厚生労働省は、中小企業事業主(以下「事業主」という。)の団体等に対して労働時間等設定改善推進助成金を支給するとともに、事業主に対して職場意識改善助成金を支給している。そして、事業の実施による両助成金の政策効果については、評価指標として、年次有給休暇平均取得率(以下「年休取得率」という。)の上昇度合い等を設定して、その実績値(以下「アウトカム実績」という。)を評価して、評価結果を踏まえて必要に応じて事業の見直しなどを行うとしている。しかし、正確なアウトカム実績を把握していなかったり、厚生労働本省が都道府県労働局(以下「労働局」という。)に対してフォローアップを行うことを求めているのに、労働局がフォローアップを実施していなかったりする事態が見受けられた。
したがって、厚生労働省において、労働局が正確なアウトカム実績の把握に必要な事業主の年休取得率等の報告を審査した上で厚生労働本省がこれに基づいたアウトカム実績を把握することができる体制を整備するとともに、両助成金の支給後における事業主の取組状況を把握するために、労働局に対して適時にフォローアップを行うように周知徹底を図るよう、厚生労働大臣に対して平成24年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、厚生労働本省等において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、厚生労働省は、本院指摘の趣旨に沿い、24年10月及び25年5月に労働局に対して通知を発するなどして、次のような処置を講じていた。