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  • 平成24年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
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  • 保険給付

雇用保険の特定求職者雇用開発助成金(被災者雇用開発助成金)の支給が適正でなかったもの[10労働局](59)


会計名及び科目
労働保険特別会計(雇用勘定) (項)高齢者等雇用安定・促進費
部局等
10労働局
支給の相手方
29事業主
被災者雇用開発助成金の支給額の合計
91,802,396円(平成23、24両年度)
不当と認める支給額
36,049,652円(平成23、24両年度)

1 保険給付の概要

(1) 特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金は、雇用保険(前掲221ページの「雇用保険の失業等給付金の支給が適正でなかったもの」参照)で行う事業のうちの雇用安定事業の一環として、雇用保険法(昭和49年法律第116号)等に基づき、特定の求職者を雇い入れた事業主に対して、当該労働者の賃金の一部を助成するもので、特定就職困難者雇用開発助成金及び高年齢者雇用開発特別奨励金のほか、雇用保険法施行規則の一部を改正する省令(平成23年厚生労働省令第58号)により、平成23年5月以降、当分の間、暫定措置として定められている被災者雇用開発助成金がある。

(2) 被災者雇用開発助成金の支給

被災者雇用開発助成金の支給要件は、次のいずれかに該当する者について、再就職を早急に支援するため、事業主が公共職業安定所等(以下「安定所等」という。)の紹介により、1年以上継続して雇用することが見込まれる労働者として雇い入れることなどとなっている。

  • ア 東日本大震災(23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(同月12日に発生した長野県北部を震源とする地震を含む。)及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害をいう。以下「震災」という。)に際し災害救助法(昭和22年法律第118号)が適用された市町村の区域(東京都に属するものを除く。以下「特定被災区域」という。)において就業していた者で、震災により離職を余儀なくされ、その後安定した職業についたことがない者
  • イ 特定被災区域に居住(震災により特定被災区域外に住所又は居所を変更している者を含み、震災の発生後に特定被災区域へ居住することとなった者を除く。)し、震災後安定した職業についたことがなく、23年3月11日から24年9月30日までの間に安定所等から職業を紹介され、又は職業指導を受けた者その他求職活動を行った者

(以下、ア及びイを合わせて「被災離職者等」という。)
そして、支給額は、原則として、新たに雇い入れた被災離職者等1人につき中小企業事業主以外の事業主の場合は50万円、中小企業事業主の場合は90万円となっており、これを6か月ごとに2回に分け、それぞれ25万円、45万円ずつ支給することとなっている。

また、23年11月から、1年以上継続して雇用した被災離職者等が10人以上に達した事業主に対して、上記の支給額に加え、中小企業事業主以外の事業主の場合は50万円、中小企業事業主の場合は90万円の上乗せ助成金を支給することとされている。

被災者雇用開発助成金の支給を受けようとする事業主は、当該助成金に係る支給申請書及び支給要件を満たした労働者に係る出勤簿等の添付書類を都道府県労働局(以下「労働局」という。)に提出することとなっている。そして、労働局は、支給申請書等に記載されている当該労働者の氏名、生年月日、雇用年月日、賃金の支払、事業主の過去の不正受給の有無等を審査した上、支給決定を行い、これに基づいて被災者雇用開発助成金の支給を行うこととなっている。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

本院は、合規性等の観点から、事業主に対する被災者雇用開発助成金の支給決定が適正に行われているかに着眼して、全国47労働局のうち、20労働局において会計実地検査を行い、23、24両年度に被災者雇用開発助成金の支給を受けた事業主から348事業主を選定して、被災者雇用開発助成金の支給の適否について検査した。

検査に当たっては、事業主から提出された支給申請書等の書類により会計実地検査を行い、適正でないと思われる事態があった場合には、更に当該労働局に調査及び報告を求めて、その報告内容を確認するなどの方法により検査を行った。

(2) 検査の結果

検査の結果、10労働局管内における29事業主は、既に雇い入れている者又は事実上雇入れが決定している者に形式的に安定所等の紹介を受けさせて、その紹介により雇い入れたこととして申請するなどしており、これら29事業主に対する被災者雇用開発助成金の支給額91,802,396円のうち36,049,652円は支給の要件を満たしていなかったもので支給が適正でなく、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、事業主が誠実でなかったなどのため、支給申請書等の記載内容が事実と相違していたのに、前記の10労働局において、これに対する調査確認が十分でないまま支給決定を行っていたことによると認められる。

なお、これらの適正でなかった支給額については、本院の指摘により、全て返還の処置が執られた。

これらの適正でなかった支給額を労働局ごとに示すと次のとおりである。

労働局名 本院の調査に係る事業主数 不適正受給事業主数 左の事業主に支給した被災者雇用開発助成金 左のうち不当と認める被災者雇用開発助成金
千円 千円
青森 21 1 2,250 900
岩手 22 2 3,600 900
宮城 35 4 26,785 14,113
福島 31 6 32,123 7,120
茨城 37 6 11,923 3,267
千葉 20 2 3,300 3,300
神奈川 23 3 4,950 2,700
岐阜 12 1 900 900
愛知 17 2 4,169 1,498
大阪 22 2 1,800 1,350
240 29 91,802 36,049