雇用保険は、常時雇用される労働者等を被保険者として、被保険者が失業した場合、被保険者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合等に、その生活及び雇用の安定を図るなどのために失業等給付金の支給を行うほか、雇用安定事業等を行う保険である。
失業等給付金には、次の求職者給付及び就職促進給付のほか、教育訓練給付及び雇用継続給付の4種がある。
上記の手当は、公共職業安定所が次のように支給決定を行い、これに基づいて厚生労働本省が支給することとなっている。
本院は、合規性等の観点から、失業等給付金の支給を受けた者(以下「受給者」という。)に対する失業等給付金の支給決定が適正に行われているかに着眼して、全国47都道府県労働局(以下、都道府県労働局を「労働局」という。)の437公共職業安定所(平成25年3月末現在)のうち、7労働局管内の41公共職業安定所において会計実地検査を行い、主として22年度から24年度までの間における受給者から1,684人を選定して、失業等給付金の支給の適否について検査した。
検査に当たっては、受給者から提出された失業認定申告書等の書類により会計実地検査を行い、適正でないと思われる事態があった場合には、他の年度分も含めて更に当該公共職業安定所に調査及び報告を求めて、その報告内容を確認するなどの方法により検査を行った。
検査の結果、5労働局の21公共職業安定所管内における22年度から24年度までの間の受給者47人については、再就職した後も引き続き失業等給付金の支給を受けるなどしており、これらに対する失業等給付金の支給額61,978,046円のうち15,447,278円は、支給の要件を満たしていなかったもので支給が適正でなく、不当と認められる。これを給付の種別に示すと次のとおりである。
21公共職業安定所管内の受給者47人に対する基本手当の支給額57,564,633円のうち11,163,897円は、支給の要件を満たしていなかった。
7公共職業安定所管内の受給者7人に対する再就職手当の支給額4,413,413円のうち4,283,381円は、支給の要件を満たしていなかった。
このような事態が生じていたのは、受給者が誠実でなかったため、失業認定申告書及び再就職手当支給申請書の記載内容が事実と相違するなどしていたのに、前記の21公共職業安定所において、これに対する調査確認が十分でないまま支給決定を行っていたことによると認められる。
なお、これらの適正でなかった支給額については、本院の指摘により、全て返還の処置が執られた。
これらの適正でなかった支給額を労働局ごとに示すと次のとおりである。
労働局名 | 公共職業安定所 | 本院の調査に係る受給者数 | 不適正受給者数 | 左の受給者に支給した失業等給付金 | 左のうち不当と認める失業等給付金 |
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人 | 人 | 千円 | 千円 | ||
青森 | 青森等6 八戸等2 小計 |
234 38 |
9 2 |
7,957 1,045 9,002 |
1,849 1,045 2,894 |
宮城 | 仙台等4 小計 |
256 — |
12 — |
19,702 — 19,702 |
2,636 — 2,636 |
福島 | 福島等5 二本松 小計 |
276 23 |
17 1 |
25,501 462 25,964 |
4,904 462 5,366 |
愛媛 | 松山等3 松山等3 小計 |
178 84 |
4 3 |
665 2,645 3,310 |
272 2,645 2,917 |
鹿児島 | 鹿児島等3 鹿児島 小計 |
93 36 |
5 1 |
3,737 260 3,997 |
1,502 130 1,632 |
求職者給付計 | 21か所 | 1,037 | 47 | 57,564 | 11,163 |
就職促進給付計 | 7か所 | 181 | 7 | 4,413 | 15,447 |
合計 | 61,978 | 15,447 |