(以下の内容は、厚生労働省、農林水産省、経済産業省及び国土交通省それぞれの検査結果に基づくものとなっているが、本項において総括的に掲記している。)
国は、法人等に基金を設置造成して単年度では完結しない特定の目的を持つ公益性の高い事業を継続して行わせ、その設置造成に必要な経費の全部又は一部について国庫補助金等を交付している。そして、国庫補助金等の交付を受けた法人等は、各補助金等の交付要綱等に基づき、設置造成した基金を他の事業の財源と区分して経理し、それぞれ、補助、利子助成、債務保証、貸付け等の財源として事業(以下、基金を財源として実施する事業を「基金事業」という。)を実施している。
政府は、平成18年8月に「補助金等の交付により造成した基金等に関する基準」(以下「基金基準」という。)を閣議決定し、国庫補助金等の交付を受けて設置造成した基金を保有する法人(独立行政法人、特殊法人、認可法人及び共済組合を除く。以下、この基金基準の対象となる法人を「基金法人」という。)が当該基金により実施している事業に関して、当該国庫補助金等を交付した府省(以下「所管府省」という。)が国庫補助金等の交付要綱等に基づく指導監督を行う場合の基準を定めている。
基金基準によると、基金法人及び所管府省は、少なくとも5年に1回は定期的に見直しを行うこと、定期的な見直しの際には、使用見込みが低いと判断される基金について、基金の財源となっている国庫補助金等の国庫への返納等、その基金の取扱いを検討し、公表することとされている。
また、新規申請の受付を終了した後も既採択分の支払等の後年度負担が発生する事業については、新規申請の受付を終了した時点で、直ちに国庫への返納等の検討に着手することとされており、受付を終了した年度以降、毎年度、支払財源等として必要のない額を国庫へ返納するなど、基金法人及び所管府省は、その基金の取扱いを検討し、公表することとされている。
本院は、合規性、有効性等の観点から、基金基準等による基金の見直しは適時適切に行われているか、使用見込みのない額を基金法人が保有していないかなどに着眼して、4省(6省庁)(注1)が国庫補助金等を交付して7基金法人(注2)に設置造成させた14基金(24年度末現在の基金保有額994億0205万余円、国庫補助金等相当額973億3039万余円)を対象に、当該4省(6省庁)及び7基金法人において、実績報告書、事業報告書等の関係書類により会計実地検査を行った。
4省(6省庁)が国庫補助金等を交付して7基金法人に設置造成させた14基金の概要は、表1のとおりとなっている。
表1 4省(6省庁)が7基金法人に設置造成させた14基金の概要
所管 府省 |
基金法人名 | 基金名 | 基金設置年度 | 運営形態、使途 | 基金事業の概要 | 基金の設置造成のために交付された国庫補助金等 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
国庫補助金等名 | 交付額計 | |||||||
厚生労働省 | 中央職業能力開発協会 | 緊急人材育成・就職支援基金(中小企業等雇用創出支援事業) | 平成21年度 | 取崩型、補助事業 | 労働者の雇用及び生活の安定を図るため、十分な技能及び経験を有しない求職者を期間を定めて雇用して人材の育成を図る事業主に対して、助成金の支給等を行うもの | 緊急人材育成・就職支援事業臨時特例交付金 | 160,553,000 | |
緊急人材育成・就職支援基金(長期失業者等支援事業) | 21年度 | 取崩型、補助事業 | 労働者の雇用及び生活の安定を図るため、民間職業紹介事業者に委託して、離職後1 年以上経過している求職者に対して、再就職支援及び職場定着指導を包括的に行う事業等を行うもの | 37,674,000 | ||||
緊急人材育成・就職支援基金(研修生・技能実習生の帰国旅費立替払事業) | 21年度 | 回転型、補助事業 | 労働者の雇用及び生活の安定を図るため、外国人の研修生等を受け入れた団体が倒産等により研修生等の帰国旅費を確保できない場合に、受入れ団体に対して、帰国旅費を立替払するもの | 240,000 | ||||
緊急人材育成・就職支援基金(新卒者就職実現プロジェクト事業) | 22年度 | 取崩型、補助事業 | 労働者の雇用及び生活の安定を図るため、事業主に対して、3 年以内既卒者の採用拡大のための奨励金の支給等を行うもの | 61,000,000 | ||||
農林水産省 | 全国農業協同組合連合会 | 担い手経営展開支援リース事業積立金 | 17年度 | 取崩型、補助事業 | 認定農業者等が経営規模の拡大や経営転換を進められるようにするため、農業用機械等をリース会社から借り受ける場合のリース料を助成するもの | 担い手育成・確保対策事業費補助金等 | 7,058,227 | |
