ページトップ
  • 平成24年度 |
  • 第3章 個別の検査結果|第1節 省庁別の検査結果|第11 農林水産省|不当事項|補助金|補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの|(3) 工事の設計が適切でなかったなどのもの

堆肥保管庫の設計が適切でなかったもの[北陸農政局](351)


(1件 不当と認める国庫補助金 55,765,286円)

部局等 補助事業者等 間接補助
事業者等
補助事業等 年度 事業費 左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
千円 千円 千円 千円
(351) 北陸農政局 福井県大野市(事業主体) 地域バイオマス利活用交付金 21 127,476 63,738 111,530 55,765

この交付金事業は、大野市が、同市南六呂師において、堆肥の品質維持及び保管を目的として、堆肥保管庫(鉄骨造り平屋建て1,449.2㎡)の築造等を実施したものである。

同市は、本件堆肥保管庫のうち鉄筋コンクリート構造の壁について、「堆肥化施設設計マニュアル」(社団法人中央畜産会編)に基づき、堆積した堆肥が壁に作用する圧力を計算する際に用いる「堆肥堆積高さ」を1.39mと算定するなどして壁に作用する圧力を計算した結果、壁の延長1m当たりの水平面の断面積に対して必要とされる鉛直方向に配置する主鉄筋の断面積の合計(以下「壁の延長1m当たりの必要鉄筋量」という。)を5.19と算出していた。そして、径13㎜の鉄筋を20㎝間隔で配置すれば壁の延長1m当たりの鉄筋量が6.35となり、5.19を上回ることから、応力計算上安全であるとして、これにより施工していた。

しかし、上記の堆肥堆積高さ1.39mは、適正に算定された堆肥堆積高さに、誤って2分の1を乗じていたものであった。

そこで、適正な堆肥堆積高さ2.79mに基づくなどして、改めて壁に作用する圧力を計算して、壁の延長1m当たりの必要鉄筋量を算出すると10.65となり、前記の実際に配置された鉄筋量6.35はこれを大幅に下回っていて、応力計算上安全とされる範囲に収まっていなかった。

したがって、本件堆肥保管庫(工事費相当額111,530,573円)は、設計が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態になっていて工事の目的を達しておらず、これに係る交付金相当額55,765,286円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同市において委託した設計業務の成果品に誤りがあったのにこれに対する検査が十分でなかったこと、北陸農政局において同市に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。