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  • 平成24年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
  • 第1節 省庁別の検査結果 |
  • 第7 外務省 |
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

(2) 緊急人道支援事業等に対して供与した資金について、供与先に滞留していた残余金を国庫に返還させるとともに、今後は、毎年度末時点で供与先が保有している残余金を速やかに国庫に返還させるよう改善させたもの


会計名及び科目
一般会計(組織)外務本省(項)経済協力費
部局等
外務本省
供与した資金の概要
NGO が海外において行う緊急人道支援事業等に要する経費を助成するための資金を供与するもの
供与先
特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム
上記の供与先が緊急人道支援事業等に上記の資金を財源として供与するなどした助成金等の額
112 億8521 万余円(平成20 年度〜24 年度)
滞留していた緊急人道支援事業等に係る残余金
2 億5654 万円(平成24 年度末現在)

1 緊急人道支援事業等の概要等

(1) 緊急人道支援事業等の概要

外務省は、特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム(以下「JPF」という。)と協力実施契約を締結し、JPFに加盟するNGOが海外で行う緊急人道支援事業、JPFが実施するモニタリング事業及びJPFの運営等に要する経費を助成するため、毎年度、JPFに資金を供与している。このうち、緊急人道支援事業は、自然災害、地域紛争等の発生時に被災者、難民等に対する支援等を目的として、初動調査、現地の支援体制の立ち上げ、物資の配布、役務の提供等を行うものであり、また、モニタリング事業は、緊急人道支援事業の進捗管理等を行うものである(以下、緊急人道支援事業とモニタリング事業とを合わせて「支援事業等」という。)。

JPFは、外務省から供与を受けた資金をモニタリング事業や運営等に要する経費に充てるとともに、同資金を財源として、緊急人道支援事業を行うNGOに対して助成金を供与している。

(2)緊急人道支援事業に係る助成金等の状況等

前記の外務省とJPFとの協力実施契約によれば、JPFが緊急人道支援事業を行うNGOに対して助成金を供与するに当たっては、JPFがNGOにより作成された事業計画を外務省に提出して審査及び承認を経ることとされており、JPFは、当該事業計画の範囲内でNGOに助成金を供与することができるとされている。

JPFは、NGOが緊急人道支援事業の終了後に作成する事業終了報告書、監査報告書等の内容を確認の上、実績額を確定し、助成金を精算することとされている。

また、モニタリング事業については、JPFは当該事業の終了後、実績額を確定し、供与を受けた資金を精算することとされている。

そして、支援事業等について、精算の結果、残余金が生じた場合には、JPFは、当該残余金から外部監査に係る費用を除いた額を外務省に返還しなければならないとされている。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

本院は、効率性等の観点から、支援事業等について精算の結果発生した残余金がJPFに滞留していないかなどに着眼して、平成20年度から24年度までの間に支援事業等に供与されるなどした311事業に係る助成金等計112億8521万余円を対象として、外務本省において協力実施契約の内容、残余金の返還状況等の説明を聴取したり、JPF事務局において支援事業等の実績額の確定状況を確認したりするなどして会計実地検査を行った。

(検査の結果)

検査したところ、21年度から24年度までの間に実施された支援事業等について、次表のとおり、24年度末現在で111事業において残余金2億5654万余円が生じていたにもかかわらず、全てJPFが保有したままとなっていた。

表 支援事業等の実績額の確定状況(平成24 年度末現在)

(単位:件、円)
年度 平成21 22 23 24
支援事業等の数 87 53 64 56 260
支援事業等に供与されるなどした助成金等の額 2,489,120,842 1,909,820,323 2,503,132,875 3,068,312,955 9,970,386,995
うち実績額が確定していた事業 77 32 15 3 127
助成金等の額 1,847,161,79 3 599,730,095 379,670,464 18,424,945 2,844,987,297
うち残余金が生じていた事業 66 28 14 3 111
助成金等の額 1,619,971,739 543,289,920 378,929,716 18,424,945 2,560,616,320
実績額 1,487,504,753 477,809,091 325,761,129 12,996,594 2,304,071,567
残余金の額 132,466,986 65,480,829 53,168,587 5,428,351 256,544,753

このようなことから、JPFの残余金の返還方法等について検査したところ、JPFは、各年度における助成金等の供与の対象となった支援事業等が全て終了し、全ての支援事業等について実績額を確定した後、当該年度に係る残余金の総額を確定して、これを一括して外務省に返還することにしていた。このため、前記の残余金2億5654万余円については、同一の年度に実施していた支援事業等のうち実績額が確定していない事業があることから、JPFが保有したままとなっていた。

以上のように、JPFにおいて、各年度の助成金等の供与の対象となった支援事業等が全て終了し実績額を確定した後、当該年度に係る残余金の総額を確定して、これを一括して外務省に返還することにしていたため、残余金2億5654万余円がJPFに滞留していたのに、外務省が速やかに返還させていない事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。

(発生原因)

このような事態が生じていたのは、外務省において、JPFから実績額が確定した支援事業等について報告を受けていたのに、実績額が確定した残余金を速やかにJPFから外務省へ返還させるための措置を講じていなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

上記についての本院の指摘に基づき、外務省は、JPFが保有したままとなっていた残余金から外部監査に係る費用を除いた額を、25年8月に国庫に返還させるとともに、今後は、毎年度末時点でJPFが保有している残余金を速やかに国庫に返還させることとする処置を講じた。