11件 不当と認める国庫補助金 27,855,691円
生活保護費等負担金(平成19年度以前は生活保護費負担金。以下「負担金」という。)は、都道府県又は市町村(特別区を含む。)が、生活に困窮する者に対して、最低限度の生活を保障するために、その困窮の程度に応じて必要な保護を行う場合に、その費用の一部を国が負担するものである。この保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産や能力等あらゆるものを活用することを要件としている。
負担金の交付額は、次により算定することとなっている。
この費用の額及び返還金等の額は、それぞれ次により算定することとなっている。
本院が、24都道府県の202事業主体において会計実地検査を行ったところ、8府県の11事業主体において、被保護世帯が特別児童扶養手当等を受給しているのに、事実と相違した届出がなされるなどしていたため、計40世帯に対する保護費が過大に支給されていた。このため、負担金計27,855,691円が過大に交付されていて不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、被保護世帯において事実と相違した届出を行っているのに、事業主体において収入の認定等に当たっての調査確認が十分でなかったこと、府県において適正な生活保護の実施に関する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の保護費が過大に支給されていた事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例>事業主体Aは、平成22年11月に世帯Bを対象として保護を開始して、引き続き保護を実施している。そして、同年12月から24年11月までの保護費の支給に当たり、世帯主からの収入の届出に基づき、この間の同世帯の収入を3,430,064円と認定して、保護費の額を決定していた。
しかし、実際には、世帯Bの世帯主は、この間に上記の収入のほかに、特別児童扶養手当等の収入計1,765,842円を得ており、このため1,765,842円の保護費が過大に支給されていた。
以上を部局等別・事業主体別に示すと次のとおりである。
部局等 | 補助事業者 (事業主体) |
年度 | 国庫負担対象事業費 | 左に対する国庫負担金交付額 | 不当と認める国庫負担対象事業費 | 不当と認める国庫負担金交付額 | 摘要 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(267) | 千葉県 | 松戸市 | 21〜24 | 40,520 | 30,390 | 5,456 | 4,092 | 手当収入を認定していなかったものなど |
(268) | 同 | 流山市 | 22〜24 | 3,055 | 2,291 | 1,497 | 1,123 | 同 |
(269) | 神奈川県 | 川崎市 | 19〜24 | 16,323 | 12,242 | 2,994 | 2,245 | 同 |
(270) | 同 | 藤沢市 | 19〜24 | 48,682 | 36,512 | 2,008 | 1,506 | 手当収入を認定していなかったもの |
(271) | 長野県 | 長野市 | 19〜24 | 14,626 | 10,970 | 5,669 | 4,251 | 年金受給権の調査が十分でなかったもの |
(272) | 愛知県 | 名古屋市 | 19〜24 | 23,279 | 17,459 | 2,721 | 2,041 | 手当収入を認定していなかったもの |
(273) | 大阪府 | 東大阪市 | 19〜24 | 21,629 | 16,221 | 2,457 | 1,842 | 手当収入を認定していなかったもの |
(274) | 同 | 寝屋川市 | 19〜24 | 36,452 | 27,339 | 2,108 | 1,581 | 同 |
(275) | 奈良県 | 奈良市 | 19〜24 | 33,076 | 24,807 | 3,177 | 2,382 | 同 |
(276) | 福岡県 | 福岡市 | 19〜24 | 51,531 | 38,648 | 5,488 | 4,116 | 手当収入を認定していなかったものなど |
(277) | 宮崎県 | 宮崎市 | 19〜24 | 25,655 | 19,241 | 3,562 | 2,671 | 同 |
(267)—(277)の計 | 314,834 | 236,125 | 37,140 | 27,855 |