文部科学省は平成2年度に独立行政法人日本スポーツ振興センター(以下「センター」という。)に250億円を出資し、センターはこれに民間からの出えん金を加えて運用型の基金としてスポーツ振興基金(以下「振興基金」という。)を設置して、その運用益等を財源としたスポーツ振興基金助成や、スポーツ振興投票の収益を財源としたスポーツ振興くじ助成等の助成業務を行っている。しかし、振興基金の運用益は当初に比べて大きく減少し、これに伴い同基金助成の助成額も減少していて、スポーツの振興を図るための助成業務を運用型の基金助成により実施する必然性が乏しい状況となっているのに、振興基金に多額の資金が保有されている事態が見受けられた。
したがって、文部科学省において、振興基金の現状を踏まえて、そのスポーツの振興に果たす役割をより効果的なものとするために、振興基金を有効に活用するための方策を検討するとともに、有効活用が図られない振興基金については、センターから国に返還させるなどして、財政資金の有効活用を図るよう、文部科学大臣に対して24年9月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、文部科学本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、文部科学省は、本院指摘の趣旨に沿い、25年2月に、センターに対して、第3期中期目標において振興基金を有効に活用するための方策を検討することを指示しており、センターは、同年3月に、振興基金を有効に活用するための方策を検討することを第3期中期計画及び25年度計画に明記した。
そして、文部科学省は、センターの検討結果を踏まえて、振興基金の有効活用について取り組んでいくこととしている。