外務省及び独立行政法人国際協力機構(以下「機構」という。)は、国際社会の平和と発展に貢献することなどを目的として政府開発援助を実施している。しかし、一般プロジェクト無償資金協力において建設した橋の開通後の通行が限定されていて援助の効果が十分に発現していなかったり、技術協力において調達した機材の一部が技術移転に十分に活用されていなかったり、草の根・人間の安全保障無償資金協力において贈与額の一部が事業実施機関に保有されたままになっていたりする事態が見受けられた。
したがって、援助の効果が十分に発現するなどするよう、外務省及び機構において、複数国に対して同時に実施する一般プロジェクト無償資金協力の実施に当たっては、基本設計調査報告書等の作成時点で相手国の負担により建設する施設等の規模、仕様等が決定しておらず、援助の対象となった施設の活用に重大な影響を与えるおそれがある場合は、計画どおりに供用ができるように相手国等と十分な連携を図りながら相手国等への働きかけを十分に行ったり、機構において、携行機材を調達する技術協力の実施に当たっては、技術移転に十分活用できるような携行機材の調達時期の検討を十分に行ったり、外務省において、草の根・人間の安全保障無償資金協力の実施に当たっては、未使用資金が事業実施機関に滞留しないようにするための効果的な働きかけを十分に行ったりするよう、外務大臣及び独立行政法人国際協力機構理事長に対して平成24年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、外務本省及び機構本部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、外務省及び機構は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。