国民健康保険団体連合会(以下「国保連合会」という。)は、社会保障カードの導入に向けた環境整備の一環として、基盤整備事業を実施しており、厚生労働省は、これに要する経費を保険者事務共同電算処理事業として、国民健康保険団体連合会等補助金の交付対象に含めている。しかし、国保連合会において、基盤整備事業により整備された機器等が活用されないままとなっている事態が見受けられた。
したがって、厚生労働省において、基盤整備事業で整備された機器等の活用状況を把握した上で、活用されていない機器等について、各国保連合会が行う保険者事務共同電算処理事業等において早期に活用するための方策を検討し、これを国保連合会に対して指示することにより、国庫補助金により整備した機器等の有効な活用を図るよう、厚生労働大臣に対して平成24年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。
本院は、厚生労働本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、厚生労働省は、本院指摘の趣旨に沿い、基盤整備事業で整備された機器等の活用状況を把握した上で、活用されていない機器等について早期に活用するための方策を検討し、25年1月に各国保連合会を指導監督する都道府県に対して通知を発するなどして、サーバ及び端末については、各国保連合会において新たに導入されることとなった保健事業に係るシステム等において活用を図るよう指示を行い、これに基づき、各国保連合会は、全てのサーバ及び端末を活用する処置を講じていた。また、医療機関等による被保険者資格の照会及び確認を行うためのシステムについては、既に導入が決定している社会保障・税番号制度において、今後、医療機関等が当該制度の対象とされることとなった場合に活用を図ることを検討することとする処置を講じていた。