財務省は、貨幣の製造等を独立行政法人造幣局に行わせ、その製造等に要した費用を一般会計から支払っている。貨幣には、流通用貨幣と販売用貨幣とがあり、このうち販売用貨幣には、特殊な技術を用いて製造し表面に光沢を持たせた1円から500円までの6種類の貨幣を1枚ずつセットにしてケースに収納したもの(以下「プルーフ貨幣セット」という。)、国家的な記念事業として発行する銀を原材料とした貨幣(以下「銀貨幣」という。)等がある。しかし、プルーフ貨幣セットについて流通用貨幣の製造費用を超えて一般会計に負担が生じていたり、銀貨幣の原材料である銀の地金の帳簿価額と時価に大幅なかい離が生じているのに販売価格に地金の時価を反映させるなどの検討を十分に行っていなかったりしている事態が見受けられた。
したがって、財務省において、プルーフ貨幣セットについて一般会計の負担を流通用貨幣の製造費用の範囲内となるように販売価格を設定する処置を講ずるとともに、銀貨幣の発行を決定する際には地金の時価を販売価格に反映させる方策を検討するなどして一般会計の収入額の増加に努めるよう、財務大臣に対して平成24年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求し及び意見を表示した。
本院は、財務本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、財務省は、本院指摘の趣旨に沿い、25年5月に販売用貨幣の販売価格に関する取扱要領を定めて、次のような処置を講じていた。