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  • 平成24年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
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  • 不当事項 |
  • 工事

法面保護工事の実施に当たり、モルタル吹付工の施工が設計と著しく相違していて、工事の目的を達していなかったもの[沖縄気象台](389)


会計名及び科目
一般会計 (組織)気象庁 (項)気象官署施設費
部局等
沖縄気象台
工事名
宮古島地方気象台敷地東側法面保護工事
工事の概要
宮古島地方気象台敷地内の法面を保護するなどのために、モルタル吹付工等を施工するもの
工事費
18,133,500円
請負人
株式会社尚輪興建
契約
平成22年12月 一般競争契約
しゅん功検査
平成23年3月
支払
平成23年2月、4月 2回
不適切な施工となっていた工事費
10,771,000円(平成22年度)

1 工事の概要

この工事は、沖縄気象台が、沖縄県宮古島市平良字下里地内に所在する宮古島地方気象台敷地内の東側法面の落石を防止するなどのために、平成22年度に土工、モルタル吹付工による法面保護工等を工事費18,133,500円で施工したものである。

このうちモルタル吹付工(760.0㎡)は、設計図書等によれば、次のとおり施工することとなっている。

  • ア モルタル吹付けは、設計厚さを10.0㎝とし、これにより吹き付ける。そして、土木工事共通仕様書に定められている出来形管理基準及び規格値(以下「検査基準」という。)に基づき、平均吹付け厚さは設計厚さ(10.0㎝)以上、許容される最小吹付け厚さ(以下「許容値」という。)は設計厚さの50%(5.0㎝)以上とする。
  • イ モルタル吹付けを2層以上に分けて行う場合等においては、1層目の吹付け後に、吹付材の付着に害となるはね返り材、ごみ、土砂等(以下「はね返り材等」という。)が残存しないように除去及び清掃を行ってから2層目を吹き付けるなどして、層間に離が生ずるなどしないように施工する。

2 検査の結果

本院は、合規性等の観点から、施工が適切に行われているかなどに着眼して、沖縄気象台において会計実地検査を行った。そして、本件工事について、設計図書、工事写真等の書類及び現地の状況を確認するなどして検査したところ、モルタル吹付工の施工が次のとおり適切でなかった。

すなわち、現地の状況を確認したところ、モルタル吹付工を施工した法面全体に多数の亀裂が発生するなどしていた。そして、検査基準では、モルタルの吹付け厚さの出来形を200㎡に1か所以上コアを採取して検査することなどとなっているのに、沖縄気象台はこれによる検査を行っていなかった。

そこで、同法面について38か所からコアを採取したり、モルタルの吹付け厚さが薄くコアを採取できなかった1か所についてモルタル吹付面の一部を切り取ったりして、モルタル吹付けの施工状況について確認したところ、次のような状況となっていた。

  • ア 採取した38か所のモルタル吹付け厚さの平均は、設計厚さの10.0㎝を下回る8.3㎝となっていた。このうち、設計厚さの10.0㎝未満のコアが29か所あり、中には許容値の5.0㎝未満のコアが3か所(吹付け厚さは4.0㎝から4.5㎝)あった。また、コアを採取できなかったためモルタル吹付面の一部を切り取って確認した1か所におけるモルタル吹付け厚さは最小で1.5㎝となっていて、許容値の5.0㎝を著しく下回っていた。
  • イ 採取した38か所のコアのうち、8か所については、モルタル吹付層の間に、はね返り材等が残存していたものがあったり、残存の程度が著しくモルタルのコアが3層に分離していたものがあったりしていた。

したがって、本件モルタル吹付工は、モルタルの吹付け厚さが不足していたり、はね返り材等が十分取り除かれておらず層間に剥離が生じていたりなどしており、その施工が設計と著しく相違して粗雑なものとなっていて、工事の目的を達しておらず、これに係る工事費相当額10,771,000円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、請負人において、設計図書等に対する理解が十分でなく、モルタル吹付工の施工が設計と著しく相違していて粗雑であったのに、これに対する沖縄気象台の監督及び検査が適切でなかったことなどによると認められる。