経済産業省 | 本省 | 一般社団法人環境パートナーシップ会議 | 環境対応車普及促進基金(レアアース等利用産業等設備導入事業) | 22年度 | 取崩型、補助事業 | レアアース等の供給不安に左右されない強じんな産業構造をいち早く実現するため、レアアース等の使用を極力減らす技術及び使用しない技術を活用した製造プロセスの事業化、レアアース等の国内循環に資する設備の導入等を行う法人等に対して、補助を行うもの | 希少金属利用産業等高度化推進費補助金 | 42,000,000 |
環境対応車普及促進基金(低炭素型雇用創出産業立地推進事業) | 22年度 | 取崩型、補助事業 | 低炭素型産業の国内集積を高め、地域経済の活性化を図るため、低炭素社会の基盤となり将来の大きな成長が見込まれる市場において、国内雇用の創出に寄与しつつ国内への投資を加速し設備等を新増設する企業に対して、補助を行うもの | 低炭素型雇用創出産業立地推進事業費補助金 | 110,000,000 | |||
環境対応車普及促進基金(環境対応車普及促進事業、平成23 年度第4 次補正予算) | 23年度 | 取崩型、補助事業 | 環境対策に貢献するとともに、国内市場活性化を図るため、環境性能に優れた道路運送車両法に基づく自家用自動車を購入した者に対して、補助を行うもの | 環境対応車普及促進対策費補助金 | 278,083,032 | |||
資源エネルギー庁 | 社団法人全国石油協会 | 環境・安全等対策基金(立地最適化事業等) | 20年度 | 取崩型、補助事業 | 良質な石油製品の安定供給の確保等を図るため、給油所を集約化等したものについて、計量機や洗車機等を導入する際のリース料の助成等を行うもの | 石油製品販売業構造改善対策事業費等補助金 | 3,750,000 | |
環境・安全等対策基金(省エネ型石油製品販売業転換対策事業) | 20年度 | 取崩型、補助事業 | 石油販売業の省エネ化の推進を図るため、給油所に省エネ機器を導入する際のリース料の助成等を行うもの | エネルギー使用合理化設備導入促進等対策費補助金 | 1,250,000 | |||
中小企業庁 | 日本商工会議所 | 人材対策基金 | 20年度 | 取崩型、補助事業 | 中小・小規模企業の雇用環境の整備を促進するため、中小・小規模企業の雇用機会の創出、求人ニーズに対応する求職者とのマッチングの促進、中小・小規模企業が新たな事業展開等を図るための人材育成等の支援を行うもの | 中小企業経営支援等対策費補助金 | 5,714,210 | |
経済産業省 | 日本自動車整備商工組合連合会 | 自動車整備近代化資金 | 昭和58年度 | 保有型、債務保証事業 | 指定整備事業者の行う車検整備の割合の維持向上を図り、国の検査業務の合理化に寄与するため、整備事業者が自動車整備の近代化を行うのに必要な資金の借入れに対する債務保証等を行うもの | 自動車検査指定整備対策費補助金等 | 7,730,000 (7,730,000) |
|
財団法人民間都市開発推進機構 | 事業促進支援基金 | 平成11年度 | 運用型、調査等事業 | 民間都市開発事業の促進を図るため、土地取得譲渡業務で取得した事業見込地について事業実施計画の策定等、事業の促進支援を行うもの | 都市再生推進事業費補助等 | 15,000,000 (5,000,000) |
||
一般社団法人環境パートナーシップ会議 | 環境対応車普及促進基金(環境対応車普及促進事業、平成23 年度第4 次補正予算) | 23年度 | 取崩型、補助事業 | 環境対策に貢献するとともに、国内市場活性化を図るため、環境性能に優れた自動車運送事業用自動車を購入した者に対して、補助を行うもの | 低公害車普及促進対策費補助金 | 21,885,148 | ||
計 | 751,937,617 |
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
4省(5省庁)及び4基金法人は、基金事業として実施する助成等について、申請者から提出された申請書等の審査等を踏まえて、交付の決定を行うなどしていた。そして、これらに係る基金事業については、新規申請の受付が終了し、交付対象が確定したことにより、後年度負担額を見込むことができる状況となっていた。
しかし、4省(5省庁)及び4基金法人は、基金事業が終了する際に基金残額を国庫へ返納するなどとしており、新規申請の受付が終了した時点で直ちに国庫への返納等の検討を行っていなかった。また、基金事業として実施する助成等の交付の決定を行ったものなどの中には、助成等の対象者の都合により、助成等を受けて行う事業を取りやめるなどして、交付決定額を減額したものなどがあったが、受付を終了した年度以降、毎年度、支払財源等として必要のない額を国庫へ返納するなどの検討を行っていなかった。
このため、4省(5省庁)が国庫補助金等を交付して4基金法人に設置造成させた11基金について、24年度末の基金保有額から25年度以降の後年度負担額を除いた額計481億4623万余円(国庫補助金等相当額同額)は、使用見込みのないまま4基金法人に滞留していた。これを所管府省別に示すと表2のとおりである。
表2 新規申請の受付が終了した時点で、直ちに国庫への返納等の検討を行っていなかったもの
