この工事は、沖縄気象台が、沖縄県宮古島市平良字下里地内に所在する宮古島地方気象台敷地内の東側法面の落石を防止するなどのために、平成22年度に土工、モルタル吹付工による法面保護工等を工事費18,133,500円で施工したものである。
このうちモルタル吹付工(760.0㎡)は、設計図書等によれば、次のとおり施工することとなっている。
本院は、合規性等の観点から、施工が適切に行われているかなどに着眼して、沖縄気象台において会計実地検査を行った。そして、本件工事について、設計図書、工事写真等の書類及び現地の状況を確認するなどして検査したところ、モルタル吹付工の施工が次のとおり適切でなかった。
すなわち、現地の状況を確認したところ、モルタル吹付工を施工した法面全体に多数の亀裂が発生するなどしていた。そして、検査基準では、モルタルの吹付け厚さの出来形を200㎡に1か所以上コアを採取して検査することなどとなっているのに、沖縄気象台はこれによる検査を行っていなかった。
そこで、同法面について38か所からコアを採取したり、モルタルの吹付け厚さが薄くコアを採取できなかった1か所についてモルタル吹付面の一部を切り取ったりして、モルタル吹付けの施工状況について確認したところ、次のような状況となっていた。
したがって、本件モルタル吹付工は、モルタルの吹付け厚さが不足していたり、はね返り材等が十分取り除かれておらず層間に剥離が生じていたりなどしており、その施工が設計と著しく相違して粗雑なものとなっていて、工事の目的を達しておらず、これに係る工事費相当額10,771,000円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、請負人において、設計図書等に対する理解が十分でなく、モルタル吹付工の施工が設計と著しく相違していて粗雑であったのに、これに対する沖縄気象台の監督及び検査が適切でなかったことなどによると認められる。