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  • 平成24年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
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  • 補助事業 の実施及び経理が不当と認められるもの |
  • (5) 事業の一部を実施していなかったもの及び補助の対象とならないもの

省エネ推進協業体活動支援事業等の実施に当たり、漁業者グループに対する経費の助成等が適切に実施されていないなどしていたもの[水産庁](362)(363)


2件 不当と認める国庫補助金 144,757,167円

部局等 補助事業者等 間接補助
事業者等
補助事業等 年度 事業費 左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
千円 千円 千円 千円
(362) 水産庁 社団法人大日本水産会 全国漁業協同組合連合会
5漁業協同組合連合会
(事業主体)
省エネ推進協業体活動支援
(省エネ推進協業体活動)
20、21 697,130 665,184 21,479 21,151
(363) 特定非営利活動法人水産業・漁村活性化推進機構 6漁業協同組合連合会
(事業主体)
資源回復・漁場生産力強化
(漁業者等地域活動)
21、22 4,299,245 4,213,012 124,139 123,605
(362)(363)の計 4,996,376 4,878,196 145,618 144,757

省エネ推進協業体活動支援事業(省エネ推進協業体活動事業)(以下「省エネ事業」という。)は、漁業者による燃油消費量削減又は生産性向上のための取組を緊急に実施するために、漁業協同組合連合会(以下「漁連」という。)等に対して、社団法人大日本水産会(平成25年4月1日以降は一般社団法人大日本水産会。以下「水産会」という。)が全国漁業協同組合連合会(以下「全漁連」という。)を通じて助成金を交付するものである。

また、資源回復・漁場生産力強化事業(漁業者等地域活動事業)(以下「資源回復事業」という。)は、漁業者等による資源回復又は漁場生産力の向上のための取組を促進するために、漁連等に対して、特定非営利活動法人水産業・漁村活性化推進機構(以下「機構」という。)が直接助成金を交付するものである。

水産庁は、これら助成金の財源に充てるために水産会又は機構に対して国庫補助金を交付して水産業燃油高騰緊急対策基金又は水産業体質強化総合対策事業基金を造成させるなどしており、水産会及び機構は、これらの基金を取り崩すなどして漁連等に対して助成金を交付している。

「水産業燃油高騰緊急対策事業実施要領」(平成20年19水漁第3248号農林水産事務次官依命通知)等によると、漁連等は、漁業者等により構成されるグループ(以下「漁業者グループ」という。)が、燃油消費量削減等のために輪番制休漁等を導入する協定を漁業者間で締結して、漁連等が策定した活動計画に基づいて休漁中に海岸清掃等の漁場生産力の向上の取組を行う場合には、漁業者グループに対する経費の助成を行うとともに、自ら又は漁業者グループ構成員以外の第三者に漁場生産力の向上の取組に係る指導・監視を委託(以下、この委託を受けた者を「指導・監視員」という。)して、取組の実施状況の管理を実施することとされている。

上記助成の対象となる経費は、①漁業者グループによる漁場生産力向上の取組に係る経費(人件費、船舶借料、漁業者グループの負担した燃料費及び資材費等)、及び②取組の実施状況の管理に係る指導・監視経費(漁連等が漁業者グループ構成員以外の第三者に指導・監視を委託して行った場合の指導・監視員に係る雇用賃金等)とされており、漁連等の事務費については、助成の対象とされていない。

6漁連(注1)は、20年度から22年度までの間に全漁連又は機構に対して、省エネ事業を計697,130,959円、資源回復事業を計4,299,245,042円、合計4,996,376,001円で実施したとして事業実施報告書を提出して、これにより全漁連から計665,184,402円、機構から計4,213,012,147円、合計4,878,196,549円の助成金の交付を受けていた。

しかし、6漁連が提出した事業実施報告書に記載された事業費には、漁業者グループに対する経費の助成等が適切に実施されていないものや全漁連又は機構の助成の対象とならないものが含まれていた。
(注)
 6漁連  北海道、千葉県、神奈川県、三重県、兵庫県、和歌山県各漁業協同組合連合会

これらを経費別・態様別に示すと次のとおりである。

  • ア 漁業者グループによる漁場生産力向上の取組に係る経費
    • (ア) 取組一部不参加
      漁業者グループが協定に基づく取組を実施したとして漁連が助成金の交付を受けていたが、実際には漁業者グループ構成員の一部が取組に参加していなかったもの
    • (イ) 漁業者グループが負担していない経費
      漁連の会員である地域の漁業協同組合(注2)(以下「地域漁協」という。)が負担していて漁業者グループが負担していない資材費等に係る経費について、漁連が助成金の交付を受けていたもの
      注(2)
       地域の漁業協同組合  合併前の市町村等の地域を定款上の「地区」とする漁業協同組合をいい、通常、漁業協同組合連合会の会員となっている。
    • (ウ) 漁業者人件費未払等
      漁連が漁業者グループに人件費、船舶借料等の経費を助成したとして助成金の交付を受けていたが、助成したとする経費の一部が漁業者グループに支払われていなかったり、一旦漁業者グループに支払われた後に徴収されたりしていて、地域漁協の事務費等に充てられていたもの
  • イ 取組の実施状況の管理に係る指導・監視経費