所管府省 | 基金法人名 | 基金名 | 平成24 年度末基金保有額(国庫補助金等相当額) | 25 年度以降の後年度負担額 | 使用見込みのない額(国庫補助金等相当額) | |
---|---|---|---|---|---|---|
(A) | (B) | (A−B) | ||||
厚生労働省 | 中央職業能力開発協会 | 緊急人材育成・就職支援基金(中小企業等雇用創出支援事業) | 39,393(39,393) | — | 39,393(39,393) | |
緊急人材育成・就職支援基金(長期失業者等支援事業) | 400,809(400,809) | 263,019 | 137,790(137,790) | |||
緊急人材育成・就職支援基金(研修生・技能実習生の帰国旅費立替払事業) | 117(117) | — | 117(117) | |||
緊急人材育成・就職支援基金(新卒者就職実現プロジェクト事業) | 12,870,295(12,870,295) | 10,369,283 | 2,501,012(2,501,012) | |||
計 | 13,310,616(13,310,616) | 2,678,314(2,678,314) | ||||
農林水産省 | 全国農業協同組合連合会 | 担い手経営展開支援リース事業積立金 | 3,071,265(3,071,265) | 2,839,980 | 231,285(231,285) | |
計 | 3,071,265(3,071,265) | 231,285(231,285) | ||||
経済産業省 | 本省 | 一般社団法人環境パートナーシップ会議 | 環境対応車普及促進基金(レアアース等利用産業等設備導入事業) | 28,605,919(28,605,919) | 22,677,767 | 5,928,151(5,928,151) |
環境対応車普及促進基金(低炭素型雇用創出産業立地推進事業) | 43,036,015(43,036,015) | 8,805,374 | 34,230,641(34,230,641) | |||
環境対応車普及促進基金(環境対応車普及促進事業、平成23 年度第4 次補正予算) | 4,529,141(4,529,141) | 135,310 | 4,393,830(4,393,830) | |||
資源エネルギー庁 | 社団法人全国石油協会 | 環境・安全等対策基金(立地最適化事業等) | 1,449,379(1,449,379) | 1,318,090 | 131,289(131,289) | |
環境・安全等対策基金(省エネ型石油製品販売業転換対策事業) | 239,204(239,204) | 215,487 | 23,717(23,717) | |||
計 | 77,859,660(77,859,660) | 44,707,630(44,707,630) | ||||
国土交通省 | 一般社団法人環境パートナーシップ会議 | 環境対応車普及促進基金(環境対応車普及促進事業、平成23 年度第4 次補正予算) | 533,658(533,658) | 4,653 | 529,004(529,004) | |
計 | 533,658(533,658) | 529,004(529,004) | ||||
合計 | 94,775,200(94,775,200) | 48,146,234(48,146,234) |
国土交通省及び日本自動車整備商工組合連合会は、22年度に債務保証等の新規申請の受付が終了したことなどから、基金の取扱いについて検討して、債務保証等の事業として必要のない額のうち国庫補助金相当額を国庫へ返納し、同連合会の会員等の出えん金分については、基金に残置していた。そして、基金事業を終了する29年度において、基金残額のうち国庫補助金相当額を国庫へ返納することとしていた。
しかし、債務保証等の事業に必要な基金保有額は、債務保証残高等を基に算出されるもので、債務保証等の新規申請の受付が終了したことにより債務保証残高等は年々減少していくことから、必要な基金保有額も同様に減少していくこととなり、毎年度の見直しが必要となるが、同省及び同連合会は、基金の取扱いについて検討していなかった。
このため、同省が同連合会に設置造成させた自動車整備近代化資金の24年度末基金保有額25億9400万円から25年度以降の後年度負担額7億7400万円及び同資金に残置されていた前記出えん金等の額6億3892万余円を除いた額11億8107万余円(国庫補助金相当額5億9053万余円)は、使用見込みのないまま同連合会に滞留していた。
日本商工会議所は、新規申請の受付が終了する時点で国庫への返納等の検討を行っていたものの、中小企業庁において国庫返納の指示を行っていなかった。
このため、同庁が同会議所に設置造成させた人材対策基金の24年度末基金保有額2億0621万余円(国庫補助金相当額同額)は、使用見込みのないまま同会議所に滞留していた。
