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  • 平成24年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
  • 第1節 省庁別の検査結果 |
  • 第10 厚生労働省 |
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  • 補助事業 の実施及び経理が不当と認められるもの

(12) 緊急雇用創出事業臨時特例交付金及びふるさと雇用再生特別交付金により造成した基金を補助の目的外に使用していたもの[厚生労働本省](308)-(310)


3件 不当と認める国庫補助金 17,610,744円

緊急雇用創出事業臨時特例交付金は、厚生労働省が定めた「平成20年度緊急雇用創出事業臨時特例交付金交付要綱」(平成21年厚生労働省発職第0130003号)等に基づき、各都道府県が、同交付金を原資として、緊急雇用創出事業臨時特例基金(以下「緊急雇用創出基金」という。)を造成するために国が交付するものである。

また、ふるさと雇用再生特別交付金は、同省が定めた「平成20年度ふるさと雇用再生特別交付金交付要綱」(平成21年厚生労働省発職第0130002号)に基づき、各都道府県が、同交付金を原資として、ふるさと雇用再生特別基金(以下「ふるさと基金」という。)を造成するために国が交付するものである。

そして、各都道府県及び各市町村等(以下「都道府県等」という。)は、同省が定めた「緊急雇用創出事業実施要領」(平成21年職発第0130008号)等に基づき、緊急雇用創出基金を財源として失業者に対する短期の雇用・就業機会を創出して提供する事業等を実施する緊急雇用創出事業を、また、同省が定めた「ふるさと雇用再生特別基金事業実施要領」(平成21年職発第0130005号)等に基づき、ふるさと基金を財源として地域の求職者等を雇い入れて、原則として1年以上の長期的な雇用機会の創出を図る事業を実施するふるさと雇用再生特別基金事業を、それぞれ実施している(以下、緊急雇用創出事業とふるさと雇用再生特別基金事業とを合わせて「基金事業」といい、また、緊急雇用創出事業実施要領とふるさと雇用再生特別基金事業実施要領を合わせて「実施要領」という。)。

基金事業では、都道府県等が企画した事業を民間企業等へ委託し、受託した民間企業等が公募により失業者を雇い入れて行う事業(以下「委託事業」という。)等が実施されている。都道府県は、自らが委託事業を実施する場合は、委託費相当額をそれぞれの基金から取り崩して受託者に支払い、管内の市町村等が委託事業等を実施する場合は、当該市町村等に対して基金を財源とした補助金(補助率10分の10)を交付している。

そして、委託費の対象経費は、実施要領等によれば委託事業の受託者に新規に雇用された者に係る賃金等の人件費及びその他の経費とされており、その他の経費には、受託者に既に雇用されている者等(以下「既存雇用者」という。)が委託事業に従事した分に係る実際に支払われた賃金等の人件費も含めることができることとなっている。

本院が、8府県において、8府県及びこれらの府県から補助金の交付を受けた管内の64市町村を対象に会計実地検査を行った結果、3県(注1)及び1市(注2)が実施した基金事業において、委託事業の受託者が、当該事業に従事した既存雇用者に係る人件費について、実際に支払った賃金等に基づいて算出していなかったことなどにより、計17,610,744円(交付金相当額同額)が、3県に造成されたそれぞれの基金から過大に取り崩されて、補助の目的外に使用されていて不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、上記の3県及び1市において市又は受託者から提出された委託事業に係る実績報告書等の内容の調査確認が十分でなかったこと、1県において1市に対する指導監督が十分でなかったこと、厚生労働省において3県に対する指導監督が十分でなかったことなどによると認められる。

(注1)
3県  青森、三重、和歌山各県
(注2)
1市  青森市

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例>

青森県青森市は、緊急雇用創出基金を財源とした委託事業として、平成23年度に、投票所の現地調査や投票区域の電子地図データの作成等を行う「投票所及び投票区域等データ作成業務」を計12,873,000円でA会社に委託し、同会社が当該事業を実施したとして同額を支払っており、青森県は同市に対して、緊急雇用創出基金を財源として同額の補助金を交付していた。

しかし、同会社が同市に提出した実績報告書に計上された当該事業に従事した既存雇用者4名に係る人件費は、青森県の設計単価表に記載された労務単価を基に算出したものであって、実際に支払われた賃金等に基づいて算出したものではなかった。

したがって、既存雇用者4名に実際に支払われた賃金等を基に適正な委託費の額を算定すると11,744,888円となり、委託費の支払額12,873,000円との差額1,128,112円は基金事業の対象とは認められず、同額が青森県から同市に交付される補助金として緊急雇用創出基金から過大に取り崩され、補助の目的外に使用されていた。

これを事業主体別に示すと次のとおりである。

部局等 補助事業者
(事業主体)
補助事業 年度 基金造成額 左に対する交付金交付額 不当と認める基金使用額 不当と認める交付金相当額
千円 千円 千円 千円
(308) 厚生労働本省 青森県 緊急雇用創出基金 20〜24 27,440,000 27,440,000 4,206 4,206
ふるさと基金 20 7,380,000 7,380,000 4,496 4,496
小計 34,820,000 34,820,000 8,702 8,702
(309) 三重県 緊急雇用創出基金 20〜24 22,860,000 22,860,000 3,344 3,344
(310) 和歌山県 緊急雇用創出基金 20〜24 12,320,000 12,320,000 3,127 3,127
ふるさと基金 20 4,380,000 4,380,000 2,436 2,436
小計 16,700,000 16,700,000 5,563 5,563
(308)—(310)の計 74,380,000 74,380,000 17,610 17,610