(1件 不当と認める国庫補助金 27,757,915円)
部局等 | 補助事業者等 | 間接補助 事業者等 |
補助事業等 | 年度 | 事業費 | 左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(352) | 近畿農政局 | 和歌山県(事業主体) | — | 中山間地域総合整備 | 22 | 52,603 | 28,931 | 50,468 | 27,757 |
この補助事業は、和歌山県が、田辺市日向地区において、ほ場等の造成地内に農道等を新設するために、支線道路工、横断水路工等を実施したものである。このうち支線道路工は、支線道路8路線(道路延長2,164.0m)について、造成地内における排水路と農道の機能を兼ね備えた水路兼用農道として整備するために、コンクリート舗装(幅員3.0m、コンクリート舗装厚12㎝、路盤厚15㎝)を行い、このコンクリート舗装の両端にコンクリート製の側壁(壁高15㎝。以下「水路壁」という。)を設置するものである(参考図参照)。
本件農道の設計は、土地改良事業計画設計基準・設計「農道」(農林水産省農村振興局制定)、土木工事共通仕様書(和歌山県制定)等に基づき行われている。そして、土木工事共通仕様書によると、造成地内に農道を整備する場合、耕作に支障のないように農道からほ場へ出入りするための進入路を設置しなければならないとされているが、同県は、水路壁の壁高が15㎝であることから水路壁を乗り越えることにより出入りは可能であると判断し、進入路を全く設置しない設計として、これにより施工していた。
しかし、現地の状況を確認したところ、受益者は、車両等で本件農道からほ場に出入りする際に水路壁による段差が障害となったことから、同県から紹介された工事業者に依頼して、本件農道の完成後の平成24年1月から3月までの間に、前記8路線の36か所で水路壁をコンクリートカッター等により撤去するなどしてほ場へ出入りしている状況となっていた。このため、水路壁が撤去されている箇所ではほ場内の耕作土が浸食されコンクリート舗装を覆うように流出するなどしていて、ほ場における営農活動に支障を来したり、本件農道の排水路としての機能が低下したりしていた。
したがって、前記の8路線(工事費相当額計50,468,938円)は、設計が適切でなかったため、排水路として機能するための水路壁が撤去されるなどしていて、工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額計27,757,915円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、農道からほ場への進入路設置の必要性に対する検討が十分でなかったことなどによると認められる。
(参考図)