財団法人民間都市開発推進機構は、22年4月までに、設置造成した事業促進支援基金全額を国庫へ返納するなどし、22年度以降はそれまでに積み立てていた同基金の運用益の残余(事業促進支援準備預金)により基金事業を実施していた。そして、基金事業を終了する26年度において、基金残額がある場合は、そのうち国庫補助金相当額を国庫へ返納することとしていた。
しかし、基金事業は26年度で終了すること、基金事業の対象となる案件は3件しかないことなどから、同基金は使用見込みの低い基金となっていたにもかかわらず、国土交通省及び同機構は使用見込みの低い基金についての取扱いの検討を行っていなかった。
このため、同省が同機構に設置造成させた同基金の24年度末基金保有額18億2664万余円から25年度以降の所要見込額3310万余円を除いた額17億9353万余円(国庫補助金相当額13億4515万余円)は、使用見込みのないまま同機構に滞留していた。
(1)及び(2)の事態を所管府省別・態様別に示すと表3のとおりである。
表3 (1)及(2)の事態の所管府省別及び態様別内訳
所管府省 | 基金法人名 | 基金名 | 平成24 年度末基金保有額(国庫補助金等相当額) | 25 年度以降の後年度負担額 | 使用見込みのない額(国庫補助金等相当額) | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
(A−B) | ||||||||
(A) | (B) | (1)ア | (1)イ | (1)ウ | (2) | |||
厚生労働省 | 中央職業能力開発協会 | 緊急人材育成・就職支援基金(中小企業等雇用創出支援事業) | 39,393(39,393) | — | 39,393(39,393) | — | — | — |
緊急人材育成・就職支援基金(長期失業者等支援事業) | 400,809(400,809) | 263,019 | 137,790(137,790) | — | — | — | ||
緊急人材育成・就職支援基金(研修生・技能実習生の帰国旅費立替払事業) | 117(117) | — | 117(117) | — | — | — | ||
緊急人材育成・就職支援基金(新卒者就職実現プロジェクト事業) | 12,870,295(12,870,295) | 10,369,283 | 2,501,012(2,501,012) | — | — | — | ||
計 | 13,310,616(13,310,616) | 2,678,314(2,678,314) | ||||||
農林水産省 | 全国農業協同組合連合会 | 担い手経営展開支援リース事業積立金 | 3,071,265(3,071,265) | 2,839,980 | 231,285(231,285) | — | — | — |
計 | 3,071,265(3,071,265) | 231,285(231,285) | ||||||
経済産業省 | 本省 | 一般社団法人環境パートナーシップ会議 | 環境対応車普及促進基金(レアアース等利用産業等設備導入事業) | 28,605,919(28,605,919) | 22,677,767 | 5,928,151(5,928,151) — | — | — |
環境対応車普及促進基金(低炭素型雇用創出産業立地推進事業) | 43,036,015(43,036,015) | 8,805,374 | 34,230,641(34,230,641) | — | — | — | ||
環境対応車普及促進基金(環境対応車普及促進事業、平成23 年度第4 次補正予算) | 4,529,141(4,529,141) | 135,310 | 4,393,830(4,393,830) | — | — | — | ||
資源エネルギー庁 | 社団法人全国石油協会環境・安全等対策基金(立地最適化事業等) | 1,449,379(1,449,379) | 1,318,090 | 131,289(131,289) | — | — | — | |
環境・安全等対策基金(省エネ型石油製品販売業転換対策事業) | 239,204(239,204) | 215,487 | 23,717(23,717) | — | — | — | ||
中小企業庁 | 日本商工会議所人材対策基金 | 206,211(206,211) | — | — | — | 206,211(206,211) | — | |
計 | 78,065,871(78,065,871) | 44,913,842(44,913,842) | ||||||
国土交通省 | 日本自動車整備商工組合連合会 | 自動車整備近代化資金 | 2,594,000(979,000) | 774,000 | — | 1,181,075(590,537) | — | — |
財団法人民間都市開発推進機構 | 事業促進支援基金 | 1,826,644(1,369,983) | 33,106 | — | — | — | 1,793,537(1,345,153) | |
