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  • 平成24年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
  • 第1節 省庁別の検査結果 |
  • 第11 農林水産省 |
  • 不当事項 |
  • 補助金 |
  • 補助事業 の実施及び経理が不当と認められるもの |
  • (1) 補助の対象とならないなどのもの

「農」の雇用事業による農業法人に対する助成が補助の対象とならないもの[農林水産本省](336)


(1件 不当と認める国庫補助金 1,213,200円)

「農」の雇用事業は、全国農業会議所が、担い手育成・確保対策事業実施要領(平成14年13経営第6627号農林水産事務次官依命通知。以下「実施要領」という。)等に基づき、就農意欲のある若者等多様な人材が農業法人等に就業することを促進し、農業の担い手として定着することを支援するため、農業法人等に対して、農業法人等が就農希望者に対して実施する実践研修等に要した経費を助成するもの(以下、この事業を「助成事業」という。)である。

そして、農林水産省は、助成事業の実施に必要な資金の財源に充てるため、全国農業会議所に対して国庫補助金を交付して資金を造成させており、全国農業会議所は、実施要領等に基づき、この資金を取り崩して農業法人等に対して助成を行っている。

実施要領等によると、助成事業により実践研修を受けられる者(以下「研修生」という。)の要件は、農業法人等が新たに雇用する者又は全国農業会議所が助成事業に係る申請の受付を開始する日において農業法人等が雇用してから6か月未満の者であり、かつ、過去の農業就業期間が3年未満の者で、就業に当たり研修実施が必要であると全国農業会議所が認めた者であることなどとされている。

本院が、12府県管内の26農業法人等において会計実地検査を行ったところ、次のような事態が見受けられた。

部局等 補助事業者等 間接補助事業者等 補助事業等 年度 事業費 左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
千円 千円 千円 千円
(336) 農林水産本省 全国農業会議所 株式会社カクト・ロコ(事業主体) 「農」の雇用 22 1,213 1,213 1,213 1,213

株式会社カクト・ロコ(浜松市所在)は、全国農業会議所が平成21年11月に行った募集に対して、同年5月に雇用し、過去の農業就業期間が20年3月から21年1月までの職員Aに22年1月から12か月間の実践研修を実施するとした研修実施計画書を全国農業会議所に提出して応募し、その承認を受けていた。そして、同社は、研修実施計画等に基づき実践研修を実施したとして、実践研修等に要した経費に係る助成金交付申請書を全国農業会議所に提出して、全国農業会議所から22年7月、23年1月及び同年2月に助成金計1,213,200円の交付を受けていた。

しかし、上記の研修実施計画書に記載された同社とAとの雇用契約の日付は虚偽のものであり、実際には、同社は、Aを21年3月から雇用して農作業に従事させており、また、同社は、Aが他の農業法人において計4年6か月以上の間農作業に従事していたにもかかわらず、一部の農業就業期間しか研修実施計画書に記載していなかった。これらのことから、Aは研修生の要件を満たしておらず、Aに対する実践研修等に要した経費は、助成の対象とはならないものであった。

したがって、全国農業会議所が同社に交付した助成金計1,213,200円は、補助の対象とは認められず、これに係る国庫補助金計1,213,200円が不当と認められる。

生じていたのは、同社において本件助成事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと、全国農業会議所において助成金の交付に当たっての審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。