2件 不当と認める国庫補助金 16,607,000円
国宝重要文化財等保存整備費補助金(建造物保存修理事業及び美術工芸品保存修理事業)は、文化財保護法(昭和25年法律第214号)の趣旨にのっとり、文化財の適正な保存管理とその活用を図り、もって文化財保護の充実に資することを目的として、重要文化財の管理又は修理を行う重要文化財の所有者等に対して、文化財保存事業費関係補助金交付要綱(昭和54年文化庁長官裁定)等に基づき当該事業に要する経費の一部を国が補助するものである。
本院が、25都道府県の1市、94宗教法人、9財団法人、1社団法人、3会社及び9個人において会計実地検査を行ったところ、2都県の2宗教法人において、塗装工事の対象面積の算定を誤ったり、労務費等の経費を過大に算定したりしたため、国庫補助金が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、2宗教法人において、実績報告書等の提出に当たり、補助対象経費についての確認が十分でなかったこと、2都県の教育委員会において、実績報告書等に対する審査が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
宗教法人東大寺は、平成23、24両年度に実施した乾漆不空羂索観音立像等の美術工芸品の保存修理に係る労務費、原材料費等の経費を対象として、補助対象経費を計203,632,000円(国庫補助金計111,997,000円)としていた。
しかし、同法人は、23年度の労務費に係る所要人数が実際には1,680人日であったのに修理施工者からの事実と異なる報告に基づき2,357人日と過大に計上していたり、24年度の原材料費並びに23、24両年度の運搬費及び出張費についても過大に計上していたりしていた。このため、補助対象経費が過大に算定されており、国庫補助金計14,531,000円が過大に交付されていた。
これを、部局等別に示すと次のとおりである。
部局等 | 補助事業者(事業主体) | 補助事業 | 年度 | 補助対象経費 | 左に対する国庫補助金交付額 | 不当と認める補助対象経費 | 不当と認める国庫補助金 | 摘要 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(48) | 東京都 | 宗教法人東照宮 | 重文東照宮本殿、幣殿、拝殿ほか2 棟建造物保存修理 | 21〜23 | 482,000 | 361,500 | 2,766 | 2,076 | 建物の塗装面積を誤っていたもの |
(49) | 奈良県 | 宗教法人東大寺 | (国宝、重文)乾漆不空羂索観音立像(法華堂安置)1躯ほか美術工芸品保存修理 | 23、24 | 203,632 | 111,997 | 26,420 | 14,531 | 美術工芸品の保存修理に係る労務費等を過大に計上していたもの |
(48)(49)の計 | 685,632 | 473,497 | 29,186 | 16,607 |