    漁連が指導・監視業務を地域漁協の職員等に委託して、賃金を支払ったとして助成金の交付を受けていたが、支払ったとする賃金の全部又は一部が地域漁協の収入となっていて、委託を受けた職員等に支払われていなかったなどのもの

    したがって、上記の事態に係る事業費計145,618,983円(省エネ事業計21,479,456円、資源回復事業計124,139,527円)に対する助成金交付額計144,757,167円(省エネ事業計21,151,935円、資源回復事業計123,605,232円。国庫補助金相当額同額)が不当と認められる。

    このような事態が生じていたのは、6漁連において、本件補助事業の適正な実施についての認識が欠けており、自ら補助事業の実施状況及び助成金の支払状況を確認していなかったこと、全漁連及び機構において、事業実施報告書の審査及び確認並びに漁連に対する指導及び監査が十分でなかったこと、水産会において、事業実施報告書の審査及び確認並びに全漁連に対する指導及び監査が十分でなかったことなどによると認められる。

これを、漁連別に示すと表のとおりである。

表 不当と認める事業費等の漁連別の内訳

(単位:円)
態様
漁連名
ア 漁業者グループによる漁場生産力向上の取組に係る経費 イ 取組の実施状況の管理に係る指導・監視経費
(ア) 取組一部不参加 (イ) 漁業者グループが負担していない経費 (ウ) 漁業者人件費未払等
北海道漁業協同組合連合会 938,400
(754,400)
570,400
(570,400)
368,000
(184,000)

(—)
3,925,600
(3,925,600)
4,864,000
(4,680,000)
1,357,114
(1,065,857)
774,600
(774,600)
582,514
(291,257)

(—)
5,541,600
(5,541,600)
6,898,714
(6,607,457)
千葉県漁業協同組合連合会 510,384
(510,384)

(—)

(—)
510,384
(510,384)
3,856,400
(3,856,400)
4,366,784
(4,366,784)
596,768
(523,968)

(—)
145,600
(72,800)
451,168
(451,168)
11,854,400
(11,854,400)
12,451,168
(12,378,368)
神奈川県漁業協同組合連合会
(—)

(—)

(—)

(—)

(—)

(—)
151,776
(151,776)

(—)

(—)
151,776
(151,776)
22,320
(22,320)
174,096
(174,096)
三重県漁業協同組合連合会 1,259,562
(1,116,041)

(—)
287,042
(143,521)
972,520
(972,520)
3,720,000
(3,720,000)
4,979,562
(4,836,041)
1,212,476
(1,042,238)
872,000
(872,000)
340,476
(170,238)

(—)
27,379,200
(27,379,200)
28,591,676
(28,421,438)
兵庫県漁業協同組合連合会 19,454
(19,454)

(—)

(—)
19,454
(19,454)
6,857,200
(6,857,200)
6,876,654
(6,876,654)
49,816,040
(49,816,040)

(—)

(—)
49,816,040
(49,816,040)
22,385,099
(22,385,099)
72,201,139
(72,201,139)
和歌山県漁業協同組合連合会 383,120
(383,120)
62,000
(62,000)

(—)
321,120
(321,120)
9,336
(9,336)
392,456
(392,456)
3,819,734
(3,819,734)

(—)

(—)
3,819,734
(3,819,734)
3,000
(3,000)
3,822,734
(3,822,734)
3,110,920
(2,783,399)
632,400
(632,400)
655,042
(327,521)
1,823,478
(1,823,478)
18,368,536
(18,368,536)
21,479,456
(21,151,935)
56,953,908
(56,419,613)
1,646,600
(1,646,600)
1,068,590
(534,295)
54,238,718
(54,238,718)
67,185,619
(67,185,619)
124,139,527
(123,605,232)
両事業の合計 60,064,828
(59,203,012)
2,279,000
(2,279,000)
1,723,632
(861,816)
56,062,196
(56,062,196)
85,554,155
(85,554,155)
145,618,983
(144,757,167)
注(1)
各漁連の行のうち、上段は省エネ事業、下段は資源回復事業である。
注(2)
各経費欄の括弧書きは、全漁連又は機構の助成の対象とならない経費に係る助成金交付額である。