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  • 平成24年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
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  • (9) 工事の施工が適切でなかったもの

土留壁の施工が適切でなかったもの[農林水産本省、関東農政局](367)


1件 不当と認める国庫補助金 1,221,852円

部局等 補助事業者等 間接補助
事業者等
補助事業等 年度 事業費 左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
千円 千円 千円 千円
(367) 農林水産本省、関東農政局 静岡県
(事業主体)
農山漁村地域整備交付金等 22 46,118 23,059 2,443 1,221

この交付金事業等は、静岡県が、賀茂郡河津町見高地内において、農道整備事業の一環として、農道を新設したものである。そして、農道が既存の町道と交差する箇所については、ボックスカルバート(延長14.5m、高さ7.0m、幅8.0m)を築造してその内部を町道とし、ボックスカルバートの頂版の上に鉄筋コンクリート構造の土留壁(延長8.0m、高さ1.4m〜2.1m、幅0.3m)を築造して、そこに道路盛土等を行い農道とするものである(参考図参照)。

そして、設計図書等によれば、上記の土留壁は、次のように施工することとしていた。

  • ① ボックスカルバート頂版の鉄筋を配置した後、土留壁の鉄筋を配置する。
  • ② ボックスカルバート頂版のコンクリートを打設するなどした後、土留壁との打ち継ぎ目となる箇所を洗浄するなどした上で型枠を設置して土留壁のコンクリートを打設する。
  • ③ コンクリートの打設及び締固めに当たっては、材料であるセメント、細骨材、粗骨材等に著しい材料分離が生じないよう打設して、速やかに十分締め固める。

しかし、現地の状況を確認したところ、土留壁とボックスカルバートの打ち継ぎ目から漏水が発生していた。そこで、土留壁のコンクリートの施工状況について検査したところ、コンクリートの締固めが十分でなかったことなどから、上記の打ち継ぎ目においてジャンカ(注)(幅300㎜から1,000㎜程度、高さ最大で約100㎜、平均で約50㎜)が発生し、その一部においては、内部に空隙が生じていた。そして、上記の漏水はこの空隙から発生していたものであった。

したがって、本件土留壁は、施工が著しく適切でなかったため、土留壁とボックスカルバートの打ち継ぎ目から漏水が発生しており、鉄筋コンクリート構造物としての耐久性が著しく低い状況となっていて、工事の目的を達しておらず、土留壁及び農道の道路盛土(工事費相当額2,443,705円)に係る交付金等相当額1,221,852円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、請負人が粗雑な施工を行っていたのに、これに対する同県の監督及び検査が十分でなかったことなどによると認められる。

(注)
 ジャンカ  型枠取外し後のコンクリート表面に見られる粗骨材の凝集、空洞等の欠陥部分

(参考図)

ボックスカルバートと土留壁と農道の概念図