厚生労働本省は、業務上の事由等で負傷するなどした労働者に対して診療を行った都道府県労働局長の指定を受けた医療機関等(以下「指定医療機関等」という。)からの労災診療費の請求について、都道府県労働局(以下「労働局」という。)が内容を審査した上で支払っている。また、地方厚生局等は、保険医療機関に対して個別指導等を実施した結果、過大に支払われていた診療報酬を自主返還するなどした情報等(以下「診療報酬返還情報等」という。)を保有している。しかし、労働局は、保険医療機関でもある指定医療機関等に関する診療報酬返還情報等を把握しておらず、これを活用した労災診療費の支払に係る事後確認を行っていなかったことなどから、労災診療費が過大に支払われたままとなっている事態が見受けられた。
したがって、厚生労働省において、労働局が地方厚生局等から診療報酬返還情報等の提供を受けられる体制を整備するとともに、労働局に対して診療報酬返還情報等を活用して労災診療費の支払に係る事後確認を行うように指導するよう、厚生労働大臣に対して平成24年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。
本院は、厚生労働本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、厚生労働省は、本院指摘の趣旨に沿い、労働局と地方厚生局等との間で調整を図るよう、25年4月に労働局、地方厚生局等に対してそれぞれ通知を発するなどして、次のような処置を講じていた。