一般社団法人環境パートナーシップ会議 | 環境対応車普及促進基金(環境対応車普及促進事業、平成23 年度第4 次補正予算) | 533,658(533,658) | 4,653 | 529,004(529,004) | — | — | — | |
計 | 4,954,302(2,882,641) | 3,503,617(2,464,695) | ||||||
合計 | 48,146,234(48,146,234) | 1,181,075(590,537) | 206,211(206,211) | 1,793,537(1,345,153) | ||||
99,402,055(97,330,394) | 51,327,059(50,288,137) |
以上のように、4省(6省庁)が国庫補助金等を交付して7基金法人に設置造成させた14基金について、新規申請の受付が終了した基金についての取扱いの検討を行っていなかったり、使用見込みの低い基金についての取扱いの検討を行っていなかったりしていたことにより、使用見込みのない額が7基金法人に滞留している事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。
このような事態が生じていたのは、4省(6省庁)及び6基金法人(7基金法人から日本商工会議所を除く。)において、基金事業の新規申請の受付を終了した基金については、新規申請の受付を終了した時点で、基金法人が直ちに国庫への返納等の検討に着手することなどとしている基金基準についての認識が欠けているなどしていたり、4省(6省庁)において、基金基準等に定める措置を着実に実行することについての7基金法人に対する指導監督等が十分でなかったりしていたことなどによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、4省(6省庁)は、表4のとおり、25年9月末までに、14基金に係る使用見込みのない額のうち国庫補助金等相当額502億8813万余円を国庫へ返納するよう7基金法人に指示等するとともに、基金基準等に基づく指導監督を適切に行っていくこととする処置を講じた。
表4 所管府省別及び基金法人別の改善の処置
所管府省 | 基金法人名 | 基金名 | 所管府省が国庫への返納を指示等した年月 | 国庫への返納を指示等した使用見込みのない額のうち国庫補助金等相当額 | 基金法人の国庫への返納の状況(年月) | 所管府省が基金基準等に基づく指導監督する旨を通知した年月 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
厚生労働省 | 中央職業能力開発協会 | 緊急人材育成・就職支援基金(中小企業等雇用創出支援事業) | 平成25 年9 月 | 39,393 | 返納済(25 年10 月) | 25 年9 月 | |
緊急人材育成・就職支援基金(長期失業者等支援事業) | 137,790 | ||||||
緊急人材育成・就職支援基金(研修生・技能実習生の帰国旅費立替払事業) | 117 | ||||||
緊急人材育成・就職支援基金(新卒者就職実現プロジェクト事業) | 2,501,012 | ||||||
農林水産省 | 全国農業協同組合連合会 | 担い手経営展開支援リース事業積立金 | 25 年7 月 | 231,285 | 返納済(25 年7 月) | 25 年7 月 | |
経済産業省 | 本省 | 一般社団法人環境パートナーシップ会議 | 環境対応車普及促進基金(レアアース等利用産業等設備導入事業) | 25 年8 月 | 5,928,151 | 返納済(25 年8 月) | 25 年9 月 |
環境対応車普及促進基金(低炭素型雇用創出産業立地推進事業) | 34,230,641 | ||||||
環境対応車普及促進基金(環境対応車普及促進事業、平成23 年度第4 次補正予算) | 4,393,830 | ||||||
資源エネルギー庁 | 社団法人全国石油協会 | 環境・安全等対策基金(立地最適化事業等) | 25 年8 月 | 131,289 | 返納済(25年10月) | 25 年9 月 | |
環境・安全等対策基金(省エネ型石油製品販売業転換対策事業) | 23,717 | ||||||
中小企業庁 | 日本商工会議所 | 人材対策基金 | 25 年8 月 | 206,211 | 返納済(25 年8 月) | ||
国土交通省 | 日本自動車整備商工組合連合会 | 自動車整備近代化資金 | 25 年8 月 | 590,537 | 返納済(25 年9 月) | 25 年8 月 | |
財団法人民間都市開発推進機構 | 事業促進支援基金 | 25 年8 月 | 1,345,153 | 返納済(25 年8 月) | 25 年9 月 | ||
一般社団法人環境パートナーシップ会議 | 環境対応車普及促進基金(環境対応車普及促進事業、平成23 年度第4 次補正予算) | 25 年8 月 | 529,004 | 返納済(25 年8 月) | 25 年9 月 | ||
計 | 50,288,137 |