( 2 件不当と認める国庫補助金27,405,103 円)
部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助 対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 (国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(395) | 石川県 | 石川県 | 地域自主戦略交付金 | 23 | 82,780 (82,780) |
45,529 | 18,073 (18,073) |
9,940 |
この交付金事業は、石川県が、都市計画道路温泉中央南線街路事業の一環として、歩道の新設工事を行う上で支障となる店舗兼住宅(木造3階建て。以下「支障建物」という。)等の所有者に対し、支障建物の移転に要する建物移転料、工作物移転料等の費用(以下「移転補償費」という。)として、82,780,000円を補償したものである。 同県は、公共事業の施行に伴う損失補償を、「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」(昭和37年閣議決定)等に準じて制定された「損失補償算定標準書」(平成22年度版。北陸地区用地対策連絡協議会制定。以下「標準書」という。)等に基づき行うこととしている。 建物の移転補償費の算定については、標準書等によれば、建物の移転先を同一の土地所有者に属する一団の土地の一部を取得することによって残った土地(以下「残地」という。)又は残地以外の土地のいずれにするかを認定した上で行うこととされている。ただし、残地を移転先として認定した場合でも、移転させる建物が複数の用途に供されている場合は、その用途ごとに従前の建物の機能を残地に再現することが合理的か否かの判断を行い、移転補償費を算定することとされている。 そして、同県は、本件移転補償の実施に当たり、支障建物と一体的な営業活動を行っているとして、商品の展示場等についても移転対象に含め、支障建物及び展示場等の2棟が立地する土地の一部を残地として移転先に認定した上、建物移転料を算定し、補償していた。 しかし、関係書類を基に現地の状況を確認したところ、展示場等は、支障建物と道路を挟んで反対側に立地しているため、本件歩道の新設工事に支障がなく、また、2棟が立地する土地は当該道路で分離されていて一団の土地ではないことから、展示場等が立地する土地は残地として移転先に認定することはできない状況であった。このことから、支障建物が立地する土地の一部のみを残地として移転先に認定した上、前記のとおり、支障建物の用途には、店舗利用部分と住宅利用部分があり、このうち店舗利用部分は、展示場等と一体的な営業活動を行っていることから、支障建物が立地する残地に再築する工法を用いて機能を再現し、住宅利用部分は、残地以外の土地に再築する工法を用いて再現できることになる。 したがって、上記の工法を用いるなどして、適正な移転補償費を算定すると64,706,577円となり、本件移転補償費82,780,000円はこれに比べて18,073,423円過大となっており、これに係る交付金相当額9,940,383円が不当と認められる。 このような事態が生じていたのは、同県において、移転補償費の算定に当たり、標準書等における残地の取扱いについての理解が十分でなかったことなどによると認められる。 | ||||||||
(396) | 宮崎県 | 宮崎県 | 地域活力基盤創造交付金 | 21、22 | 63,133(63,133) | 41,036 | 26,868(26,868) | 17,464 |
この交付金事業は、宮崎県が、都市計画道路富美山通線街路事業の一環として、道路の拡幅工事を行う上で支障となる店舗兼住宅(鉄骨造2階建て)の所有者に対し、その移転に要する建物移転料、工作物移転料等の費用(以下「移転補償費」という。)として、63,133,700円を補償したものである。 同県は、公共事業の施行に伴う損失補償を、「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」(昭和37年閣議決定)等に準じて制定された「損失補償基準標準書」(平成21年度版。九州地区用地対策連絡会発刊。以下「標準書」という。)等に基づき行うこととしている。 建物の移転補償費については、標準書等によれば、建物、工作物等に区分して、それぞれ算定することとなっている。そして、建物のうち、建築設備は、建物と一体として施工され、建物の構造及び効用と密接不可分な関係にあって分離することが困難なものとされており、建物移転料として算定する。一方、工作物は、建物から分離することができる機械設備等とされ、移転しても従前の機能を確保することが可能な工作物については、原則として、新設ではなく再利用して工作物移転料を算定することとなっている。 そして、同県は、本件移転補償の実施に当たり、店舗内で使用されている冷蔵ショーケース等が、建物に付随する一体の設備であるとして、建築設備に該当するとし、建物移転料としてその新設に要する費用を算定し、補償していた。 しかし、関係書類を基に現地の状況を確認したところ、本件冷蔵ショーケース等は商品販売のために営業目的で使用されていて、建物から分離させることが可能なものであることから、建築設備ではなく工作物に該当するものであった。このため、冷蔵ショーケース等については、建築設備の新設として補償することは認められないが、工作物として再利用が可能なものであることから、前記のとおり、再利用に要する費用が補償の対象となる。 したがって、冷蔵ショーケース等を建築設備ではなく工作物とするなどして適正な移転補償費を算定すると36,264,900円となり、本件移転補償費63,133,700円はこれに比べて26,868,800円過大となっており、これに係る交付金相当額17,464,720円が不当と認められる。 このような事態が生じていたのは、同県において、移転補償費の算定に当たり、標準書等における建築設備及び工作物の取扱いについての理解が十分でなかったこと、委託した物件調査算定業務の成果品の内容に対する検査が十分でなかったことなどによると認められる。 | ||||||||
(395)(396)の計 | 145,913(145,913) | 86,565 | 44,942(44,942) | 27,405 |