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  • 平成24年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
  • 第1節 省庁別の検査結果 |
  • 第6 法務省 |
  • 不当事項 |
  • 予算経理

刑事施設等の整備に係る歳出予算及び国庫債務負担行為の執行が会計法令及び予算に違反していたもの[法務本省](21)


会計名及び科目
一般会計 (組織)法務本省 (項)法務省施設費 (平成21年度〜24年度国庫債務負担行為 (組織)法務本省 (事項)法務省施設整備)
部局等
法務本省
歳出予算及び国庫債務負担行為に係る債務負担権限の概要
歳出予算は、1会計年度における支出権限及び1会計年度に支出が終わる債務を負担する権限が付与されているもので、国庫債務負担行為は、次年度以降にも効力が継続する債務を負担する権限が付与されているもの
刑事施設等の整備に係る支出負担行為の件数及び金額
187件 67,699,792,533円(平成21年度〜24年度)
会計法令及び予算に違反して執行されていた歳出予算の金額(1)
32,437,087,185円(平成21年度〜24年度)
会計法令及び予算に違反して執行されていた国庫債務負担行為の金額(2)
1,747,850,000円(平成21、22、24各年度)
支出負担行為の金額が国庫債務負担行為計画示達額を超えていた額(3)
26,267,869,185円(平成21年度〜24年度)
地方官署等分を含めた支出負担行為の金額が予算を超えていた額
20,348,904,235円(平成21年度〜24年度)
(1)から(4)までの純計
34,184,937,185円

1 刑事施設等の新営工事等に係る契約の概要

法務省は、刑務所、拘置所等の刑事施設等における過剰収容状態を解消するなどのため、平成21年度から24年度までの間に、20刑事施設等の新営工事等の契約を歳出予算又は国庫債務負担行為に基づいて締結している(歳出予算及び国庫債務負担行為に付与されている権限、並びに支出負担行為の手続については、後掲111ページの「刑事施設等の整備に係る予算の執行等に当たり、会計事務担当者に対して会計法令等における基本的事項について周知徹底を図るなどするとともに、予算の執行段階における統制を十分に機能させることにより、予算の執行等が適正に行われるよう是正改善の処置を求めたもの」参照)。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

本院は、合規性等の観点から、刑事施設等の整備に係る支出負担行為等が会計法令及び予算に従って適正に行われているかなどに着眼して、21年度から24年度までの間において、法務本省の支出負担行為担当官が、歳出予算又は国庫債務負担行為に基づいて行った計187件の支出負担行為計67,699,792,533円を対象として、法務本省において、工事等の契約等の内容を確認するなどして会計実地検査を行った。また、法務省の地方官署並びに国土交通省の本省及び地方官署(以下、これらを合わせて「地方官署等」という。)における歳出予算又は国庫債務負担行為に基づく支出負担行為の金額について、契約額に関する資料の提出を求めるなどして検査を行った。

(2) 検査の結果

検査したところ、次のような事態が見受けられた。

  • ア 歳出予算及び国庫債務負担行為の執行について

    法務省は、刑事施設等の新営工事等の契約を締結するに当たり、施設ごとに計上された歳出予算及び国庫債務負担行為のうち、まず、国庫債務負担行為を使用した上で、契約額と国庫債務負担行為の使用額との差額に歳出予算を使用するなどしていた。

    そして、当該契約を締結した年度の翌年度以降に最終の履行期限が到来する契約(以下「複数年度契約」という。)107件のうち76件(契約額計58,514,731,385円)及び契約書において履行期限を当該契約を締結した年度内と翌年度以降とに分けているものの、それぞれ履行期限に対応した契約額を設定していない契約(以下「区分不能契約」という。)16件の全て(同計2,690,257,500円)に、それぞれ歳出予算(計31,333,191,685円及び計1,103,895,500円)を使用していた。また、当該契約を締結した年度内に最終の履行期限が到来する契約(以下「単年度契約」という。)64件のうち1件(契約額451,500,000円)及び16件の区分不能契約のうち6件(同計2,167,725,000円)に、それぞれ国庫債務負担行為(161,488,000円及び計1,586,362,000円)を使用していた。

    しかし、歳出予算には、単年度債務負担権限しか付与されていないため、歳出予算により複数年度契約及び区分不能契約を締結することはできない。また、国庫債務負担行為には、複数年度債務負担権限しか付与されていないため、国庫債務負担行為により単年度契約及び区分不能契約を締結することはできない。

    したがって、歳出予算計32,437,087,185円及び国庫債務負担行為計1,747,850,000円の執行は、会計法令及び予算に違反していたと認められる。

  • イ 複数年度契約の契約額について

    法務省は、前記のとおり、複数年度契約について、国庫債務負担行為のほかに、歳出予算に基づいて締結していたことから、毎年度、法務本省の支出負担行為担当官が締結した複数年度契約の契約額が、当該支出負担行為担当官に示達された国庫債務負担行為についての支出負担行為の計画の金額(以下「国庫債務負担行為計画示達額」という。)を超えていた。そして、21年度から24年度までの4年間において、法務本省における複数年度契約の契約額計63,432,549,185円は、国庫債務負担行為計画示達額計37,164,680,000円を26,267,869,185円超えていた。

    複数年度契約は、本来、国庫債務負担行為に基づく支出負担行為によるものであることから、法務本省の支出負担行為担当官は、予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)第39条の2の規定に違反して支出負担行為を行っていたと認められる。

    さらに、法務省における各年度の複数年度契約の契約額は、法務本省の支出負担行為担当官が締結した複数年度契約の契約額と地方官署等における複数年度契約の契約額とを合計した額となり、この法務省における複数年度契約の契約額は、毎年度、国会の議決を経た刑事施設等の整備に係る債務負担の限度額を超えていた。そして、21年度から24年度までの4年間において、法務省における複数年度契約の契約額計77,809,381,235円(本省分63,432,549,185円、地方官署等分14,376,832,050円)は、債務負担の限度額計57,460,477,000円を20,348,904,235円超えていた。

    このような事態は、予算に違反していたと認められる。

以上のことから、歳出予算及び国庫債務負担行為の執行額計34,184,937,185円は不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、法務省において、会計法令及び予算に対する基本的な知識が十分でなかったことなどによると認められる。