から20年12月までの課税期間及び21年1月から21年12月までの課税期間の課税売上高はそれぞれ242億余円、312億余円となっていて、消費税の納税義務は吸収分割に係る分割法人であるB法人の課税売上高も考慮して判定するので課税事業者となる。これに対して、簡易課税制度において、A法人の基準期間における課税売上高が5000万円を超えるかどうかについては、分割承継法人であるA法人の基準期間における課税売上高のみによって判定することとなっており、A法人の第1期課税期間及び第2期課税期間に基準期間がないことから簡易課税制度の適用が可能となる。このことから、A法人は、簡易課税制度による申告を行い、消費税差額として第1期課税期間1392万余円、第2期課税期間3053万余円、計4446万余円を益金に算入していた。
そして、(1)から(3)までの検査の対象とした3,075法人、1,624個人事業者、計4,699事業者の簡易課税制度を適用したことにより納付消費税額が低額となっている事業者数及び納付消費税額の推計額は3,742事業者で21億7647万余円、高額となっている事業者数及び納付消費税額の推計額は957事業者で2億2712万余円となる。