厚生労働省は、生活保護法(昭和25年法律第144号)等に基づき、都道府県又は市町村(特別区を含む。以下、これらを合わせて「事業主体」という。)に生活保護費等負担金を交付しており、このうち生業扶助は被保護者の収入を増加させ又はその自立を助長する見込みがある場合に限り技能修得費等を支給するものである。しかし、事業主体において、被保護者の自立に向けた目標を明確にしないまま技能修得費を支給したことなどのため、生業扶助の効果が必ずしも十分に発現していない事態が見受けられた。
したがって、厚生労働省において、生業扶助の効果がより発現されることとなるよう、技能修得費の支給に当たり、被保護者の適性等を踏まえて、具体的な自立に向けた目標を設定させるなど自立の助長に向けた被保護者に対する支援を行うなどの技術的助言を事業主体に対して行ったり、生活保護法施行事務監査において、技能修得費の支給状況及びその後の就労等に向けた支援の実施状況を確認して、指導を徹底したりする処置を講ずるよう、厚生労働大臣に対して平成24年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。
本院は、厚生労働本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、厚生労働省は、本院指摘の趣旨に沿い、25年5月に都道府県等に通知を発するなどして、次のような処置を講じていた。