独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構(以下「機構」という。)は、日本郵政公社の民営・分社化前に預入れなどが行われた定額郵便貯金等の郵便貯金及び簡易生命保険を承継して管理しているが、満期経過後の払戻しなどが行われないことから、多額の権利消滅金及び時効完成益が毎年度発生している。しかし、多額の権利消滅金及び時効完成益が毎年度継続して発生していることにより増加を続けている利益剰余金は、機構が業務を確実に履行する上で保有する必要性が乏しいと認められるのに、5年間の中期目標期間が終了するまで保有し続けている事態が見受けられた。
したがって、総務省において、機構と共に、機構が業務を履行するために保有する必要がない利益剰余金の額を速やかに把握して国庫に納付させるとともに、関係機関と調整して国庫納付の在り方について検討した上で、今後は中期目標期間の終了時だけでなく、適時に利益剰余金を国庫に納付させることが可能となるように適切な制度を整備するよう、総務大臣に対して平成24年5月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、総務本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、総務省は、機構と協議して、本院指摘の趣旨に沿い、第1期中期目標期間(19年10月から24年3月まで)の終了後、利益剰余金のうち、次期中期目標期間に繰り越すべき金額を控除した残額である郵便貯金勘定382億2028万余円、簡易生命保険勘定108億2794万余円、計490億4822万余円を24年7月に機構から国庫に納付させる処置を講じていた。
そして、総務省は、適時に利益剰余金を国庫に納付させることが可能となるような制度の整備については、機構の解散や新組織への権利義務の承継に関する今後の動向に留意するとともに、国の財政事情を踏まえて、機構の利益剰余金のうち将来にわたり業務を確実に履行するために保有する必要がないと認められるものに係る国庫納付の在り方について引き続き検討して、関係機関と調整の上、適切な措置を講ずることとしている。