林野庁は、都道府県が行う森林整備加速化・林業再生基金事業に必要な基金の造成に要する経費に対して補助金を交付しており、この基金事業のうち、木造公共施設等整備事業等を実施する場合には、評価要領に基づき事業主体において費用対効果分析を行うこととしている。しかし、費用対効果分析において、交流資源利用効果等の効果額が適切に算定されていなかったり、効果額の算定に用いられる係数の算出根拠が不明となっていて効果額の算定が適切に行われているか検証が困難となっていたりなどしている事態が見受けられた。
したがって、林野庁において、評価要領等の内容について速やかに見直しを行い、費用対効果分析の適切な実施のために必要となる基本的な考え方等について具体的かつ十分な記述等を行い、効果額の算定の基礎となる係数の妥当性を根拠資料により検証できるようにするとともに、都道府県に対して、事業主体における費用対効果分析の適切な実施等について周知徹底を図り、事業主体が行った費用対効果分析の内容について十分精査するように指導するよう、林野庁長官に対して平成24年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、林野庁において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、林野庁は、本院指摘の趣旨に沿い、25年4月に都道府県に通知を発して、今後の費用対効果分析においては根拠不明の係数を使用しないこと、木造公共施設等整備事業で整備する施設の勤務者等は利用者数に含めないことなどについて事業主体に周知徹底を図るよう具体的に指導するとともに、事業主体が行った費用対効果分析の内容について十分精査するよう指導する処置を講じていた。
そして、林野庁は、同月から有識者会議を開催するとともに、上記の通知において都道府県から費用対効果分析の実施状況について情報提供を求めるなどしており、今後、費用対効果分析の適切な実施のために評価要領等の内容を見直すことなどについて考え方を整理して、25年度末を目途に取りまとめを行うこととしている。